歌っていて中~高音域をラクに出したいとき、ただやみくもに声を出せばよいというものではありません。
ポイントは、
鼻
にあるんですが、花粉症や鼻炎の状態で歌う場合、ちょっときついかもしれません。
鼻のとおりが悪いと、口呼吸になってしまうし、だんだんと呼吸が浅くなる可能性があるからです。
点鼻薬などで鼻詰まり、鼻水が改善されたとしても、中高音域をラクに出せない、思ったように声が響かない場合もあるかもしれません。
そんな時に、どこに気をつけて歌えばよいのか?
調整となるメニューをどうするのか?
そんなことをお伝えしましょう。
前に、発声と寒暖差アレルギーのことを書きました。その最後の部分で鼻詰まりのことも取り上げましたが、今回も「鼻」をテーマにして進めてみましょう。
鼻を効果的に歌に使うために♪
どうしても、声を前に押すようにしか出せない人がいます。
すると、ある一定の高さ以上の音階で練習しようとすると、♭(フラット=音の調子が下がる)になってしまうんです。
というビリーフがそうさせているのかもしれません。
こういうタイプの人は男性に多いようです。
身体の使い方の場合、下半身の柔軟性、丹田、支え、喉の状態、下あごなど。
そして、出した声は、鼻詰まりの声か、鼻から抜ける声なのか?
チェックする箇所はたくさんあるんですが、
と感じることが多いワケです。
また、声を前に出す意識が強すぎると、吸ったときに肩が上がりやすくなります。さらに鼻呼吸の経験も少ないので、口を大きく開けて思いっきり吸い込もうとします。
そこで、今回のキーワードは
- 鼻に共鳴させること
- ブレスは鼻から吸う?口から吸う?
上の2つを掘り下げた内容をお届けいたしましょう。
鼻に共鳴させること
歌う時、鼻を使いたい場合に意識したいこと。
その前にこの用語を知っておいてください。
それは、
- 鼻腔
- 篩骨(しこつ)
- 副鼻腔
この3つです。
他サイトの引用となってしまいますが、図を載せておきます。
http://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/sinusitis/
(関係各位の方、もしまずければご一報いただければ、削除します)
1.鼻腔
「びこう」、医学の世界では「びくう」という読み方が一般的です。発声用語でも鼻腔共鳴(びくうきょうめい)と呼んでいます。
簡単にいうと、空気が入る鼻の穴(入口)から咽頭、咽頭壁までの通り道です。
ところで、鼻の付け根はどこにあるんでしょう?
鼻といえば目の間にある。確かにそうですが、頭蓋骨の奥に向かって広がっているのが鼻です。結構顔の奥深い部分にまで伸びているのが、鼻です。
2.篩骨(しこつ)
硬口蓋の真上にある目と鼻の付け根のくぼみの部分です。
鼻腔と副鼻腔が重なっている部分にあります。
ここには嗅覚神経が通っており、匂いや臭いをかごうとすると、この篩骨が働きます。
3.副鼻腔
簡単にいってしまえば、脳、目、鼻、口の間にある空間、隙間のことを指します。
といっても、いきなりは実感できませんよね。
2.で出てきた篩骨、そして目の上にある前頭洞、目の奥、篩骨洞の後ろにある蝶形骨洞(ちょうけいこうどう)、さらに目の下にある上顎洞(じょうがくどう)の全4種類になります。
どれも鼻腔を取り囲むような場所で、自然口という小さな穴で鼻腔とつながっています。
この副鼻腔は、歳を重ねると共に広くなるといわれています。
別名、含気腔(がんきこう)ともいい、古代ローマから存在が確かめられていたにもかかわらず、機能などの実態はあまり分かっていないらしいです。
そのため、謎の空洞ともいわれています。
しかし、歌う時にここを意識する、感じることができれば、あなたの歌は苦しまずに高音域を響かせられるかもしれませんよ。
今、ご紹介した副鼻腔を指で軽く押さえながら鼻からゆっくり吸ってみましょう。
身体の感覚としては、吸うという意識よりも空気が鼻から入ってくるといった感覚でしょうか。
これを繰り返し行なうことで、鼻詰まりが軽くなった生徒さんもいます。
鼻腔共鳴は副鼻腔を意識
鼻腔共鳴。この用語は既に耳にしたことのある方も多いかもしれません。
共鳴とは、反響、増幅作用といった、元々は音響用語でした。
振動数の等しい発音体を並べておいて、一方を鳴らすと、他の一方も音を発する現象です。
それが次第に発声の用語として定着していったのです。
鳴らす、響かせるという言い方をする場合もありますね。
鼻腔共鳴とは、「鼻腔」を使って「共鳴」させること・・・なんですが、
僕は若い頃、声を当てるといった教わり方をしました。(某●MCボーカルスクール)
鼻腔共鳴とは、鼻腔と呼ばれる場所に声を当て共鳴させること。
意識して声を上部に当てないと、なかなか鼻腔共鳴にはなりません。
この、鼻腔共鳴こそ、副鼻腔を意識しないとならない。そう考えています。
フ―スラーは「うたうこと–発声器官の肉体的特質」という本の中で、声を置くという言い方をしています。
上顎洞、蝶形骨洞、篩骨洞、前頭洞の副鼻腔を軽く指で押さえながら、そこに向けて声を発してみるやりかたです。(フ―スラータイプ)
また、チェザリー著「The VOICE of the MIND」のサウンドビーム理論では、喉を支点として蝶形骨洞に向かって声を発していく方法が書かれてあります。
幾つかの共鳴ゾーンがあり、
✔ 口-咽頭腔ゾーン
✔ 中間ゾーン
✔ 頭部ゾーン
✔ スーパーヘッドゾーン
を声で使い分けていく。
ミックスボイス(先生によってはボイスミックスとも)をファリンジルボイス(フェリンジャルボイスとも)=咽頭声といった声帯のメカニズム、振動帯の層で表しています。
やはり、このメソッドでも副鼻腔の使い方がポイントとなるでしょう。
どのやり方でも、あなたが喉を傷めずに発声できれば良いと考えています。
同じやり方をやっても声の出る人とそうでない人の違いがあるように、ノウハウそのものが凄いのではないのです。それを使って出来たあなたが凄いわけですから・・・。
体験レッスンではこの辺りのところも質問していただくと、これからのきっかけを掴めるかもしれませんね。
ブレスは鼻から吸う?口から吸う?
さて、質問です。
息継ぎは鼻から吸いますか?それとも口から吸いますか?
はい。
どちらでもOKです。
これは、ウォーミングアップなのか?発声練習なのか?歌っている状態なのか?
によっても変わってきますね。
なので、
鼻から吸うのが正しい
口からは吸うのは間違っているとは言いません!
例えば、
リップロール(リップトリル)の息継ぎの時、口を開けて息を吸い込んだとしましょう。
次に唇をつむる圧力が強すぎると・・・
と回し始めが回らなくなることは、何人もの生徒さんを見てきて言える事です。
こういう生徒さんの場合は、ゆっくりとしたテンポでたくさんの量を吐いて鼻から吸ってもらう方が、良い結果となります。
▼リップロールについての記事
歌う場合はもっと複雑です。
歌の中で鼻から吸う息継ぎと、口から吸う息継ぎ、両方一度に使う箇所を決めておきます。息継ぎのやり方は、音楽的な制約と可能性の中で考えるのです。
歌う課題曲によっても異なります。
ひとつ言えることは
- 鼻から 吸うのにやや時間がかかる
- 口から 瞬時に一度に吸える
ということです。
ここで注意。
吐けば吸えます!吐いた分だけ吸えます!
たくさん吸おうと思って余分な所に力を入れすぎると、その時点で胸式呼吸の吸い方になってしまいます。
あなたの中で起こる小さな動きの辺かを大事に体感してしてください。
これが体験レッスンできっかけを掴むということに繋がるんです。
とは、生徒さんがお話していた事です。