前回の「トレーナーのタイプとスタイルを見抜くマル秘の法則」のお話はいかがでしたか?
毎回ですが、この一連の記事では、個人レッスン側ではなく、グループレッスン側に立ってお話を進めていることをご了承ください。
また、ボイストレーニングのコースやレッスンの内容についてのことはなく、レッスン形態の面を中心に書いています。つまり形と進め方です。レッスンの中身ではありません。
今回は、個人レッスンでの現状の課題は解決されるのだろうか?です。
▼その前に、前回のコラム記事です。
課題は直ぐに改善されるのか?
個人レッスンが抱えている問題点をもう一度さらってみましょう。
✔ 当キャンされてしまうと、がっかりする
✔ 当キャンされてしまうと、レッスンにならない
✔ その日時に別の生徒さんが入っていればレッスンになっていた
✔ 固定の時間で開始か?フリータイム制か?
✔ 甘えが出てくる
✔ 遅刻は歓迎?
おそらく、どこのスクールでも教室でも、大手、個人事業関係なくこのような課題を抱えて、日々運営しているのではないでしょうか?
これらの課題は改善から解決に向かうのでしょうか?
個別指導の重要性
正直、スクールの規模や仕組みの作り方にもよりますが、課題は完全に解決されないことがあるように推測します。
教育学の分野や言語習得の分野で適性処遇交互作用という用語があります。
難しそうな用語なんですが、
どんな指導法が効果が高いのかは、生徒さんの適性によって異なる。
と、まあ当たり前のことなんです。
ここで、
個人レッスンでは、これがちゃんとできているでしょうか?
という問題を投げかけます。
個人レッスンの限界
はい。
前回お話した、トレーナーと生徒さんのビリーフが関わってくるからです。
僕らトレーナーや先生、教師といわれている人達の仕事は、理想的ビジョンはあるんだけど、他の色んな制約から、そりゃ無理だワ!というのがたくさん出てくるんです。
もちろん個人レッスンのメリットもたくさんあります。しかし、現状の個人レッスンでは、生徒さんの適性を発見できても、伸ばしてゆくのは個人レッスンでよいのか?というとそうではないかもしれないのです。
100%良い教授法は存在しない
ここでお話したいことは、ボイトレの内容ではありません。
教授法のことです。日本語教育のことを例に出しましょう。
日本語教育の世界では、効果的な学習習得のために、日本語教師はなるべく多くの教授法の理論を学ぶこと。そして学習者のレベルに応じて、また状況によってそれらを使い分ける工夫が必要だと言われています。
詳しくは書きませんが、ボイストレーニングの個人レッスンも、レッスン形態や方法の組み合わせ使い分けがあっても良いと感じています。
業界の中で、もっともっと情報を共有しても良いと考えています。
- A先生が教授法aを教える。
- B先生が教授法bを教える。
受ける生徒さんは、大手スクールでない限り、またその仕組みの整っている教室に通っていない限り、1.と2.を流れで受けることは困難です。
ましてや同じ日に1.と2.の両方を時間をずらして同じ空間の中でレッスンすることは、どちらかのトレーナーが出講でもしない限りは無理でしょう。
個人レッスンは、お互いにとって好都合な仕組み?
教授法の次は、個人レッスンの形態についてです。
まあ、三者が納得できるような仕組みづくりは、非常に難しいことだと考えています。三者とは、運営者側、スタッフ側、生徒さん(お客様)側という意味で使っています。
これもよくよく考えていくと、お互いにとって好都合な仕組みとは考えられません。運営者の立場、スタッフの立場、生徒さん(お客様の立場)それぞれで言い分が異なります。
さて、いつも不思議に思うことがあります。
お互いの都合を考える時
ある時間に個人レッスンが入っている場合、グループレッスンだと、ひとりが休んでも、残りの生徒さんが出席していれば、当然レッスンを回します。個人レッスンの場合は、ひとりがその時間帯に入ったら他の方々は入れないということなのです。
例示 その1
入会する気満々で体験レッスンを受ける方がいらしたとしましょう。
でもその方が入りたい日時、曜日と担当予定のトレーナーが入れそうな予定とが全く持って合わない。
今、在籍しているトレーナースタッフの方々が皆忙しく、レッスンを回してゆけない。
大変なのは、スケジュール調整に翻弄されているチーフ級クラスのトレーナー、または代表の社長でしょう。お察しいたします。
例示 その2
歌が上手くなりたくて、ステキなトレーナーのレッスンの体験レッスンに申し込んだのにもう完全に席もコマも埋まってしまっている。これも残念なことですよね。
音楽活動を並行している大人気広告塔トレーナーです。あなたが入りたい日時に限ってライブで入れなかったり・・・。なんていう例です。
特に平日の夕方から夜の時間帯は、趣味で歌いたい人達の習い事ゴールデンタイムです。
また、声優志望の方やナレーションなどのお仕事と連動される方は平日の午前中や午後早い時間帯を希望されていることが傾向です。
午後イチ(午後最初の時間、いわゆる13時以降のこと)から15時位までは、主婦層の方々でしょうか。
もちろんどこにターゲットを絞るかによって、コマの埋まり方は変わりますが・・・。
例示 その3
女性スタッフの中で、産休産後のトレーナーがいる場合です。
当然、生徒さんの数は売り上げに響きます。
もちろん教室側の責任で、生徒さんの責任ではありませんが、だからと言って直ぐに
というのはいかがなものでしょうか??
どこが合わないのか?
添う→合うためにはどうすればよいのか?
といったご相談を頂ければ、一緒に解決策を考えていきます。
お互いに自律することで成長できるわけですから。
例示 その4
スタッフが病気で入院した場合はどうしますか?
代講した回数が短いと、生徒さん側はこう思うかもしれません。
ところが、代講が4回5回と続いた場合はどうでしょう?
大きな全国展開型スクールの場合なら、代講や他の校舎から派遣といったやり方がありますよね。
小さな教室の長となるトレーナーが一番レッスンのコマが多い。
にもかかわらず、病気で長期入院を余儀なくされてしまった場合、スタッフに代講をお願いするとしたら、どのように任せますか?
経験上、アタフタします。結構大変です。
そんな方が読者の方でいらしたら、是非お話を聞かせてください。コンサルだと言えば、コンサル料金をお支払いいたします。<m(_ _)m>
1レッスンいくら?それとも時給いくら?
実は、9割近くのスクールが時間給、日給月給ではなく、
1レッスン入っていくらといった歩合制です。
LTV(生涯顧客価値) を上げてゆかないことには、ギャラもたくさん頂けません。
某大手は、1レッスン45分で時給計算です。例えば時給1,200円としましょうか。
でも飛びつかないでください!
1レッスン1,200円とは言ってません。
これを時給に換算すると、
1,200円×0.75=900円(←これが1レッスン分のギャラ 💦)
何故0.75を掛け算するのか?お分かりですね。
でも個人レッスンレベルのクオリティは欲しい
そういう考えの方もいらっしゃるかもしれませんね。または、
それは違うと思います。
生徒さんのお悩み解決は何?生徒さんはどうなったら自分が最高だと考えている?そのための課題は何?目的は何?
やはり、ここからでしょうか。
個人レッスンのクオリティを保ちつつも、グループレッスンは出来るのでしょうか?
次回は、ここにフォーカスを当てていきたいと考えています。