いきなりこんなタイトルですみません。
「歌は不完全なほうが上手い」とはどういうことでしょう?
これは歌だけではなく、楽器を演奏する場合もそういえますし、作詞作曲についてもいえることだと思います。
さらに音楽だけではなく、絵画、映画、脚本、文章等、およそ著作権が絡む全ての著作物をとして伝える著作権者、著作隣接権者についてもいえるでしょう。
考え方によっては人生についてもいえることなんじゃないかと・・・。そんな感じがします。
今回は不完全だからこそ人の心を打つ。そんなお話をしましょう。
一例として音楽、歌を挙げていますが、芸術は今の時代になるまでに、それぞれの宗教や各国地域の文化と共に歩んできています。西洋音楽とキリスト教、東洋諸民族の音楽でも儒教や仏教との関わり無くしては発展しなかったことでしょう。
なお、この内容は阿佐ヶ谷教会で行なわれている日曜求道者会のお説教(お話)の中で、牧師のN先生、他、その日に出席された皆さまに許諾を得て書き起こしているものですが、お世話になったミュージシャン仲間の言葉や生徒さんが作った詞も思い出して記事にしたので、それら要旨の抜粋として掲載します。
本当に人の心を打つモノには不完全さがある♪
人だって、ちょっと抜けていたり不完全だった方が愛嬌ありますからね。
うーん、まあ、その人によって可愛らしくお茶目に映る場合と、「このヤロウ!」と腹の立つ場合とに分かれるかもしれません。💦
こんな考え方もできるでしょう。
人は不完全な生き物です。だから死ぬまで勉強だ。一生成長だ・・・。
不完全だから満足感を求める。成長が自覚できて満足がある。そしたら次の満足感を目指したくなる。歌うこともこの繰り返しなのかなあと。
そう感じています。
不完全さが生みだす奥深さを探究しよう
昔、一緒にバンドを組んでいたミュージシャン仲間や先輩ミュージシャン達から聞いた話です。
また、昔、生徒さんがこんな詞を作って歌っていました。
興味深い詞でしょう。(^^♪
詞は言葉遊びの要素と唸らせる要素、その他、メロディや楽器アレンジ、歌う時のボーカリストの気持ちなど、諸々の要素が混ざり合って化学反応のように融合します。
近づけば近づくほど目標は遠のきます。歌えるようになればなるほど理想は高くなります。
木の根っこのように奥深さを追求しながら、関連事項の広がりを見ていくことも十分あり得ることです。これは、以前のコラム記事にも取り上げていますね。
不完全と下手の違いはコレ
不完全と下手の違いは何があるんでしょうか?
- 不完全…探求心がある。シンプルさを追求する。練習を繰り返す。工夫する。遊び心を創る。楽しみを自分自身と他人に求める。
- 下手…奥深さを探求しない。簡単なコツだけを求める。練習しない。工夫しない。遊び心がない。楽しみを他人に求める。
ここで大切なことは、決して技術的なことやスキルを言っているのではないんです。それらは練習すれば身につくことです。知り合いのプロギタリスト(N.S氏)が口癖のように言っていることを出してみましょう。
もちろん歌の場合には、ただやみくもに練習を重ねても喉を壊す可能性があります。だからこそのボイストレーニングなんです。
結果は見事に裏切られるかもしれません。しかし、その人にとっての的確適切な練習は、決して裏切らない。それはボーカリストの場合でも同じです。その適切な練習を見つけていくのが僕らの仕事なのです。
常に成長し続けやり続け、達成しようとする必要性と、現状居心地が良いから変わりたくない習性との間でせめぎ合う。
人は、不完全と下手の間を行ったり来たりしているのではないでしょうか。
現時点で最高のものを表現する
表現するとは何でしょうか?
人前で披露すること。そうかもしれません。
レッスンの時に、担当トレーナーに披露する曲、そのための練習がそう言えるかもしれません。また人によってはライブ演奏も入るかもしれませんし、ユーチューバーのように毎日毎日、YouTubeで動画をアップする場合も当てはまるのかもしれません。また、音源を張り付けブログの記事をアップすることだって立派な表現ですよね。
とにかく、今は発表の場はライブやオープンマイク、セッションだけではありません。価値観は多用化しているんです。
ここでひとつ気をつけたいことがあります。
その気持ち分かりますし受け止めは出来ます。
現時点で最高のものを世に出すと決めることです。
まとめ 五感をフルに使う
はい。ありきたりな意見です。
でもこれは、捉え方で大きく変わることができるんです。現時点で最高ということは、1年後2年後の自分から今を観た場合、不完全であるわけです。
「現時点で」というのは常に大事なことで、毎日毎日自分の中でべストを尽くしていけばよい。それが決して100点満点でなくても良いんだ。そう思います。
ベストな状態は、やっていく過程で自分の中で決めればよい。もし自分で決まられなかったら、担当のトレーナーと一緒に決めていけばよい。うまくいかなかったら方針を変える勇気を持てばよい。そう思います。
人によっては、聴衆のためにという考えと、自分の気持ちの間で行ったり来たりするかもしれませんね。表現する自分を押し殺してまで「人のために・・・」と考えてしまうと辛くなる。それは全ての人がそうでしょう。
「聴衆に分かってもらいたい!」という前に、自分自身が歌っている中で五感を使って確かめたいという気持ち。それに十分な時間をとってよいのです。
歌を感じる、味わう、歌の良さを嗅ぐ、歌の繊細さに触れる。そしてその先にある想いや思い、世界観を体感しましょう。おっと、その前に曲をしっかりと聴くということをお忘れなく。感性が錆びないように五感をフルに使いましょう。使いたいゼ!