皆さんは、ブルースというジャンルの音楽を聞いたことがありますか?
というあなたへ(^^♪
この内容は、楽器をやり始めたあなた、または、歌えるんだけど楽器(特にコード楽器)をやったことのないあなたを対象とした内容となっております。
しかし、楽器を弾ける方でも読み進めていただくと、何らかの気づきがあるかもしれません。
ブルースのことを知らない方も読み進めていってもらえると有り難いです。
ブルースは3つのコードが基本♪
ブルース(Blues)は、19世紀、アフリカ系アメリカ人の間で広まっていった音楽およびその形式です。19世紀後半頃に米国深南部で黒人霊歌、フィールドハラー(農作業の際の叫び声)や、ワーク・ソング(労働歌)などから発展したものといわれています。
綿畑で働きながら、愛する人のことを想いながら、家族や友人のこと、自分自身を鼓舞するために歌ったその音楽は、世界中に広まりました。
ジャズ、ロックなどブルースの影響を大きく受けている音楽ジャンルもあります。
また、ブルースの中でもデルタブルースやカントリーブルース、シカゴブルースなどジャンルが枝分かれしています。
読み方は、英語だと[blu:z(ブルーズ)]と語末の子音が有声子音になります。でも日本語だと、子音で終わる言葉が極端に少ないためか、「ブルース」が一般的に言われている名称です。
ブルースのコード進行
ブルースには、ブルース独特の進行があります。これを見ていきましょう。
ブルース進行のダイアグラムをご覧ください。これを
▼バラス
▼並べる
▼固める
の考え方で吟味してみましょう。
▼バラス
まずは、ひとつひとつバラしてみましょう。
左肩にある数字は小節数を表しています。このダイアグラムは、典型的なブルース12小節の進行となっています。
2小節目
スロー・チェンジ…Ⅰ7→Ⅰ7
1小節目のコード進行をそのまま演奏することを表しています。
クイック・チェンジ…Ⅰ7→Ⅳ7 つまり2小節目だけⅣ7に変わります。
11小節目~12小節目
ターン・アラウンド…直訳すると方向転換。ジャズの世界ではターン・バックとも。
曲の最後から冒頭部へ繋ぐコード進行です。
用語について
度数(ディグリーネーム)…音程を表す単位。音と音の距離を表す語。同音が1度 1つ距離が離れる毎に1度ずつ増えていきます。このような関係性をローマ数字で表しています。いってみれば、曲進行の住所番地のようなものです。
このⅠにCのコード(ドミソ)が入ったり、G(ソシレ)のコードが入ったり、どのコードが入ろうが自由です。このⅠをトニックといいます。
たとえて言うと、Ⅰというアトラクションに僕が入ろうがあなたが入ろうが自由なのです。ただし、オリエンテーリングのように行き方が決まっている。それがコード進行です。
トニック…Ⅰの部分をこう呼びます。曲のキーに対して安定しているため、安心感があります。
サブドミナント…Ⅳの部分をこう呼びます。不安感を醸し出します。穏やかな緊張感と書いてある本もあります。
ドミナント…Ⅴの部分をこう呼びます。ⅠまたはⅣに戻りたがる性質です。独特の緊張感がありⅠを予測させるような響きです。
※因みに、ドミナントはラテン語で「導く」という意味です。
ローマ数字の右下についている7という数字は7th(セブンス)というコードの特色を大きく表しています。何となく申し訳なさそうにくっついていますが、結構存在感があるんです。
- 7thのついていないⅠは安心感のある音
- 7thのついているⅠは安心の中にも不安定な部分がある
こんなふうに考えるとよいかもしれません。
▼並べる、固める
次に並べたり、固めたりしてみます。塊の作り方で面白いことが分かってきます。
ブルースのコードは、Ⅰ、Ⅳ、Ⅴの3つのコードで構成されていることは、先ほど説明しました。このⅠ、Ⅳ、Ⅴの3つのコードは、ブルースに限らず、メジャーキーやマイナーキーのコード進行の時、大切な3つのコードです。これらをスリーコード(以下、3コード)と呼びます。
縦の関係と横の流れ
さて、もう一度、よくよくダイアグラムを眺めると、面白いことが分かってきます。
1.縦の関係
▼黄色の範囲は変化が多い
- 1、5、9小節目はⅠ7、Ⅳ7、Ⅴ7と変化が多い。
- 2、6、10小節目は全てⅣ7でまとまっている。
▼ピンク色の範囲はまとまっている
- ターンアラウンドとなっている12小節目以外、Ⅰ7で同じ。(´゚д゚`)
- まとまっているということは、落ち着いているという意味です。
ここまでで何が分かるかというと、ブルースセッションをやる時のアドリブの基礎が把握できるということです。
ここで一つセオリーです!
黄色 の部分でボーカルが歌い、 ピンク の部分でギターやハーモニカ、ホーンセクションがオブリ(オブリガード)を入れます。
オブリの入れ方も、3→4小節目と、7→8小節目は全く同じなので、同じフレーズを入れてみよう!といったことができます。
もちろんセオリーであって規範的なルールではありません。なので、ある程度自由にできます。
2.横の流れ
横の関係を見ていくと、起承転結が見てとれます。
▼起の範囲
1~4小節目までは全てⅠ7、または2小節目でクイック・チェンジするだけなので、落ち着いた進行になっています。ここは思い切って遊んでしまいましょう。
▼承から転への範囲
5→6小節目と7→8小節目は、ハッキリと世界が分かれています。5→6小節目のボーカルを7→8小節目のオブリをどうするかです。
▼転から結への範囲
9小節目から12小節目までは、一番緊張感の漂う世界かもしれません。演奏中、ブレイクがあったりします。もちろんド頭のⅠ7 部分でもブレイクはありますが。
これら縦の関係と横の流れを理解しておけば、あとは演奏の時、ぐちゃぐちゃになって
ということがなくなるはずです。
ブルースはBLUE+S 人生そのもの
先ほど、トニック、サブドミナント、ドミナントのことをお話しました。横の流れを意識するときにこんな考え方があります。
尊敬する先輩ミュージシャンの受け売りですが、ここに紹介します。
トニック…Ⅰの部分に入ったコードには、安心感があります。
サブドミナント…Ⅳの部分に入ったコードには不安感を醸し出します。
ドミナント…Ⅴの部分に入ったコードは緊張感があります。
7thのコードは不安定感を醸し出すことを思い出してください。
ここまでは、どの音楽理論、コード理論の本にも載っています。これら安心、不安、緊張をコード進行に当てはめてみましょう。
Ⅰ7…安心の中にも不安が漂う。こんなに幸せでいいの?w
Ⅳ7…不安の中に7th 結構落ち込んでヤバいんじゃないでしょうか?
Ⅴ7…緊張と不安が入り混じって・・・早く安心したい
安心、不安、緊張→不安→安心 この繰り返しって
ブルーな気持ちを複数抱えている(BLUE+S)。これからのことや現在抱えている不安。表向きは幸せ感が漂っているけれど、実際にはどうでしょう?
そして日常生活の繰り返し、
以前、ブルースを 安心→不安→緊張 と進む音楽として紹介しました。よかったらこちらもご覧ください。
▼ボイトレをやる時、知っておくべきカラダのこと(その2)
まとめ 3コードのブルースは一度通っておこう
ブルースは、与えられた枠(3コード12小節の進行)の中でどれだけ自由に歌ったり演奏できるか?それを問われるため、ボーカリストやプレイヤーの力量を試されてしまう怖さもあります。
当然、3コードを通ってない方もいらっしゃるでしょう。僕の知り合いのプロミュージシャンでも3コードを通ってきてないという方を何人も知っています。
片方で、3コードは絶対に通っておいた方が音楽力全体の向上になると主張しているミュージシャンもいらっしゃいます。
どちらの考えが正しいのかではなく、一度、通っておいた方が良いというのが僕の考え方です。
このあたりのところは、「ブルースの奥深さ(その2)」として、再びお届けする予定です。