ボイストレーナーが語るダイアトニックハーモニカのメンテナンス

Fender Harp Boxに格納されてあるハーモニカ ボーカリストのための楽器

ワンバイブスの生徒さんの中には、ハーモニカを習っている人が何人かいます。ハーモニカの演奏と呼吸は繋がっている。だからハーモニカとボーカルは切っても切れない関係にある!といった自論を展開している室長です(笑)

ボイトレとハーモニカ
ハーモニカについてお話しましょう。最近、昔の友人知人からは、「今は吹いてないの?」とか言われますし、生徒さんからハーモニカのことについて訊かれます。(2016年7月現在)まあ、ここでさわりでも伝えることが出来れば、と考えて書いています。ハーモニカはボイトレにイイ?!ボーカリストが片手間にハーモニカを...
ボーカルとハーモニカと呼吸法
ボイストレーニングを実際に活かせる分野は数多くあります。 音楽:ボーカル(当り前じゃん) 音楽:楽器 例えば、サックス、トランペット、フルート、ハーモニカなどの吹きモノ 話しことば:セミナー講師、プレゼン発表、司会(MC)、就職活動 話しことば:アナウンス、リポート 読む:朗読など 吃音(どもり)と...

最近、ハーモニカを習い始めて半年~1年位経った生徒さんたちから、よくこんなことを訊かれます。

生徒さんAさん
修理の仕方ってあるんですか?
生徒さんBさん
音が出なくなっちゃいました。泣
室長
ハーモニカの掃除をしましたか?メンテナンスの仕方を教えましょう♪

と、いう流れでハーモニカのメンテナンス講座(基礎編)をお届けいたします。、

ハーモニカのメンテナンスは職人技♪

ここでいうハーモニカとは、10ホールズハーモニカ(穴が10個あるダイアトニックハーモニカ)のことを指します。ブルースハープ、マウスオルガン、ミシシッピサキソフォンなどとも呼ばれています。穴の2段になっている複音ハーモニカやレバーのついたクロマチックハーモニカのことではありません。

ただ、繊細なリードを扱うので丁寧にメンテしなければならないのは、どれも同じです。

楽器のメンテナンス=楽器との対話、語りかけ

そのように感じています。関連記事はこちら

楽器の上達を願う前にするべき大切なこと
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自分の声もそうですよね。自分の身体は楽器。身体との対話を考えた場合、休むこと、マッサージや整体に行くことなどは、絶対に必要なのです。

話をハーモニカのメンテに戻しましょう。

ハーモニカのメンテナンスには3種類あると考えます。

  1. ソーキング:ハーモニカのお掃除
  2. リペア:ハーモニカの修理
  3. ファイリング:リードを削る

ハーモニカは歯ブラシ使ってお掃除

1.ソーキング:ハーモニカのお掃除

まず、これからです。食事をした後で練習したい場合、歯磨きかマウスウォッシュで口をすすいでから、練習しましょう。そうしないと、食べかす、付いちゃいますよ~w

ハーモニカの掃除を歯ブラシを使って

ソーキングは、使い古しの歯ブラシを使います。毛の硬さは「ふつう」を選んでいます。柔らかすぎるのも吸い口とリードを止めてある部分の汚れが取れにくい。そんな気がするからです。

歯を磨くように

写真左●「葉を磨くように」内側から外側に向かって歯ブラシを移動させていいきます。 写真右●軽く振って水気をとりましょう。

歯ブラシを水で湿らせて、上の写真左のように「チョイチョイチョイッ」。ハーモニカの歯磨きです(^^♪

ハーモニカのマウスピース部分を拭く

さらに軽くトントンと叩いて水気をとります。

 

ドライヤーで乾かす(その1)

ドライヤーで乾かしましょう。ドライヤーの種類にもよりますが、僕はターボ→セット→コールドと、ドライヤーから出る風の出方を変えています。

 

ドライヤーで乾かす(その2)

また、マウスピース(口を当てる部分)だけではなく、カバープレートの下からも風を当てます。

マウスピースが合成樹脂系か?アルミか?木製か?

ハーモニカには、口を当てるマウスピース素材が幾つかに分けられます。初心者が扱いやすい樹脂ボディアルミボディ木製のものなどです。

樹脂アルミは大丈夫なんですが、気をつけたいのは木製ボディのハーモニカです。木のため、しっかりと乾かさないと、口を当てる部分が浮いてしまうんです。

ソーキングした後、木が浮いた状態

こういう状態になると、演奏している時、唇の内側が痛くなります。また、音そのものも「スカスカ」しやすい状態になります。

初心者の方は絶対にやらないでください。

というのは一般論。経験値を上げるために1本無駄にしてみるのも・・・。

いや、しないためにも、木製ハーモニカのソーキングは、訊きながら慎重に、または自己責任で行なってください。

音が鳴らなくなった時

音が鳴らなくなったときは、2.リペア:ハーモニカの修理

これを行ないましょう。大体はリードにカスが付いている。これが原因。ただ、壊れやすいリードには傾向があるようです。4番5番6番が壊れやすいようです。

時々、1番を壊した。という凄い人もいるにはいますが・・・。

ブルースハープ分解前

写真はHOHNERが販売しているハーモニカ修理キットです。

日本の代理店は、モリダイラ楽器

ここまで揃えなくても

  • プラス、マイナスのドライバー
  • ペーパーヤスリ
  • カッターナイフ
  • A4コピー用紙(46.5k)

を用意すれば大丈夫です。

ドライバーが使える場合

合成樹脂のハーモニカと木のハーモニカ

 

ハーモニカの商品によってはドライバーが使えます。Lee OskerモデルHOHNER BLUES HARP -MSなどの製品は使えます。下の写真はHOHNER BLUES HARP -MS のカバーを外したところ。

カバーをとって分解 吹き側

こんな感じでリード板にリードがついています。見えている側のリードは吹く側のリードです。

 

カバーをとって分解 吸い側

吸う側のリード板は、各リードが外側に出ているのが分かるでしょうか?

釘の場合

リペアとして、ドライバーが使えないハーモニカもあります。

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MarineBandのカバーをとったところ

MARINE BANDのカバーをとったところ。雄ネジ、雌ネジではなく、小さな釘です。

MARINE BANDトラディショナルモデルの場合、木製ボディと金属のカバーを小さな釘で止めてあります。釘というより虫ピンに近い感じがします。カバーを外すときには布などで覆って外してください。そのまま外そうとすると、カバー下(お尻の部分)で指や手を怪我する恐れがあります。注意しましょう。

ファイリングに挑戦

いよいよ、繊細にして大胆なメンテナンステクニック、3.ファイリング:リードを削るについてです。

これには

リードを薄くする方法リードを0.5ミリから約1ミリ短くする方法があります。
今回はリードを薄くする方法をご紹介しましょう。

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リードに挟み込みます。

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5番吸う側のリードに挟んだところです。リードを折らないように慎重に入れていきます。そしてペーパーヤスリでリードを磨いていきます。

 

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コピー用紙の厚さの紙、付箋位の厚さの紙をリードの間に挟んでもOKです。

 

ペーパーでリードを削る作業、チューナーや鍵盤で音を確認しながら、少しずつ削っていきましょう。勘で少し削って音を確認して・・・、この繰り返しになります。

くれぐれもやりすぎに注意このように書くことは簡単です。しかし、この「さらっ」と書いてある裏側には、何本ものハーモニカをダメにした室長の経験があるのです。使い捨てをしたハーモニカ、使い捨てすらできなかったハーモニカ・・・。

まとめ●一度や二度は投資だと思って失敗をw

僕は、初心者の方が2番のベンド(吸う方)が出来始めてくると、ボディを木製のハーモニカに買い替えるように勧めています。

ハーモニカは消耗品です。リード楽器なので、ギターやベースでいうところの弦のようなものです。消耗品なんですが、4000円台がほぼ相場。中には500円のハーモニカなんていう物もありますが、直ぐにダメになってしまいます。

値段に関わらず5番と4番の吸うリードをダメにしてしまう確率が高いのは、自分の経験からもいえます。

新しく買った。にもかかわらず2週間で5番の吸うリードをダメにしてしまった時には、泣きそうな思いでした(´;ω;`)

  • 不良品だった
  • 荒っぽく扱ってしまった
  • 練習しすぎた

上の中のどれかなのですが、答えは読者の皆さんに委ねます(笑)

さらに別のハーモニカで、5番の吸うリードをファイリング(リードを削る)作業をやっていた時、ハーモニカのリードをダメにしてしまったこともありました。

決して買いたての物でやらないでくださいね!ちょっと考えれば、使い古したハーモニカでトライしてみる。エラーのリスクが少し減る。ということに気がつきます。

そんな工夫も出来るので、これらの失敗も貴重な経験となりました。良い意味で自己投資だと思っています。

もし、10ホールズハーモニカに興味がある方、ボイストレーニングとハーモニカの関係って何なんだ?!そう思われた方は、こちらまでどうぞ。


 

10ホールズハーモニカの体験レッスンは、
TOMBO MEJORBOY(トンボ メジャーボーイ)Cキーをご用意ください。
コースはボイストレーニングコースの中で行なっております。

受講予約はお申し込みフォームからが便利です。
お電話でも受け付けております。

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