本日は本当にあったお話をしましょう。前回の著作権のお話の続編です。
▼前回の内容はこちら
書いた責任は室長にあることを前提に、読み進めてください(笑)。
少しの怒りと悲しさと、そして一種貶されたようなザワザワ感・・・。
そんな感情の渦巻くお話をします。それは、これです。
著作権のこと、知っておきましょう!
著作権は知的財産の中では身近な権利です。著作物は著作権法で保護されています。しかし、初めての方にとっては少し複雑でとっつきにくい権利です。
このサイトにも著作権に関する記事を上げていますので、概要はこちらをクリックして参考にしてください。
今回の内容をひと言でお伝えすると、
著作権のこと、「知らないなら知らないで、お勉強しましょう!」
ということです。
今回は生徒さんから許諾を得(氏名表示は致しません)、出来事の「事実」として要旨をお伝えしています。
こういった問題はその人の価値観や考え方の違いからくるものではなく、知っているか知らないか?または配慮の問題、そのように考えています。
本当にあった怖い、嫌な、悲しい話
生徒さんAさんはシンガーソングライターでライブ活動をしています。そのAさんの曲の使い方を巡ってトラブルが起きた、といった内容です。これは著作物の利用許諾に関わることです。
Aさんの作った楽曲(作詞、作曲)は、バンド用の譜面を作る場合、サポートメンバーBさん(以下、Bさん)が担当しているそうです。
さて、Bさんは、Aさんだけでなく、別のシンガーソングライターCさんとも音楽活動をしていました。Aさんは音楽活動をしていく中で、Cさんとは面識がありました。
ちなみにBさんとCさんは、それはそれは、長ぁ~~いお付き合いです。
そんなある日のこと・・・・
【ツーマン】
単独の「ワンマンライブ」に対応して2組で「ツーマンライブ」という表現。完全に業界用語で和製英語。エンタメの世界のみで使われている一種の集団語に近いものがある。
自分の曲をCさんが歌ってくれる。Aさんにとっては大歓迎でした。
ところが逆となると考えてしまうのです。Cさんの曲は、素晴らしい曲ぞろいです。ただ、Aさんが歌うとなると、Aさん本人の中では「?」なのです。「ジャンルが違いすぎるから」がその理由です。さらに人前で他人の曲を演る。それも作った本人の前で歌うとなると、準備やパフォーマンスをしっかりと考え、たくさん練習しなくてはなりません。
そんなことを考えている最中、CさんからAさんに
と提案がありました。しかし、Aさんにとっては、どうするのか?もう少し時間がほしかったのです。
実はその間、CさんとBさんの間で着々と話が進んでいたのです!
Cさんが演りたいと思っていたAさんの曲2曲が、Aさんからの許諾を待たずして、BさんからCさんの手元に渡っていたのです。・・・・・・。
Aさんが知ったのは手元に渡った数日後でした。
著作権は支分権が多すぎてややこしい。だからこそ!
これまでのお話を読んで、あなたはどう思われましたか?
いえいえ、事後報告がされているとはいえ、CさんもBさんも、Aさんの許諾なくAさんの楽曲を使うことはできません。お互いに連絡先を知っているのだから、順番からいうと、先にAさんに許諾をとるべきなのです。
仮にグループLINEをしていたとしても、CさんはAさんの返信を待ってから行なうべきだったのです。
簡単に言ってしまえば、著作権がらみの件は、相手から許諾を得られれば、まず問題にはなりません。著作権は無方式主義で創作した時、同時に権利が発生します。プロだアマだは関係ありません。
この場合は、Aさんが著作者でもあり著作権者でもあります。利用する側はBさんとCさんです。Aさんから許諾を得た条件の範囲内及び利用方法で、Aさんの楽曲が使えるのです。
著作権者は他人に著作物の利用を許諾することが出来ます。この場合は諾成・不要式の契約なので口約束でも成立します。書面の作成は必要ありませんが、もし何かあったときのために作成しておいた方がよいでしょう。
自分の楽曲を使ってもいい(またはアレンジしてもいい)?と尋ねられたら、嫌だという人はほとんどいないでしょう。アレンジする場合でも、著作者人格権の同一性保持権を害さない範囲で話し合えばよいわけですし、OKならどんどん使ってもらいたいと思う。僕が作曲者でもそう願います。
著作権法の目的にかなっていますからね。
【著作権法第1条】
この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し、著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ著作権者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする。
許諾をとらなくてもよい場合もあります。公表された著作物の引用は許諾をとる必要はありません。また、音源配信などを使った放送や有線放送の場合には、許諾がなくてもアーティストやレコード(著作権法上のレコードの意味)製作者は、二次的な使用料を頂戴ね、といった権利は発生します。
例えあなたがまだこれらのことを知らなかったとしても、
これが危険!放っておくと差止請求措置や名誉回復措置の請求権(著作権法に規定)、損害賠償請求権や不当利得の返還請求権(民法に規定)など、民事的刑事的な措置を取られる場合があります。ちょっと「あれっ?」と感じたら、相手から許諾をとった方が絶対にいいですよ!
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