『レベルアップしたいボーカリストが必ずやっていること』2回目の記事はいかがでしたか?前回の内容は、対照に着目して同じ曲の日本語バージョンと外国語バージョンを幾つか取り上げてみました。
その1
その2
今回は(その3)の最終回です。
歌う行為の背景にあるものを理解し、その人なりの準備をしている♪
今回の内容をひと言で結論づけますと、上のサブタイトルになります。
上手いボーカリストって、ボイトレスクールに通わなくても、直接的間接的にこのような準備作業をして臨んでいます。こういった人たちは、かなりの強者です!
もっと範囲を広げたり、深堀りしていくと、その歌の背景にある文化や宗教までも勉強していますから、脱帽です!
例えばブラックミュージックの場合、黒人音楽(ブルース、ゴスペル、ヒップホップ、ソウルミュージックやR&B)に関するアメリカ文化、そしてキリスト教との関係などです。
歌う行為の背景にあるものは沢山あると判断しますが、今回は特に以下の2つに絞ってお届けいたします。
4技能を考えながら活動している
4技能とは、上の図にもあるようにきく、歌う(言語では話す)、読む、書くです。
「きく」というのは、課題曲をBGMとして聞くのもありだし、詳しく聴き取ることもやりますよね。また、レッスンの時には、担当のトレーナーに訊いたり、グループレッスンの場合は、他の生徒さんの歌を聴いて良いところを吸収したり、練習方法などを訊いたりもしますよね。
この「きく」行為は、ボーカル活動の基本になります。
「歌う(言語では話す)」ことは、図の右上のクリーム色の部分に相当します。「歌ったりMCで話したりする」ことは、ここで改めて書かなくても大丈夫でしょう。何故なら、ライブではこれを主体にやっているからです(笑)
続いて、「読む、解釈する」とはどういったことでしょうか?
これは、歌詞を読んだり解釈したり(日本語の場合も外国語の場合も)といった理解能力のことを指します。この能力は文字媒体を使ったアウトプット能力なんですよ。
それでは、「書く」とは?シンガーソングライターのあなたは直ぐにピン!ときますね。オリジナルの詞を書いたり曲を書いたりすることなのです。
それでは、シンガーソングライター以外のボーカリストにとっての「書く」とは?課題曲となっている詞を手書きでかいたり、ワープロで入力したりする作業です。
歌いたい課題曲の予習、準備作業にこれをあてます。ただのコピペで歌詞カードを用意するのではなく、「自分で書く」という作業をしながら歌詞を用意するのです。これが大切!
歌ウマの生徒さんは、必ずこの作業を面倒くさがらずやっていますよ。
似たようなことを別の切り口から書いてあるのが下の記事です。興味ある方はどうぞ。
ボーカルとバックの演奏の関係性を常に考えながらやっている
ボーカルとバックの演奏の関係性とは、
- バックがカラオケ
- 他人の曲か
- 自分のオリジナルか
- バックが生演奏
- バンド形態か
- アコースティックユニットか
- 音楽のジャンルは何か
- カバーやコピー寄りのジャンルか
- ボーカルの主体性が問われるジャンルか
によって解釈が分かれてきます。
大まかに説明しましょう。
バックがカラオケ
精密採点で高得点を狙いたいあなたの場合、コピーということが必要になってくるでしょう。採点バーを気にしながら声を置くだけのことがないようにしたいのは、このレベルの方ならば、お分かりですよね。
あなた自身のオリジナル曲をカラオケにしている場合もあるでしょう。その場合は、あなた自身が「ご本家」ですから、あなたの表現力次第でどのような歌い方にもなるでしょう。
バックが生演奏
この場合、バックがドラム、ベースのボトムが存在していることが前提でギターや鍵盤があるか?または、鍵盤ひとつ、又はギターひとつだけでアコースティックユニットの中でボーカルをとるかで、歌うアプローチの仕方が変わります。
これは、バンドだから声量を上げる、アコースティックだから声量を下げる、ということではありません。
ここで言いたいのはタイミング、フレーズへの入り方のことです。バンドだとドラムのきっかけやギターのカッティングなど、他の楽器を聴いてタイミングを計れますが、鍵盤ひとつ、ギターひとつの場合は、お互いにゴーストノートを細かく取りながらでないと、タイミングが合いません。
自分で弾き語りをする場合は、楽器も歌も自分なのでこの限りではありませんが。
音楽のジャンルは何か
どんな音楽のジャンルを歌うかで、コピーとカバーのアプローチって変わってくると断言できます。
例えば、ジャズ。これが正解という答えはないため、同じ曲を演奏しても、演奏者によって演奏のスタイルやソロの組み立て方が違ういうことになります。70年代ロックにもそういった傾向があったように思います(今では、特にロッククラシックといわれているハードロックやプログレッシブロック)。ただ、ご本家のミュージシャンをリスペクトするという意味で、カバー➡完コピで演奏という場合も多々ありますね。
音楽のジャンルというと、平成以降(特に2000年以降)からでしょうか?ボーカルとバックバンドの関係性が、かなりはっきりとしてきているように感じます。
僕が、バンドを組み始めた頃や、今でもセッションでやっていることは、必ずボーカルとリード楽器の対話があります。つまり、楽器ソロが曲の中に組み込まれているのです。
ところが、一部の地下アイドルの曲や、いや、ポップス系の曲全般かな?ギターソロの少ない曲が増えてきているのです。かと言って、バッキングのテクニックは昔と同じ程度です。もちろん若いミュージシャンで味のあるテクニシャンもいます。
ここで、Facebookの友達が勧めてくれたブログを引用しますが、正にこの箇条書きが表しています。そこにはポップスとジャズとの比較を次のように言い表しています。
ポップス:歌9:楽器1 ボーカルが主役、その他の楽器は脇役。
ジャズ: 歌6:楽器4 バンドメンバー、みんなが主役。ボーカルは声という楽器の中の一つ。