政府の緊急事態宣言(2020年4月7日発令、5月4日時点13都道府県は延長)に伴い、いろんな仕事がテレワークだ、リモートワークだ、オンラインだと言われています。ボイストレーニングの業界でもいち早く採り入れる所、まだまだ二の足を踏んでいるところなど様々です。
ワンバイブスでは前からオンラインの必要性、メディアミックスの準備を少しずつしてきました。今回の騒動で、いきなりオンラインの優先順位が「ググ~ン」と上がりましたよね。
今回は、オンラインレッスンをやり始めて感じたことをお話しします。
オンラインレッスンによって改めて気づくコミュニケーション力♪
ここで、オンラインレッスンによって得られるメリットを先にお伝えしておきましょう。
- アプリの使い方を覚えられる
- バーチャル画像や映像にしない場合、自分の部屋をきれいにできる
- 直面する課題を工夫によってクリアできる
- コミュニケーションが取り戻せる
1.は読んでの通りです。一時、ニュースでセキュリティの弱さを指摘されたアプリもありますが、それは他のアプリでも同じことです。アップデートをしながら良くなっていくということです
2.アプリによっては、バーチャル背景を設定できるものあります。前の記事にも載せてありますが、ナント部屋も綺麗にできちゃうんですね♪
3.完全無欠のアプリなんてありません。各アプリによる課題は工夫によって何とでもなるものです。
4.おや?コミュニケーションが取り戻せるとは?一体何でしょうか? 続きをお読みくださいm(_ _)m
忘れてしまっていたコミュニケーションが戻っている!
便利になればなるほど不便になる!このことは、コミュニケーションにも出ていたと思うのです。これはこのサイトでも折に触れてお話ししています。
面白いのは、オンラインレッスンをやることで、忘れかけていた大切なコミュニケーションのスキルが戻りつつあるのです。誤解を恐れずに言えば、新型コロナウィルスが蔓延しなければなかったかもしれません。
それは何かというと・・・・
画面越しに話していると
お互いの発話スピードや間(ポーズ)が、リアルに対面しているときよりも変化している!
これに気づいたのです。何故気づけたか?
音声解析アプリで、生徒さんの歌声や話し声を録音して聴いたり聞いて貰ったりしていたからです。
これは、レコーディング等でDAWを使ったり、DTMを得意としている方ならばタイムラインを秒単位で識別できる目、耳、力を持っていますので頷いていただけるでしょう。パラ言語情報というのは大事なのです。
お互いに間(ポーズ)をとりながら対話できている
これは、オンライン・マンツーマンで行なっている場合によく観察できることです。以前、5人でオンライン対談した時もありましたが、人数が5~6名くらいになったとしても同じような結果になるかなと推測しています。
オンラインで対面レッスンのようにやっていると、電波の入り具合やルーターの調子など、いろんな要因が絡んできます。そうした時に間 (ポーズpause)をとることで確認ができます。確認をしながらお互い進めていけるんですね。
これが忘れていたコミュニケーションの取り戻しだと考えているのです。つまりお互いに「間」をとりながら話すことが出来ているのです。僕はこの辺は全くストレスは感じません。むしろ画面越しなのですが、レッスンの雰囲気がゆったりと流れていきます。それでいて時間が経つのが早く感じるんです。
あなたの周りに、間をとって話さなかったり、自分が言い終わらないうちに割り込まれてきたりして、とても嫌な思いをしたことはありませんか?
こういった人は相手の話を聴いておらず、聞いてもいません。
時々オンラインでもこういったことをしてくる人がいます。オンラインで対話するときには常に「間」のことを頭に入れておきましょう。声に出す言葉も「三密」を避けましょう!
▼きく 聞くと聴くと訊くの違い
▼「間」のお話
そういえば、日本語教育の世界で次のような用語があったのを思い出しました。
【ターン・テイキング(turn taking)】
話者が交互に話すこと。話者交替とも 。または、ターンを積極的に取ろうとすること。無意識のうちにスムーズに行われているが、それが壊れることがある。
例)お互いが同時に話し始める/まだ話したいのに相手に割り込まれる/相手が「ポーズ」をとって話さないため、どのタイミングで入ってよいのか分からないなど。【ポーズpause)】
間(ま)とも。発話中に現れる実際には音声のないひと呼吸置かれた時間のこと。分かりやすく伝えたり、相手に考えてもらう時間を与えたりする機能を持つ。【ターン・イールディング (turn yielding)】
話し手が聞き手にターンを譲ること。相手に発話を促したり、間(ポーズ)を挟んだりすることによって実現される。
生徒さんが言語化して伝える割合が増えてきた
さらに、オンラインに慣れ始めた生徒さんが、よく話してくるという傾向があるのです。もちろん先に出した間をとったり、ターン・テイキングやターン・イールディング が円滑になっている上でです。
これまで、ボイトレのメニューをやったり、課題曲を歌ってもらったり、朗読した後に、
このやり方はどうでしたか?
と訊くと、何人かの生徒さんは、言語化するのに時間がかかったり、
えーと・・・あまり良く分からないんですが。
と、伝えてくる場合もあったのです。それがです。
〇〇◇◇でした。/ △△□□のような気がします。/☆☆△◇だと思います。合ってますか?
と、きちんと伝えてくれるのです。
「私は感覚(多分この感覚はイメージ型の感覚)タイプです」と言い切っている生徒さんもその感覚をちゃんと言語化するのです。自分の身体で体感できたことを言語化してくるのです。
身体感覚の人は、
腰のあたりがどうなった。 口角を上げてやってみた。 重心を・・・
など、オンラインでも対面でも言ってくる傾向でした。
これ、物凄く良い傾向だとは思いませんか?!
お互いに工夫して協力できる
家の中でも工夫をすれば発声できる環境は整えられます。お金をかけずに!です。
特に発語発話の生徒さんではなく、歌うレッスンをしている生徒さんには、
歌う→大声→家の中→周りに迷惑
こんなビリーフ(固定観念など)があるようです。
しか~し
はじめから工夫をせずに言ってくるのはどうかなぁ?と思います。
反面、
このようなご時世だから、生活を変えなければならない部分、これまでの良い習慣を貫きたい部分を選んで、やっていきたい。
という自律性のある生徒さんや
こんなやり方でやると、どうですか?対面でもオンラインでもできるんじゃないでしょうか?
と具体的に提案してくる生徒さんもいらっしゃいます。こういったお互いに工夫したり、そこに遊び心が芽生えたりしながら行えると良いですね。忘れかけている工夫を見つけ直すことが出来ているのです。
我慢とは禁欲的なイメージかもしれません!でも工夫出来て楽しむことが出来れば、我慢を我慢と感じなくなるのではないでしょうか?