自主練、個人練の中で一番「つまらない」と感じる項目は呼吸の練習だと聞いたことがあります。
でも、あなたが習慣化することができれば、何処にいても自主練、個人練が出来てしまう。それが呼吸の練習ともいえるでしょう。ある意味一番地味な部分を楽しさに変えることのできる練習。それがこの呼吸の練習です。
第4回目は呼吸の自主練、自己練にフォーカスをあててみましょう。
胸式呼吸から腹式呼吸へ
今回のことを簡単に言い表すと、下の図表のようになります。
要は、歌の練習のための呼吸なのか?
声を整えるのか?
リラクゼーションや瞑想なのか?
そうです。あなたが行なう領域や分野によって、呼吸の練習は使い分けなければならないのです。
ワンバイブスではストレッチの段階で「呼吸筋ストレッチ」というやり方で、胸式呼吸からスムーズに腹式呼吸へと移行できるように、身体と対話をしながら行なっています。自主練、自己練を行なう場合、それが毎日の日課だろうと1日おきだろうと常にあなた自身の肉体との対話なので、ここは外せません。
▼胸式呼吸と腹式呼吸についてのバランスが大切という話は、こちらでも扱っています。
胸式も腹式も大事
僕は、胸式呼吸も腹式呼吸もバランスよく出来ることが大事と考えています。
よくこんなことを言う人はいませんか?
胸式呼吸はダメで、腹式呼吸が大事。
もちろんそれはそれで否定はしません。何故なら、あなたがそう考えているからです。
しかし、ラジオ体操の深呼吸での身体の動かし方は胸式です。ため息も胸式の身体の使い方です。
さらにたとえ音楽をやっていなくても、呼吸そのものは
- ヨガ
- 瞑想
- リラクゼーション
など、他の世界、分野、領域であなたの生活に密着しているものとなっています。実は、これらは胸式呼吸なのはご存知でしたでしょうか?
2020年現在、コロナ禍で人々の呼吸が浅くなっているのは確実です。そのような状態でいきなり腹式呼吸をやろうとする方法を僕は「?」と考えています。
通常の状態から腹式が出来ていると自覚している人ならば大丈夫でしょうが、そういう人でも呼吸が浅い場合はあるのです。
やはり生存するため、生きるために、胸式呼吸をしましょう。そのように身体を馴らしておいて、腹式呼吸へと移行させるのです。
6つある呼吸の流れを体感しながら、胸式から腹式にチェンジする
呼吸の流れ6つは、下の図のように循環します。
胸式の場合は
入ってくる→吸う→止める➡出てゆく→吐く→止める
となりますし、腹式の場合は
出てゆく→吐く→止める➡入ってくる→吸う→止める
になります。
同じ「止める」でも吸った後の「止める」と吐いた後の「止める」とでは、体感が違ってきますよね。念のため・・・。
その時の体調に応じて、または他の楽器の基礎練ともなる
この呼吸の練習は、その時の体調に応じてメニューを組み替えることが出来ます。
吐き方、吸い方、身体の使い方をその時の体調に合わせてメニューを変えていく事も大事です。例えば風邪をひいていて高音域が出し難かった時に、呼吸の練習に置き換えてみる。それだけ呼吸の練習はやり易くなっています。
声を整えるケア、メンテナンスのボイトレの場合、主流となって悔いるのが、この呼吸の練習でもあるからです。
また、ボーカルだけでなく、他の楽器の基礎練にもなります。どんな楽器かといえば、
- トランペット、サックス、トロンボーンなどの管楽器
- 吸って音の出るハーモニカ
などです。
ひとつ例を挙げると、同じ腹式呼吸でもタイプが違う場合があります。
腹式のタイプもいろいろ
何回も書いていることですが、腹式呼吸にもいろいろなタイプがあることを知っておかねばなりません。YouTube動画を一本だけ観て
このやり方で個人練をやってみよう。
と短絡的に判断しないことです。もちろんその動画を否定しているのではありません。大事なことはユーチューバーの先生はそのやり方でできていても、あなたはそのやり方でできるかどうか?です。年月かけたとしても・・・です。
もちろん年月かけずにに諦めなさいと言っているのでもありません。少なくとも動画を観て2~3つくらいのメニューを用意しておきましょう。メニューを確定させる前に試用期間として3ヶ月くらいやってみるという観点も必要でしょう。
楽器の使用による分類
腹式呼吸は歌うだけではありません。歌のジャンルですら、ロック、ポップス、ジャズ、クラシックいろいろあり、先生によってメソッドが変わってきたりもします。
ではここで、管楽器を加えて考えてみてください。僕がボイストレーニングを観てきた生徒さんの中で、サックス、トランペット、トロンボーン、フルートなどの吹きモノの楽器をやっている方は、腹式呼吸で吐き始めの時にお腹周りが膨らむ人がほとんどでした。(10人中9人の割合)
呼吸って吐くときにお腹凹むんじゃないの?
と思い込みのあなた、違うパターンもあるのですよ。(笑)
これがハーモニカなど吸って音の出る楽器の場合、歌の吸い方とは別で太い音を出すためには効率よく長い時間吸わなければなりません。
呼吸って、これだけでも奥が深いんです。