今回の内容としては、第5回目の続きになります。
あなたは発声練習のメニューをどのようにして自主練、自己練に組み込んでいますか?
自主練、自己練の習慣化。これが出来ているかいないかで自主練、自己練をやった時の伸び方がまるで違ってきます。PDCAのサイクルのようにしっかり回せればいいんですけどね。
ボイトレを習っているあなたは担当トレーナーと相談をしながら、またたとえ習っていないあなたでも組み立て方の筋道をつけさえすれば大丈夫です。
▼第5回目はこちら
今回は、以下のことを理解してくださいね。
個人で行なう自主練、自己練でも必要となる「バラす」「固める」「並べる」
僕は、個人練をする場合でも
バラす
並べる
固める
といった作業は必要なんだと考えています。この作業は一見面倒くさいように感じます。しかし感覚的なことと分析は相反する関係にありながら、僕は繋がっていると考えています。
それは、あなたの感覚を養うためでもあるからです。よく、先輩ミュージシャンから「ある程度の音楽理論を知っていれば演奏したり歌う時にラクにできる」と言われましたが、それと似ています。
それでは、個人練のバラす、並べる、固めるを見ていきましょう。
発声練習はいくつかのパターンを用意して確認する
例えば、
同じリップロール(リップトリル)の練習でも3パターンぐらい用意しておきます。同じ音程のロングリップで15秒、25秒、30秒に分けて、その日の調子の良し悪しでメニューを変えるのです。
また、音階練習をやる場合、オーソドックスからレベルの高いものまで3段階で入れておくとよいでしょう。
易:1-3-5-3-1(ドミソミド)
中:1-3-5-4345678(ド・ミ・ソ・ファミファソラシド)➡『コール・ユーブンゲンより』
難:12345-643-2-1(ドレミファソー・ラファミ・レ・ド)➡『某大手音楽教室のCMより』
この時注意することは、1回メニューを決めたらそれに固執しすぎないことです。
固執してしまうとこなすだけが目的となり、中級レベルに移った時、または伸び悩んだ時、急にやる気が出なくなることもあります。
三歩進んで二歩下がってもイイんだと思えるようにしましょう。
このようにバリ―ションの組み合わせをいろいろと試してみることで、あなたならではのメニューが確立されるでしょう。表にするとこんな感じです。
リップ | タング |
発声練習「マ」 [ma] |
発声練習「キャ」[kja] |
A | a | い | イ |
B | b | ろ | ロ |
*[ ]内の発音記号はIPAに準じる
「AB ab いろ イロ」をボイトレのメニューとします。
そうすると、異なる8メニューの中から2つのメニューを選んだとしても選ぶ組み合わせの数は・・・?
28パターン
になりますよね。異なるnメニューの中から k 個のメニューをやる順番をつけずに選ぶ場合
nCk=n! / k!(n-k)! ➡( ;∀;)組み合わせの公式 覚えてます?
8C2=8! / 2!(8-2)!
8C2=8×7÷2=28
数学のお勉強はここまでにして・・・、
自己練、自主練メニューのスタイルを確立させる前に、いろんなパターンを組み合わせてやり易いメニューのスタイルにすることが大事です。
「あーでもない、ーこーでもない」と、組み合わせを変えながらやっていくことが楽しくなれば、あなたの自主練、自己練は、最低半年以上続けられると判断します。
言語化によってメンタルトレーニングも同時にできる
状況・状態、反応、理由に分けて言語化してみると自主練、自己練のメンタルトレーニングも同時にできてしまいます。自主練、自己練の中でこれを取り入れていくと、あなた自身の課題の観察、発見となり意味のあることをチョイスできます。
1.状況把握
2.身体の状態
3.反応心
4.理由
1.状況把握
起きたててやるのか?仕事から帰って来てからやるのか?開始時間を決めて固定でやるのか?
テレビを見ながらやっているのか?2.身体の状態
やる前の体の状態はどうか?やった後の状態はどうなったのか?3.その時の感情(反応心)
すがすがしい気持ちでやっているか?嫌な人間関係を思い出しながらやったのか?無心なのか?4.理由
何故3.を思い出しながらやったのか?
(慣れていない人は、言語化するのが難しいかもしれません)【参考:田中ウルヴェ京 著/NHKこころをよむ『心の整えかた』/2020年NHK出版 P.42~P.46】
個人練の中だけではなく、日常生活でも行えることなのでやり始めてみてください。これ、やり始めるて習慣になるまで時間はかかります。ですが習慣化できればこれほど強いものはありません。
自分の声を可視化する
発声練習の確認には、あなた自身の声を可視化させることも大事です。可視化について詳しく取り上げた記事をこちらに貼っておきますので参考にしてください。
iPhoneではボイスメモ、Androidではアプリをインストールしてチェックしましょう。自分の声を聴くのが嫌な方でも声を「見る」ことによって変わってきます。
教室の生徒さんも声だけだと嫌がるんですが、可視化してPCから見せてあげると食い入るようにモニターを覗き込んでいますね(笑)
▼声は可視化してチェックする。
このままいくとどうなるんだろう?うまくなるんだろうなあ。
そんな期待感を持ちながら「自主練、自己練」を続けていってくださいね♪
では、また(^O^)