日本語教育の用語集は、各出版社から幾つか出されています。その中の半分以上は日本語教育能力検定試験(以下、検定試験と表記)への対策を柱にした内容と構成で組まれています。
ワンバイブスでは声を扱っていると同時に、微力ながら日本語教育の分野にも関わっています。声、言葉(言語)、音楽、コミュニケーションは切っても切れない関係にあると常々感じているからです。
どの分野でも言えることですが、特に範囲が広く様々な分野に関連する日本語教育の世界では用語の確認が欠かせません。
今回この記事でお伝えすることは
- 2021年現在、日本語教育関連の用語集の中では最新
- 日本語教師必携の用語集
- もちろん検定試験対策にも使える
そんな用語集を徹底解剖!どんな用語集なのでしょうか?
図表でスッキリわかる 日本語教育能力検定試験合格キーワード1400
この「図表でスッキリわかる 日本語教育能力検定試験合格キーワード1400(以下、合格キーワード1400と表記)」の著者は泉均先生です。室長もお世話になっている方です。
Amazonで予約をし発売日の翌日、自宅に届きました。
発売したてのこの本、パラパラとめくっていった感想、特徴などを書いていきます。
【引用 Amazonサイトより】
■日本語教育能力検定試験のための【必携・必修】用語集■
試験対策指導歴30年超。「検定試験のカリスマ」と呼ばれる著者が合格ノウハウをこの1冊に詰め込みました!30年以上にわたり検定試験と受験生に向き合ってきた著者が、合格水準に達するために必修のキーワード1452語を厳選し、試験に即した内容でコンパクトにわかりやすく解説しています。
キーワードは「見出し語」「小見出し語」「関連語」の三層構造。
- 見出し語… 基本となる重要なキーワード
- 小見出し語… 見出し語に深く関連するキーワード
- 関連語… 見出し語または小見出し語に関連するキーワード
(以下、略)
図表でスッキリわかる 日本語教育能力検定試験 合格キーワード1400 単行本 – 2021/6/17
著者:泉均先生 / 発行者:株式会社晶文社 / 定価:3,520円
可視化・紐づけ・知的な旅
この合格キーワード1400の特徴を言い表してみると3つのフレーズに凝縮されます。
-
- 可視化
- 紐づけ
- 知的な旅
ひとつひとつ説明していきましょう。
可視化で理解度がアップする
まずはじめに、どの用語集よりも図や表がふんだんに挿入されています。
目で見て全体を把握できたり、比較できたりするのが分かりやすいのです。
日本語教育の中には、ボトムアップ処理やトップダウン処理、BICSとCALPといった対比をして理解しなければならない用語がたくさん出てきます。暗記だけでは到底無理です。合格キーワード1400の図や表を見ることで目で確認が出来、理解もしやすくなります。
室長は先生の問題集(受講生の間では「トラ本」といわれています)や大逆転セミナーを受講した経験があるのですが、先生はいつも
可視化しましょう。
と仰っていたことを思い出しました。(イラスト似ていなくてすみません)
紐づけで点から線につながる
次に、バラバラで点だけだった知識が紐づけられて線や面、立体的な知識として整理されます。
室長は
本当に歌が上手くなるためには点の知識だけではなく、繋げることでアウトプット(表現)が楽に出来るようになるよ。
と、よく生徒さんたちにも話していますが実はこれ、泉先生の受け売りです。(笑)
何故なら、点から線に繋げることで当時合格率20%程の検定試験に合格できた。その経験が自信に繋がったからです。
先ほど対比して理解しなければならない用語の話をしました。さらに流れや関連を把握しないとならない分野も出てきます。
引用にもありましたが、キーワードを「見出し語」「小見出し語」「関連語」の三層構造にすることで、それぞれに関連するキーワードをネットワーク化出来ます。樹形図やマインドマップ、枝葉をイメージしてもらうと分かりやすいでしょう。これでどんどん深掘りが出来ます。
知的な旅行は自粛中でもできる
さらに、より知識が根づくように工夫と仕掛けが施されていることです。
合格キーワード1400のはしがきには次のように載せてあります。
【一部引用 はじめに】
本書では、キーパーソンに興味深いエピソードがあれば、それも重要な情報の一つとして取り上げました。理論だけでなく、その提唱者と時代背景までカバーすることができれば、本当に楽しい知的な旅になると思います。 (文:泉均先生)
室長が目を引いたのは、合格キーワード1400の中に先生のイラスト付きで「ワンポイントアドバイス」として検定試験対策のポイントやさらに関連知識が得られる箇所でした。
単なるTIPSとして読むのは勿体ないです。「対照分析➡誤用分析➡IL」の流れの整理や
これは知らなかった。なるほど!
といったこともありました。興味あることはいくつになっても勉強ですネ。
室長自身がこの本(合格キーワード1400)の中で知的な旅行をしているなあと感じた部分は、
巻末資料です。
国際音声記号(IPA)から始まって音声記号表、口腔断面図月の子音・半母音表、日本語の文法(動詞、イ・ナ形容詞の活用表と学校文法の比較表)、ローマ字表記表を眺めながら「旅」していました。僕にとってはこのコーナーはまさに「知的な旅行」です。
日本語教師になるためには?
以上、内容そのものにはほんの少し触れただけで要旨(≠要約)をお伝えしました。
日本語教育に携わるためには日本語教師としての要件が必要になってきます。公認日本語教師の資格等、今後どのように変わるのかはいろいろと言われていますが・・・。
現状では必要な要件として、次の3つのうちいずれかに当てはまらないとなりません。
- 大学、大学院で日本語教育に関する主専攻または副専攻を修了し、卒業していること
- 日本語教育能力検定試験に合格していること
- 文化庁届出受理の420時間以上の研修を修了し、かつ学士以上の学位を有していること
検定試験対策講座として
検定試験を受験する予定の方は泉先生の対策セミナーを受講することをお勧めします。形式はオンライン(Zoom)です。染み込むような説明の分かりやすさと出題的中率の高さで毎年多くの合格者を出しています。まさに「検定試験のカリスマ」です。
日本語教師養成講座として
また、先生が校長をされている日本語学校「日本東京国際学院」では、日本語教師養成講座・文化庁届出受理講座(文化庁届出受理番号:H30011531023)を行なっています。先ほど要件で挙げた文化庁届出受理の420時間以上の研修です。
春夏期(4月開講)と秋冬期(10月開講)の1年の中で2タームに分かれています。
室長もこの日本語学校に出講。「表現力養成」でボイストレーニングの実戦レッスンを担当させて頂いております。
以上、2件ともワンバイブスでは直接のお申し込みは承っておりません。直接お問い合わせください。