あなたは、著作権フリーの素材(イラスト、マンガ、絵画、写真、音源、動画などの映像も・・・。以下著作物とします)をダウンロードして使わせていただく時に
この作者誰だろう?
どんな人がこんなおしゃれな作品創ったの?
と思って使ったことありますか?
今回のお話は、
無料で使おうとしたものの、作者(著作者)が分からない場合はどうしますか?
とこのような内容です。
著作者が分からないのなら、黙ってそのまま使っちゃえばいいじゃん!
と思う人もいるでしょう。
しかし、これからはそうもいかなくなる
・・・・・・
かもしれませんよ。
著作物の二次利用について
著作物の利用について著作権法で新たに法改正されそうなことはご存じでしょうか?具体的には著作者が分からない場合の著作物の利用についてです。まあ、大嫌いというか、面倒くさい人にとっては把握しにくいのもこの著作権法でもありますがお付き合いください。
きっかけは、21年7月13日(火曜)付けの『読売新聞オンライン』で次のようなニュースに目が留まったことでした。
政府は、著作権者が不明な映像や音楽などが含まれる過去の作品をオンライン配信しやすくする制度創設の検討に入った。政府が認定する管理団体に配信者が著作権使用料を支払えば、作品の二次利用を認める方向だ。(中略)コンテンツ産業の活性化を図る。
◆引用 読売新聞オンライン◆
僕は、著作権者が不明でも使用料を支払えば使うことが出来るという部分に「!」と目が留まったのです。
▼著作権関連の記事はこちら
著作物の私的利用とそうでない利用
僕は著作権フリーの素材を使う場合=著作物を無料で利用する場合、著作者が分かれば僕は著作者の名前を入れるようにしています。
アイキャッチ画像をご覧ください。
succoによるPixabayからの画像
とありますね。(氏名表示権に基づいて氏名は出しています)
何故なら素材を無料で利用しようとダウンロードする場合、無料でDL出来るサイトには次のようなことが書いてあるからです。
使用料は必要ありませんが、画像を使用する際にリンク元を明示していただけると作者の名前が表に出るため幸いです。
◆高品質なフリー画像素材/多くのクリエイター達による、2.300万点以上の高品質な画像・動画素材。より引用◆
私的利用とは
ここで私的使用について考えてみましょう。
著作権の制限ということで、著作権者には制限がかかりますが、使う方は自由に使えるというのが著作権法にはあります。
私的使用といって、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内(家族に準じる限られた10人以内の人)で使うことは認められています。ただし、私的使用で複製した著作物を他人に頒布したり公衆に提示したりすることは出来ません。
著作者が分からない場合
では、著作者が分からない場合はどうするんでしょうか?
ここでややこしくなることは、
著作者=著作権者
とならない場合があることをです。つまり
著作者と著作権者が別
の場合なのですが、そもそも著作者が分からないので、著作権者か著作者かは問わなくても構いません。
通常著作者が分からない場合、公表時(その翌年の1月1日とされています)から70年まで保護されることになります。
パブリックドメイン
さて、著作権は70年の保護期間が過ぎれば、誰でも自由に著作物を利用することが出来ます。これをパブリックドメインといいます。(第62条)
著作者が亡くなって著作権者がいる場合、著作権は70年の保護期間満了と共に、権利消滅します
著作(権)者が亡くなってその相続人や縁者がいない場合はどうなのでしょう?この場合、保護期間中であっても消滅してしまいます。民法では相続財産は国庫に帰属(民法959条)とありますが、著作権法では消滅してしまうのです。
政府の見解、新たな制度?
こうなってくると、著作権法の目的である
(前略)著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする。(第1条)
といった条文に逆行してしまいます。
良い著作物があるからそれを使いたいのに、著作権者と連絡が取れない、著作権者の亡くなって相続人も分からない場合は、もうお手上げです。
新しい制度では、国が「集中管理団体」を作って認定する案が出ているようです。なんでも、著作権者でつくる団体らしいです。権利者と連絡が取れなくても、管理団体と契約して一定の使用料を払えば、多様なコンテンツが一括して権利処理される仕組みにする。著作権者が後に判明するなどして支払うよう請求があった場合、管理団体は利用者から受け取った料金から支払う。
という流れになる案なんですが、、、、
まとめ 使用料を払ってねって!?
著作権法では、
許諾をとる必要ないけれど二次使用料を払ってね。
という仕組みがあります。(95条1項)
例えば、放送局で音源を流したい場合(配信音源を含みます)、原則としてアーティストには使用料を払ってくださいという意味です。
使用料の話となると、あの(笑)JASRACについての話を思い出す方も多いでしょう。
JASRACに関してはあまり良いイメージを持っていない人もいるかもしれません。しかし僕らもただ批判するだけではなく、まずは正しく著作権法の知識を入れてからにしましょう。
今回の読売新聞の記事はあくまで「案」であり、決定ではありません。
著作権は支分権が多く他の知的財産権とはややこしいという人もいますが、
- 著作物を生み出す、創り出す人の権利(著作者人格権/著作財産権)
- 著作物を伝える人の権利(著作隣接権)
と大きく分けて考えていけば大丈夫。まずは大まかなところから押さえておきましょう。