歌が上手くなりたい。
あなたがこのように考えた時に、確実に歌の見本が存在します。それはご本家だったり、リスペクトして歌っているシンガーだったりします。
およそ芸事というものは歌うことも楽器を奏でることも芝居をすることも、先人たちの偉業があってなされていること。つまり、先人たちの土台がないとオリジナリティは産まれないともいえる。僕はこう考えています。
今回は、歌が上達したい時に考えてみることを書いておきます。僕の考えが正しいと言い切ることは出来ませんが、参考になれば嬉しく思います。
上達のためには自分と他人の比較は避けては通れない
まず、今回の内容をひと言で言いかえると、上記のようになります。
よく
他人との戦いではなく、自分との戦い。
これを当てはめて、
他人との比較ではなく、自分との比較。
という人もいます。間違ってはいないと思いますが、やはり他アーティストとの比較や対照はしなければならないでしょう。基準がないと比較対照が見えてこないからです。
上手い-下手、好き-嫌い、良い-悪いの組み合わせは健在
ここで以前も登場した4象限です。これを3つのマトリクスで分析することは、ここでも活かされるのです。以前の記事も参考にしてみましょう。
▼ボイストレーニングでどんな声を望みますか?
▼あなたにとっての歌声、話し声の基準とは?
ひとつめは、上手い-下手/好き-嫌いの象限です。人の歌を歌いたい場合、嫌いなアーティストの歌は余程のことがない限り歌おうとはしませんよね。なので、好き側に傾くでしょう。
続いては、上手い-下手/良い-悪いの象限です。ここは少し判断が分かれるところかもしれません。何故なら「悪声だからこそ上手い」場合もあるからです。
三つめは、好き-嫌い/良い-悪いの象限。これは、前の上手い-下手/良い-悪いの象限以上に意見や判断が分かれるでしょう。例えば「悪声と言われている。けれど好き」や、「友達は良いと言っているけれど、歌うと複雑で難しそうなので嫌い」などです。
▼昔も今も伸びる生徒さんはココが違う!
マネをしたい時に考えたいこととは
さて、僕は、個性のある声(個声®)を出したいのなら、マネをする段階は必要不可欠だと考えています。あなたがシンガー・ソング・ライターで最終的に「誰かの真似ではなく、自分の声」を目指していたとしてもです。
ここで、あなたが「誰かのマネをする時に判断できる物差し(scale)」を見ていきましょう。下の表をご覧ください
縦の行別の項目は課題チェック
まずは、縦の項目です。
下の段の現状分析(シアンとホワイト)は、今のレベルそのものです。例えば白の象限だけで極めたのが、北京五輪で銅メダルを獲得!フィギュアスケーター、笑顔の素敵な坂本花織さんでしょう。
フィードバック(イエローとマゼンタ)の部分は、いわゆる自律が出来るか?メタ認知が出来るか?で決まってくる部分です。自主練や個人練が好きな生徒さんにとって、この部分は大切なスキルとなるでしょう。
横列側の項目は自他という分け方
次に横列側です。
ギャップ側(イエローとシアン)は、対自分自身とのこと。いわゆる自分との比較と戦いの範囲です。また北京五輪の例を出しますが、この象限に当てはまるのが、羽生結弦さんでしょう。
対して右側のリスペクト(マゼンタとホワイト)は、相手と比べてどうか?の範囲です。マゼンタの「近づけば近づく程遠ざかってゆく理想」とは、近づけば壁が高くなる、壁が厚くなると解釈してもらえると分かりやすいかもしれません。
例を挙げると、外タレのトリビュートバンドを組んで「カバーではなく完コピ」を目指しているとします。楽器や機材も同じものを揃えて、テクニックを磨いているとします。でも上手になればなるほど、そのバンドの演奏やパフォーマンスが好きになればなるほど、遠くに存在しているような気がする。
コピーバンドをしている皆さん、こんな経験からくる想いはありませんか?
まとめ コロナ禍だからこそ自身の物差しを明確にしておきましょう
以上のように、何か基準となる物差しを用意して課題曲を練習してみることをしてください。
そうでないとトレーナーのコメントだけに一喜一憂してあなたがどこに向かっているのかが分からなくなるからです。頻繁にカラオケ大会やライブが出来るのなら、お客さんの反応で分かることの方が多いのでしょうが、今(コロナ禍の2022年3月現在)は、ライブやカラオケをやること自体、成約がかけられているから・・・。歌うことを始めとした表現することは、自分軸を持ってレッスンした方が確実に伸びるのです。