コライトをする時の注意点

co_wite 制作活動の現場から

今回はコライトをする時の注意点について書いていきたいと思います。

聞き馴染みの無い方もいるかと思いますが、

楽曲制作において、最近増えてきている作り方です。

コライトとは一体とんな作り方なのでしょうか?

 

コライトとは?♪

コライト分業や共作みたいな意味合いで使われます。

特にチームで定期的に活動するような人達をコライトと呼ぶ事が多い印象です。

コンペチームみたいな形ですね。

 

例えば、

作曲はAさん、それをBさんが編曲している間にCさんが作詞をする。

こんな風に、1曲を複数人で仕上げていくやり方です。

 

以前からこんな形で分業していくやり方はありましたが、昨今の音楽業界でコンペが増えて来た事PCの普及によるデータのやり取りの簡略、高速化のおかげで、コライトすることがかなり増えてきました。

 

リズムトラックだけを作るような人も増えて来ていて、

ネットにトラックを公開して、自由に使ってもらうというような人もいます。

コライトをするメリット

まずはコライトをするうえでのメリットを説明していきます。

 

1. 自分の不得意な部分を補い合える。

制作費があまりかけられないような案件では、

作詞、作曲、編曲と、マルチに色々な事が出来る事が求められています。

とは言うものの、各々に得意不得意があると思います。

  • 作曲と編曲は自信あるけど、作詞はちょっと…とか
  • ギターもピアノもカッコよく弾けるけど、曲作りは苦手…

などなど。

 

こういった時に、その分野が得意だと言う人にオーダーして作ってもらうというのは、

曲のクオリティーが格段にレベルアップします。

 

経験した事がある人はよく分かると思うんですが、曲の深みが増すというか、

一気にプロっぽくなります。

2.作業のスピードが何倍も早くなる。

当然と言えば当然なんですが、

1人で作業をしていると、まずメロディーを考えてコードをつけて、リズムトラックを打ち込んで…

その先も、色々と時間のかかる作業が山積みです。

 

それに対してコライトの場合

まず誰かが曲を作ってコードまでつけたとします。

そのデータをコライトしてる人達に一斉に送信。

リズムトラックを作成してるうちに、ワンコーラスくらいの歌詞を考えて、

リズムトラックが出来上がったら、ギタリストやピアニストがそれに合わせて自宅でレコーディング。

それと並行してシンセアレンジを進めたり。

そのチームによってやり方は違いますが、同時進行で色々な作業が進められます

 

〆切の近いコンペの時などは、特に有効なやり方です。

3.各々が成長出来る。

ある程度のレベルで、色々な事が出来るようになる事が必須と言えるくらいの音楽業界。

スタジオに入り浸ったり、セッションに行きまくって、他の楽器のフレーズを体感してきたような人は、色々な楽器の特性を理解していたりします。

もちろんそのやり方もすごくオススメです。

どさくさ紛れに質問して、その楽器のプレーヤーの得意技なんかも聞けちゃったりしますしね。

 

とは言っても、そんな人ばかりじゃないですよね。

DTMのデータのやり取りでも、近い事は出来ます。

 

例えば自分が編曲を担当していたとして、

ギタリストにギターのレコーディングをお願いしたとします。

ある程度ラフアレンジをする段階でギターのフレーズは打ち込んでいる事は多いですが、

ギタリストがそれに加えてフレーズを入れてくれたり、全くアイディアになかったトラックを付け足してくれる事があります。

某カッコいいギタリスト
イメージと違ったら使わなくていいから。

とか言って、カッコいいトラックを入れてくれたりするんです。

それを聴いたり、後々コピーしたりなんかして自分の引き出しにします

 

それが、ギターに限らず作詞や、ミックスなどでもそういったやり取りがあります。

 

コライトする時の注意点

このようなメリットがあるコライトですが、

複数人で作業を進める為、いくつか注意するところがあります。

 

1.指示は明確に!!

コライトする時は、誰かが案件を引き受けて、その人から色んな人に振り分けて行く事になります。

その人がプロジェクトリーダーになったり曲の最終決定権を持っています。

 

その大元の人が色々なプレーヤー、作家にオーダーをする時に、その指示が明確でないと引き受けた人達が、どういったテイクを出していいのか混乱させてしまう事になります。

 

長くやっている人同士であれば問題はあまりないんですが、

まだチームを組んで日も浅い関係で作品を作る時には、非常に注意が必要になります。

 

例えば、

アレンジのアイディアが浮かばない状態で、各ミュージシャンに

危ない?プロジェクトリーダー
お任せでお願いします。

なんて言った日には、どんなテイクが返ってくるか分かりません。

 

複数のプレーヤーがお任せで出してきたテイクが、かみ合うものだったらいいのですが、

それが不自然になってしまったような場合。

 

もう1回弾き直してもらう事になってしまいます。

そうなった時にミュージシャンは、

ミュージシャン
お任せって言ったのに、直すのか…

なんて事を心の中でつぶやいてたりします。

 

加えて、

ミュージシャン
この人は何回も弾き直しさせられるから、次は一緒に作品作りたくないな

と思ってしまいます。

 

せっかく一緒に作品を作る機会があったのに、それ以降一緒に作っていけないのは、もったいないし相手にも失礼にあたります。

 

その楽器に詳しくなかったとしても、CDやYouTubeなど、いくらでも資料はあります。

そこからイメージに近い曲を探して、この曲のこの部分みたいなイメージでお願いしたり、方法は考えればいくらでも探せます。

 

相手に自由に弾いてもらいたいと考えてる時はいいと思いますが、それ以外で不明確なオーダーになってしまうのは、

オーダーする側の怠慢です。

もしどうしてもイメージが浮かばないような時があれば、その旨を相手に伝えてアイディアを出してもらったりしてみる事をオススメします。

2.相手に敬意を持つ!!

そもそもこれがあれば、不明確なオーダーになることもないと思うのですが、

良い作品を作ろうとする意識が先行してしまって、相手に不快な思いをさせてしまっている現場を少なからず見かけます。

 

こんな状況です。

作詞家にオーダーをして、歌詞があがってきます。

ちょっと語尾の処理が合わないからと、それを許可無く勝手に変えたりしてしまうんです。

 

その作詞家さんからしたら、「アイディアだけとられて後は好きなようにいじられた…」

そもそも、各分野で活動している人にお願いしているはずです。

イメージと少し違うからと、勝手に変更するくらいなら自分でその部分をやるべきなんです。

作詞家も作曲家も、ミュージシャンも、1音1音をどうするか、頭を悩ませて絞り出しています。

特にPOPsという枠組みではプロジェクトに関わる全員が、いかに歌い手を魅力的に見せるかという部分に注力しています。

 

もしどうしても変更したい部分があるとしたら、相手にしっかり理解、納得してもらったうえで変更するようにしてください。

 

私個人の経験としては、歌詞を変更する為に1ヶ月近くの間、作詞家の方と打ち合わせを繰り返した事もあります。

それくらい、相手が出してきた作品や、その人自身にしっかりと敬意をもって接する事が大事です。

コライトする上で必要な人材

注意する点をいくつか挙げると、コライトをする事がわずらわしく感じてしまう部分もあるかもしれません。

とは言うものの、それ以上にコライトにはメリットが沢山あります。

 

私もよくコライトをして作業を進める事がありますが、

全体を統括出来るような人がいると、食い違って作業が進まない可能性がグッと下がります。

作家やミュージシャンは、その道を究めようとしていて、事務的な部分だったりコミュニケーションの部分が後回しになってしまう事があります。

そういったスキルを身につける事で、チームに重宝される人材になります。

 

音楽的なスキルだけでなく、他に仕事に置き換えても有利になるようなスキルや、意識を持って音楽活動を続けてみてくれればと思います。

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