今回は以前に紹介した表現職、技術職、教育職の中から教育職に関して掘り下げていこうと思います。
自分が講師を始めてから、少なからず耳にする事があります。
- 講師を始めたら、自分のレベルが下がってしまうんじゃないか?
- アーティストとして生活できないから講師をやってるんじゃないか?
この2つ、実際に自分が耳にしたり、相談された事があります。
言ってる事が全く分からないわけじゃないんですが、
実際に講師を始めて、今の自分の考えを紹介していきたいと思います。
音楽講師をやることのメリットとは?♪
私が講師を始めたきっかけを先にお話しておきます。
中学1年生でギタリストとして音楽を始めました。
いわゆるビジュアル系が流行っていた時期で、そのカッコ良さに憧れました。
20代後半までずっとバンドをやっていて、バンドを辞めてからは、その経験を活かして、サポートギタリストや、アレンジャーの仕事をしていました。
その期間も、知り合いからの紹介で、単発でギターのレッスン等をしていました。
その頃、仕事が上手くいかず、色々な方に相談したり話を聞きに行っていました。
度々ここでもお話していますが、飲食業にも興味があり、その業界に就職しようかなと考えていたりもしました。
先輩、後輩、同年代の仲間、ほんとうに多くの人達に時間を割いてもらいました。
そんな中、とある先輩と居酒屋で、
と話をしたところ、自分の経験談なども含めて相談に乗ってくれていました。
そして一言、
全く予想していなかった一言に、相当面食らったのを今でも覚えています(笑)
私がどんな活動をしていたかも知っている人なので、まさかそんなお誘いをしてくれるとは思っていなかったんですね。
バンドでコーラスをしていた事はありましたが、特に歌がうまい訳じゃないし、知識もあるわけではない、将来に悩む1ミュージシャンにそんなお誘いの言葉をかけてくれたのが、
もうお分かりの通り、
ONE VIBES室長の木下さんです。
一瞬頭が真っ白になって、少し悩みましたが、
その場で、
と言いました。
正直すごい怖かったんですが、悩んでいる時期に1つだけ決めている事がありました。
どれだけ怖い選択でも、ワクワクするような事には絶対に飛びつく。
これだけ決めて、日々悩み過ごしていたわけです。
その後、家に帰ってから大丈夫かなって心配がふつふつと湧いてくるんですが、
引き受けたからにはやるしかないと言う事で今に至ります。
そこから今に至るまでの勉強方法などは、また機会があれば。
ここからは講師を始めた事で、自分に起こった変化や、やってよかったなという部分にフォーカスしてお話していきたいと思います。
相対的に音楽のレベルがあがる
冒頭で、自分のレベルが下がってしまうんじゃないかという事を心配する声がありました。
これはおそらく、演奏や制作が分からない人と接していくうちに、自分のスキルに満足してレベルアップしようとしなくなってしまうんじゃないか…
先生と言われているうちに、怠慢、傲慢になっていっていまうんじゃないか…
そんな事を心配してるんじゃないかと思うんです。
私自身は、講師を始める分野が、全くと言っていい程知識のないものだったので、このような心配をしてる暇は無かったのはありがたい事でした。
この心配に関して、結論から言うと。
レベルが下がる事は決してありません。
勿論、レッスンにも真摯に取り組んでいるという事が前提になりますが。
実際に講師を初めてみると、ほんとうに様々な人がやってきます。
老若男女、プロ指向、趣味目的、現状のレベルもかなり違います。
自分より上手だなぁと思うような生徒さんもいっぱいいます。
特にボイストレーニングに関しては、楽器のレッスン以上に幅広い層がレッスンに来てくれます。
そんな多種多用な生徒さんから、色々な質問が来ます。
その場で分からないような事もいっぱいあるんですね。
そんな時は、一旦持ち帰らせてもらって自分で調べたり、トレーナー仲間に聞いたりする事で、解決の糸口をつかみます。
自分の事であれば、どこかで妥協してしまう事もあるかもしれませんが、生徒さんの大切な時間やお金を頂いています。
なんとしてでも、その質問に答えて、なおかつ出来るようになってもらいたいわけです。
講師は常に生徒さんの先回りをしていたいというような気持ちになる事もよくあるので、常に学んでいるんですね。
今でも生徒さんに教えてもらう事も沢山ありますけどね。
このような精神状態にいたら、自分も当たり前のように上達していくんです。
音楽を深く理解する事が出来る
講師をするにあたって、選択する楽器は、自分が演奏出来る楽器や歌になると思います。
人それぞれだとは思いますが、最低限その楽器のスキルがある方が多いですよね。
例えば、歌を含む楽器のスキルが同じ2人がいたとします。
✔1人は講師が出来ません。
✔1人は講師が出来ます。
この違いはどこにあるか分かりますか?
答えは、
言語化できるか否か
講師が出来る人というのは、問題点を見つけたり、お手本を見せたりするする事がありますが、それをある程度、言葉や図で説明出来ないといけないんです。
いわゆる感覚派と言われるような先生でも、
出来るようになるプロセスを、ある程度言葉を使って説明しています。
今まで自分の演奏で問題なく出来るような事も、生徒さんにとっては難しい事がよくあります。
自分が無意識に出来てしまっている事も、生徒さんが分かるように説明する必要があります。
自分が無意識にやってる事を、具体的に説明出来るようになる事は、相対的なレベルアップにもつながります。
まして、自分が出来ないような部分の質問も来ます。
その部分を習得する上で、生徒さんに伝える事を前提として学ぶので、自分の理解度も深まります。
学びのゴールは、人に伝えられる、説明出来る事
だと思っています。
▼身体にある音の記憶の記事にもエピソード記憶として似たようなことが書いてあります。
成長を共有出来る
表現職といわれるようなアーティストがステージに立って、多くの人に感動を与える。
とても素晴らしい事だと思います。
講師のステージは、レッスンをするスタジオやブースです。
講師をしていて一番嬉しい瞬間があります。
それは、生徒さんが問題点や悩みを克服出来た時です。
こんな事を言われるとたまらないですね。
仮にこんな言葉がなくても、じゃあ最後に歌ってみようかという時に、
今まで出来なかった事が出来るようになっていたら、
生徒さん以上に嬉しかったりするんです。
自分も苦労した部分だったり、出来るようになるまでの苦労も痛い程よくわかるので、
泣きそうになる事だってあります。
この喜びは、ステージに立って味わっていた感動とは違うものでした。
多くの講師の方々がそうだと思いますが、
生徒さんと一緒に、出来るようになる瞬間を心待ちにしています。
そんな瞬間を共有できる事が、何よりも幸せだったりします。
生徒さんが、ステージで演奏する時も、実は講師の方が緊張しているような事だってあります。
そんな事を言われた事があるんですが、
失敗したとしても怒ったりなんて事は無くて、親心のような気持ちで見守っています。
とか
って心の中で叫んでいます笑
怠慢な事をしていたとしたら、諭したりする事はありますけど、
ステージの成功を何よりも願っている人の1人である事は間違いないです。
自分のレベルアップもしながら、感動も共有できて、お金まで頂ける。
素敵なお仕事だなと日々実感しています。
自分は、生涯を通して成長の場、学びの場にいたいと常々思っています。
現在は、演奏も制作も講師もやらせて頂けるありがたい状況になっています。
講師の道を示してくれた、木下さんにも感謝が尽きません。
皆さんの将来に、講師という選択肢が生まれてくれたら幸いです。
以上、音楽講師業の薦めでした。
初心を忘れてはならない!
てつろう先生のコラム記事を読んで、このように感じました。素晴らしい「プロ」としてのトレーナー論です。
てつろう先生、ありがとうございます。身が引き締まる思いです!(室長 木下幹基)