ボイストレーニングを実際に活かせる分野は数多くあります。
- 音楽:ボーカル(当り前じゃん)
- 音楽:楽器 例えば、サックス、トランペット、フルート、ハーモニカなどの吹きモノ
- 話しことば:セミナー講師、プレゼン発表、司会(MC)、就職活動
- 話しことば:アナウンス、リポート
- 読む:朗読など
- 吃音(どもり)との向き合い
- 健康維持 などなど
今回は、ハーモニカと呼吸の関係についてお伝えしましょう。
なお。ここでいうところのハーモニカとは、10ホールズハーモニカ、ブルースハープ、ミシシッピサキソフォンなどと呼ばれている10個穴の開いたハーモニカのことをいいます。
S.ワンダー大先生(笑)が使っているレバー付きのものは、クロマチックハーモニカといいまして、今回のハーモニカとは分けています。
ボーカルの腹式呼吸を助けてくれるアリガタイ楽器♪
ハーモニカについては、以前、下のような記事を書いていました。
それは、吹きモノといわれている楽器全般では腹式呼吸をマスターするために必要な楽器だということ。ボーカリストを助ける楽器であることをとり上げていました。
長渕剛さんに代表されるようにホルダーをかけ歌いハーモニカを吹く。
ボーカル、特にシンガーソングライター(ひょっとして今はもう死語・・・?)の方は、ハーモニカを使いながら歌うスタイルでした。
今回この記事を書いたのは、ボーカリストにとってもハーモニカは腹式呼吸の出来る楽器だということを再認識してもらいたいわけです。
あなたは、何秒吸えますか?
ハーモニカは吹くだけでなく、笙(しょう)と同じように、吸って音の出る数少ない楽器のひとつです。
【笙の画像】 笙(しょう)について
さて、質問です。
ビックリする方もいるかもしれませんね。でも、息の流れをしっかりとコントロールすると、吐く方も吸う方もある程度の長さで出来ちゃいます。
ボイトレ初心者は、ほとんどの方がたくさん吸おうとして余分な部位に力が入ってしまいます。
そうすると身体に緊張が走ります。腹式呼吸が出来ていずにたくさん吸おうとすると、早い動きになってしまうからです。
▼ボイトレをやる時、知っておくべきカラダのこと(その2)-5.緊張の度合い/7.呼吸で緊張を解くには
歌う場合には、たくさん吸いたいときに、胸式にならないように吐ききったり、身体の緩め方を休符と相談しながらブレスポイントを決めていくわけです。
楽器の構造に見合った音を出す。その楽器が一番響く音が出るように音を出す。良い音が出るようにチューニングをする、時々メンテナンスを行なう。
これは身体が楽器である人間の場合でも同じです。
ハーモニカでの息の吐き(吹き)吸い
吐く(吹く)時
ほっぺたを膨らませないように吹きます。思い切り吹くのではなく、出来るだけそっとゆっくりと吹いた方が、響きのある大きな音が出せます。
ほっぺたを膨らませない方が息の流れが前に集まるからです。
早いフレーズの時はどうするの?
はい。吐く吸うという呼吸の練習の中で、ドッグブレスという方法があります。
犬のように息を「ハッハッ・・・」と早く吐いたりする練習です。ドッグブレスについて書こうとすると、これだけでひとつのテーマになってしまいますので、別の機会にします。
吸う時
ゆっくりとストローでジュースを飲むように吸ってみましょう。遠くからゆっくりと引っ張ってくるイメージが大切です。
またはうどんやそば、ラーメン、パスタなどの麺類を食べるときのように、少し唇をすぼめてみます。
人によって唇の厚さ、大きさが違いますので、そこはいろいろと工夫をして楽しんでください。
思い切り吸ってしまうと鳥のオウムのような口になりやすいようです。顎が上がりやすくなるし喉を使って吹き吸いしてしまいます。すると喉に力が入り、胸式呼吸の身体の使い方になってしまいますので注意しましょう。
僕も始めた時には、難しかった記憶があります。
そんなことを感じながら練習していました。
ポイントは唇です。
唇を使って吹いたり吸ったりすると、息の調整(コントロール)しやすく、音の強弱もつけやすくなります。
トレモロ
この単語も音楽の別の楽器によっては、ニュアンスの違う意味合いで使われているようで、トリルという単語が使われるなどごちゃ混ぜです。
ハーモニカの世界でいうトレモロとは、2つまたは3つの穴をハーモニカを交互に移動させながら音を出すテクニックです。
これも音源を参考にしてください。音源では4番と5番の穴を吸ったトレモロをやっています。もちろん吹くトレモロもできます。
2つ3つの穴を鳴らしているという意識ではなく、ひとつの音として鳴っているという意識が大切かなあ。
このトレモロが雑だと、飛び道具としてのアグレッシブさは伝わってきますが、繊細さには欠ける音になりますね。
キレイに鳴らすひとつのコツとしては、
- 顔を動かさずに手を動かすこと
特に添えている右手の親指がストッパーの役割を果たしますので、この指を上手く使うことがキレイなトレモロを鳴らすポイントになります。
そうするとフレーズがキレイに流れてきます。
さすがにホルダーをかけてトレモロを行なう場合は、首を左右に振らなければなりません。唇の支点をどこに持ってくるかで、音の鳴り方が変わります。唇が滑ってしまうとアウト。
繰り返し練習ですね。
フェイクとベンド
フェイクもベンドも吸うコントロールをすることで、口の中の空気圧を変えて音が下がる、下がった音が元に戻るテクニックです。
フェイクとは、音を少し下げたり、下げた音を元に戻したりするテクニックです。
何となく、滑らかさが出ていて、ブルースハープらしい音色です。ホヮウワ~(^^♪なんていう音かな(笑)
比較的やりやすいのは1番の吸いと4番、5番の吸いです。それに対して、2番の吸い、3番の吸いは途端に難しくなります。
吸うイメージとしては、ネコが泣いているイメージでやってみると分かりやすいと思います。
余談ですが、昔、家の近くにいたネコに向かって、フェイクを使ってハーモニカで音を鳴らしてみたところ、ネコが止まって不思議そうにこちらを眺めていました。
続いてベンドです。
ドローベンディング
ベンドとは、フェイクとよく似ていますが、フェイクのように滑らかさではなく、いきなり音を下げて出す。
いま、2番と3番の吸う音では、フェイクは難しいことを書きました。これはベンドにもつながることです。
フェイクよりも少しだけ勢いをつけて吸いながら音を下げてみます。ところが、思い切り吸えば吸うほど音は下がってくれません。
ハーモニカの中にある空気を吸うので喉の力はあまり要りません。喉の力で一生懸命に吸おうとすると、胸式呼吸になってしまうことは、ハーモニカでの息の吐き(吹き)吸いの項目で書いたとおりです。
ベンドをかけると同時にハーモニカの角度を少し下に向けたりすると、キレイにかかる場合もあります。
ここで、それぞれの穴がどの程度音が下がるのか表にまとめました。
正確に音を出すというよりも、このあたりの音が安定して出せると、ブルースやロックなど何ともハーモニカで奏でている音色らしくなると考えてやってください。
さて、半音下げのことをハーフベンディング、1音下げのことをフルベンディングとして載せている教則本、教則DVDもあります。
1番 | 2番 | 3番 | 4番 | 5番 | 6番 |
半音下げ | 半音下げ | 半音下げ | 半音下げ | 半音下げ | 半音下げ |
1音下げ | 1音下げ | ||||
1音半下げ |
ハーモニカの構造としては、キー(調 音の高さ)が変わっても同じです。
1番、ハーモニカから唇が離れないようにして「ウオ」というように唇を動かしながら吸うと比較的音が下がりやすいです。
4番、5番、6番も初心者の方はやりやすいようです。
難しいのは2番と3番。特に3番のベンドは、あなたなりのコツを掴むまでに練習が必要になってきます。
唇の締める力と舌先~中舌の使い方がとても大切になってきます。
☑ ベンドが出来ない場合の指南
①遠くからゆっくりと引っ張ってくる
②ハーモニカにある空気を吸うというイメージ
③吸った空気を舌を下げながら調整、中舌をくぼませる場合も
(どの穴の番号を下げるかによって、空気の当たる舌の場所が異なる)
ブローベンディング
7番から10番までは吹いて音を下げるブローベンディングになります。
息の吹きこみ方や口の形など、吸ってベンドするドローベンディングよりも工夫が必要になります。まずは、ドローベンディングから制覇しましょう。
まとめ♪
ハーモニカのテクニックについては、
✔グリッサンド
✔ハンドビブラート
✔スロートビブラート
✔オクターブ
✔タングブロッキング
などいろいろあります。
詳しくは、ハーモニカ、ブルースハープ関連の音源等をあたってみてください。
この楽器、やり始めるとわかってきます。
まずは、パッカーリングとベンドの壁にブチ当たります。ここで80%の人たちが挫折をします。
しかし、ここをクリアすると、本当にボーカルにとって呼吸の練習を助けてくれる楽器だということ。
さらに、歌で表現できないことが表現できるという人もいます。また歌とハーモニカとは延長線上だよという人もいます。
いずれにせよハーモニカと呼吸は密接な関係にあるというわけです。