ボーカリストの皆さん、自分用のエフェクターを持っていますか?
エフェクターというとギタリストやベーシスト、キーボーディストなどの楽器プレイヤーが持つものだと考えるかもしれません。
凝っている人や自分なりのスタイルやポリシーのある人は、ボーカルでもエフェクターを持っている時代です。
ボーカリストのための必要な楽器はマイクだけではなく、エフェクターも必要なアイテムになってきています。
ボーカル用エフェクターの種類もたくさん出ていますね。
今回は、ボーカル用エフェクターについての紹介というよりも、ひとつの考え方をお届けいたします。
あなたのボーカルに何を加えるかで選ぶエフェクター♪
もちろん、エフェクターなんて要らないという考え方もあります。
ただ、
ライブハウスやお店では、ボーカル用のチャンネルで軽くリバーブをかけたりもします。ハウリング防止のために、イコライザーで補正もかけます。
この時点で、エフェクターを使っているといってもいいでしょう。
素朴な疑問として
といった初心者の方から
といった方まで。
まあ、実際は、音を出して確かめるのが一番いいわけです。ポチッとクリックして買うよりもね。
エフェクターの種類
まずは、エフェクターには、どんな種類があるのかをみていきましょう。
ここでは音の効果別に分けています。
その昔「三種の神器」と言われていたエフェクターがあります。
【三種の神器】
- ワウ=周波数をコントロールすることで音色を変化させます。これが後のEQ(イコライザー)になります。
- ファズ=音に歪みを加える音色変化を狙うエフェクター。
- エコー=山びこのような空間、広がりをコントロール出来る。
エフェクターの種類は大まかに分けると以上3種類。
ここから歴史がスタートしたと言われています。
上に挙げた3種類には入っていませんね。
でも、フェイザーの原理から言うとフィルター系のようなもので、それを通して出てくる音は空間系のような感じです。
フランジャーはディレイから枝分かれしたエフェクター。
だからといって空間系でまとめてしまうのは嫌だ、という人もいます。
というわけで新たに4番目として
4.モジュレーション系
を加えました。
これには、フェイザー(フェイズシフター)やフランジャー、コーラスなど、
効果のニュアンスが独特なものが当てはまります。
そしてもうひとつ。
5.ダイナミクス系(VCA系とも)
コンプレッサー、リミッター、ノイズゲートなどの類のエフェクターです。
現在のエフェクターの分類は、大まかに分けて5種類となっているようです。
☑フィルター系 | 一部の帯域を上げたり(ブースト)下げたり(カット)する ことで面白い効果を得る |
イコライザー、カットフィルター | |
☑歪み系 | 信号を増幅して、音を歪ませたりするエフェクター |
オーバードライブ、ディストーション、ファズ | |
☑空間系 (アンビエンス系) |
音を残響(やまびこのような効果や反響)させるエフェクター |
ディレイ、リバーブ | |
☑モジュレーション系 | 音を揺らす(薄い揺れや極端な揺れ)エフェクター |
コーラス、フランジャー、フェイザー、トレモロ | |
☑ダイナミクス系 (VCA系) |
音の強弱や音圧に関わる効果が分かりにくいエフェクター |
コンプレッサー、リミッター、ディエッサー、ノイズゲート |
その他、分け方によっては細かくなってしまいますが、プリアンプ系などのエフェクターもあります。
コンパクトかマルチか
つづいて、筐体の分類についてです。
エフェクターについては
マルチエフェクターかコンパクトエフェクターか?
といったことも議論の的になりそうです。
【コンパクトエフェクター】
ひとつひとつの筐体(ハコといいます)に異なる効果、機能が盛り込まれています。デジタルのもありいますが、昔ながらのアナログ。ツマミで操作します。
【マルチエフェクター】
主な音の効果(エフェクト)をひとつの筐体に全て収まっているエフェクターの事です。自分の好きな音を探し出して、音作りができます。面倒な配線やつなぎ方の心配がありません。
自分で好きなエフェクトを組み合わせたり、それをプリセットしてスイッチ1つ踏むだけで瞬時に音を変化させる事ができます。
ライブでは重宝されますし、電源供給などはラクになりますね。
また、単体で買うとひとつひとつコストがかかりますが、マルチだとひとつだけなので、ある程度のコストを押さえることが出来ます。
ただし、
音色にこだわっている場合はどうなんだろう?
例えば、空間系はマルチエフェクターの音がいい。フィルター系は単体の方がいいという場合だって出てきます。
もっともこういった悩みは、ある程度エフェクターを使い慣れてきて(2~3年経ってから)出てくるので、初心者の方はいろいろ試してみると良いでしょう。
まあ、ボーカルのエフェクターで歪ませたりすることは、よほどのことがない限りしませんから。
僕の先輩ミュージシャンは、
と言っています。
ボーカル用エフェクターの選び方
やはり比較して聴いてみることが大事だと考えています。
エフェクターは音に効果を出すための「魔法のハコ」です。
実際に音を出す、つまりエフェクターをとおしたマイクに向かって歌ってみることを試してみないと何とも言えません。
勉強して、吟味してあなたの耳で判断しましょう!
ここで大切なことを!
エフェクターが楽器とアンプ(マイクとPA)の間に入れば入るほど音ヤセをしてしまいます。
ボーカルに限っていうと、マイクとPAの間にマルチエフェクターがひとつなのか?
それとも幾つかの単体のエフェクターが入っているのか?といったことです。
そうそう。繋ぎ方を直列にするかどうかでも変わってきますね。
迷っているあなたは、まずプリアンプ系のエフェクターをお勧めします。
どうしても効果を確かめやすい空間系(ディレイやリバーブ)、モジュレーション系(ハーモニー効果やピッチシフターなど)に飛びつきがちです。
それはプリアンプ系のエフェクターをある程度使った後でもよいかな、と考えています。
ボーカル用エフェクターをどう使う?
理由はこうです。
最終的にやっぱり落ち着くところは、シンプルにしないといけない。
それが僕の考え方です。
ここで
「足すか引くか?」
「音を作るか整えるか」
ということに話が進んでいくからです。
どちらの考え方や使い方も大切で、そのバランスが大切
という前提のもと、読み進めてくださいね。
例えば、ギターソロの時に、オーバードライヴやディストーションのペダルを踏んで、歪みを加える。これはよくやっていることですよね。
アンプやエフェクターのセッティングをした事のある人はご存知かと思いますが、基本的なセッティングというものがあります。
そこからトーンコントロールやゲインなどのつまみを回していき、好みの音色を作っていきます。もちろん、曲によってエフェクターを深めにかけたり、浅くかけたりもしています。
しかし、先にも言いましたように
エフェクターを繋げば繋ぐほど音ヤセします。直列、並列の差はあれど確実に音ヤセはします。
なので発想を逆にして
☑盛り上げりたい時にはダイレクトな音
☑平歌の時には、エフェクターをかける
なんていうのも良いのではないかと考えるんです。
足し算ではなく、引き算の考え方ということになります。
この引き算の考え方は歌でも使えるんです。
歌うことでもこの引き算の考え方は、頭の隅に入れておいた方がよいでしょう。
これと歌う事とどう関係があるんでしょうか?
ボーカリストにとっての基本的なセッティング
実は、それがプリアンプを使って色々と試すことで基本的なセッティングが出来ます。だからまずこれをお勧めします。
僕はこれを基準を作るとか、フラット、またはニュートラルとか言っています。
出したい音よりも下がっているという意味のいわゆる♭(フラット)ではなく、
平らとか基準という意味のフラットです。
あなた自身が歌う時、フラットがどういう状態であるのかを見つけるために使うのです。
積極的な音作り、声の音色作りではなく、整える、補正するといった使い方です。
人によっては、
- 音質を整えるのがプリアンプ
- 音質を効果的に変化させるのがエフェクター
と分けて考えているミュージシャンもいます。
まとめ 自分の基準=フラットが分かると強い
上の写真は、愛用しているBEHRINGERのTUBE ULTRAGAIN MIC200といったプリアンプです。
パネルのPREAMP MODEで楽器でもボーカルでも使い分けが可能です。
幾つか使ってみた結果、これが一番使い勝手が良かったんです。比較的安い値段で買えたのもよかったです。
例えば、レコーディング時、ある歌い方で歌ってみてディレクターの指示がそうでなかったらどうしますか?
フラットな状態を知っておかないと、どうやって歌ってよいのか分からなくなりますし、肉体的にも精神的にも結構な労力を使ってしまいます。
この状態を知っていたとしたらいつでも自分自身の基準に戻ることが出来ます。
これ、アンプやエフェクターのセッティングと全く同じ考え方なんですね。
特に効果の分かるものよりも、プリアンプ系やイコライザーの方が分かりやすいと感じています。
役者さんのトレーニングでもこれと似たような考え方で話しています。
エチュードや稽古を行う場合、フラットな状態があるからこそ、
その状態から足すのか?それと引くのか?が分かる。
フラットな状態をボイストレーニングで訓練しておくことも大切なんです。