小学校で英語のカリキュラムが採用されている昨今、「小学生のうちから音声教育を!」と願って止まない室長です。英語ではなく、音声教育なのです。
今回は語学ということについて皆さんと考えていくことにしましょう。
語学(英語、フランス語)が堪能なある生徒さんから、昔、言われたことがあります。
直ぐに共感できました。何故なら、僕も「日本語教育能力検定試験」の勉強中、そのように感じていたからです。
4技能を総合的に育成するための学習活動や言語活動を考えるとき、考えなければならないことがあります。それは、
4技能は語学だけではない
ということです。
4技能にコミュニケーション能力を♪
コミュニケーションに必要なのは4技能を土台として対話力などの能力を追加しないとなりません。これをコミュニケーション能力といったりします。
ここで、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)についてお話しましょう。
CEFRとは、Common European Framework of Reference for Languages の略です。日本語に訳すと、ヨーロッパ言語共通参照枠といいます。英語の頭文字をとってセファールとも読みます。
ヨーロッパ全域の言語教師間の協力を促すために1990年代に欧州評議会によって作られたもので、ヨーロッパ全体で外国語の学習者の習得状況を示す際に用いられる枠組み(ガイドライン)です。この枠組みは、教育と評価の両方に使うことを目的としています。今では、世界で使用されている言語教育の枠組みとされています。
【CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)における能力とは】
CEFR で分類される例示的能力記述文のカテゴリーは、大きく「コミュニケーション言語活動と方略」と「コミュニケーション言語能力」の二つに分類され、コミュニケーション言語能力は、言語能力(linguistic competence)と社会言語能力(sociolinguistic competence)、言語運用能力(pragmatic competence) で構成されている。
▼各レベル別の段階分けチャートはこちら
まとめると、こんな感じです。
1.コミュニケーション言語活動と方略
方略とは、言語教育の分野でいうところの工夫、方法という意味で、戦略とは少し違います。別名、学習ストラテジーとも呼ばれています。
学習や習得の仕方に直接的にかかわる直接ストラテジーと、間接的に習得のための条件を整える間接ストラテジーがあります。(レベッカ・オックスフォードの分類が有名-1990)
2.コミュニケーション言語能力
2-1.言語能力(linguistic competence)
音韻・音声、語彙の選択の精確さや統語に関する知識と技能などから構成される能力。
2-2.社会言語能力(sociolinguistic competence)
社会文化的な制約の中での言語使用の能力。例えば、丁寧さの選択、世代、性(ジェンダー)、慣習などによる使い分け。
2-3.言語運用能力(pragmatic competence)
言語の機能面に関する知識と力、対話のパターンの予測や段取りの構想を行うための能力など。
日本でも、CEFRをベースに、日本の英語教育での利用を目的に構築された、新しい英語能力の到達度指標として、CEFR-Jという参照枠があります。
また、日本語教育の分野でもJF日本語教育スタンダード(JFスタンダード)として、コースデザイン、授業設計、評価を考えるための枠組みを設けています。これもCEFRの考え方にもとづいて開発しました。
4技能をどんな方向から見てゆくか
結局のところ、4技能を使って何が出来るか?が重要なのです。ここで、どんな視点から見てゆくかを考えてみましょう。
よく4つの技能に分けてくださいというと、まとめ方としては、音声媒体(聞く・話す)と文字・線画・画像媒体(読む・書く)という分類が多かったように感じます。
これを切り口を変えて、インプットからアウトプット!という流れで分けていくのです。ここでは、インプット(きく・読む)からアウトプット(話す・書く)の流れで話を進めていきます。
ボイストレーニングと4技能
情報や内容のインプット=理解系統(きく・読む)と
アウトプット=表現系統(話す・書く)
の流れから見ていくと、また違ったとらえ方が出来て興味深いと考えています。
受容・理解能力
いわゆるインプットです。
聞く↔聴く↔訊く
「きく」に関する記事は、いくつもアップしていますので参考にしてください。
読む 解釈する
これは意味を広くとって、読みとる、読める、解釈する、研究や探究するなど。ここまで解釈の範囲を広げてもよいと考えています。
算出・運用能力
インプットできた受容・理解能力をどうアウトプットしてゆくかです。ここで英語の基本動詞のニュアンスを載せておくとイメージしやすいのかなと感じでいます。
まずは、文字・画像媒体からです。
書く 文字や文章、曲を書く。英語でいうwrite 変わったところでは小切手を切るもwrite
描く 線画を書く、線を引くという意味でのdraw
描く 色を塗るという意味のpaint
実際、声の高低を色分けする事をレッスンでもやっています。男女の感覚の違いが現れて興味深いです。
続きましては音声媒体です。
日本語での「言う、話す、語る、読む」などに相当します。
英語のspeak◆音声を出すという行為。発したり演説したりという意味。
英語のchat◆飲みながら、食べながらおしゃべりをする。くつろぎながらしゃべるという意味。
英語のsay◆何を言ったのか、具体性や内容そのものに焦点が当たる。ということは、文章でもよい。
英語のtell◆相手に渡す感触がある。伝える、告げる、知らせる、教える、分かる、判断する等。
英語のtalk◆双方向のコミュニケーション。相手を想定して話し合う。説得するなどの意味。
ところで、音楽のライブ会場や、皆でカラオケに行って歌っている状況を思い浮かべてみてください。歌っている周りで、必ずspeak,chat,say,tell,talk など、これらの行為が行われていませんか?(笑)
というワケで忘れてはいけないコレを入れましょう。
英語のsing◆歌を歌う、鳥がさえずる (^^♪
まとめ 実際に使えている4技能
これら4技能はボイトレのレッスンでも、実際に使えるのです。例に挙げてみましょう。
- 英語、フランス語、韓国語、中国語など外国曲を歌いたい時
- ナレーションのレッスンで原稿を書いて読みたい時
- 滑舌レッスンでのシャドウイング練習
- 高音が出にくいので、調音点(口の中のどこで音が作られているか)を確認するために口腔断面図を描いてみる
- 初見で譜面を読んだり、コード譜を書いたりすることも
- その他 挙げるといろいろありますね。
これらの技能をどのように結び付けていくかは、あなたのやりたいことに関わってきます。いろんな分野と結び付けられるボイストレーニングなのです。