発話練習で尺を考える時

Internal CLOCK 納得!伝えることばの心得帳

世の中にはいろんな「尺(しゃく)」が存在しますね。

には

  • 長さの単位としての尺
  • 物差しとしての尺
  • 時間感覚としての尺

といった意味が基本にありつつ、各分野に広げられています。

尺度という用語がある以上、尺という言葉の中には、計算や評価する時の規準、または基準標準といった意味があるようです。

舞台や声優用語、または音楽のパフォーマンスとしても使われている尺という言葉です。

これには、時間の長さのことを言い表しています。作品やセリフなどの長さを表すときにもよく使われますね。

演出家、またはプロデューサー
う~ん。この長台詞だとこのシーンの尺に収まりきらないぞ。

といった使い方をしています。

 

複数分野に当てはまるこの記事内容を

納得!伝えることばの心得帳

のカテゴリーにしたのは、1分間の中で声を武器に言葉で伝えることの大切さを皆さんと考えたかったからです。

1分でインプットとアウトプット♪

最近では、また1分ブームの再来なのでしょうか?

  • 1分で頭の中を片づける技術(あさ出版電子書籍)
  • 1分で「聞こえ」が変わる耳トレ! 【CD付】
  • 人生を変える朝1分の習慣(あさ出版電子書籍)
  • 部下の心を1分で動かすマネジメントレターの秘密 (角川書店単行本)
  • たった1分で人生が変わる 片づけの習慣 (中経の文庫)

そして、自己啓発本だけでなく、

  • 毎日1分ひと言 韓国語

なんていう語学の本まで・・・

Amazon 書籍 1分で検索したら、たくさん出てきました。

また、東洋経済オンラインで発表されたビジネス書200冊ランキングでの1位も、

『1分で話せ』という書籍で、ナント!10週連続1位とのこと。

これだけ流行っていれば、皆さん余程1分という尺が身体に馴染んでいるんですね。

 

 

と、いうのは、どうもそうではなく、間逆のようです。1分で出来ないからこれだけ売れているのかなあと・・そう感じます。

1分間で入れる、整理する、出す

ワンバイブスのコースに伝える声力アップコースがあります。

就職活動やプレゼンなどのボイトレを行なっていまして、話し声を軸に読むことも行なっています。(本来ならば、声の土台・響きまでは歌も発話も朗読も同じ部分があるんですけどね)

 

就活ボイトレ、プレゼンボイトレでは、

点検!あなたの話し言葉は?

という項目で1分間トークをやってもらっています。

10人中10人の生徒さんが、発話しながら焦ります。でもそこがポイント。ここで発話の癖、早口かどうか?声の高さは?入り方は?文の収め方は?など、色々とチェックできるのです。

また、日本語の一方通行情報(例えば天気予報や用語解説の音声、音声メルマガなど)について、耳からのインプットと発声の為にアウトプットする準備を行ないながら、どのように整理をするか?アウトプットの為のインプットをレッスンで繰り返し行っています。

それらが診断材料となって、あなたのレッスンシラバスが組みたてられていくんです。

人にもよりますが、このコースのシラバスは可変シラバス(プロセスシラバス)です。

入会時に、ある程度行なう項目をゆる~く決めています。そして生徒さんの進捗状況やニーズ、要望、成長度の変化に応じて調整を行なうシラバスの組み方です。

シラバスとは、簡単にいうとボイストレーニングの項目のうち「何を(WHAT)教えるか」について、項目をりストップしたものだと考えてください。カリキュラムとは違います。カリキュラムは「いつ(WHEN)」、「どのように(HOW)」教えるのかについての事柄です。

▼シラバス、カリキュラムについて

ボイトレのレッスンをやって得すること
ボイトレを始めたはいいけれど、考えていたのと違っていた。または、数か月経っても思うように伸びないといったことがでてくるかもしれません。 この場合、ボイトレ初心者の方やボイトレ再開の方によって方針は異なります。 今回はどちらの場合でも共通することを書いていきます。 どこのスクールや教室にも初回にオリエ...

まずは1分の尺を身体に覚えこませよう

1分の尺を体感するためには、過去のあなたの話癖と向かい合うことになるのは、先程お伝えしたとおりです。

癖の中でも特に気にかかることがあります。それは、一文(以下、ワンセンテンス)があまりにも長いと、聞いている方もウンザリしてしまう、ということです。

話し言葉体験レッスン受講者様
○○して~、△△でぇ~、それで~・・・。

それでは、ワンセンテンスの長さはどのくらいが良いのでしょうか?

  1. 文字数に置き換えてワンセンテンスの長さを決める
  2. 勝手な息の都合で分を切るのではなく、意味のまとまりで文章を整えていく

これら2つが大切になります。

ここで、声のプロ、アナウンサーのニュース原稿の事を例に出しましょう。アナウンサーがニュースを読む場合、ひと息で続く長さを文字数に置き換えると

平均60文字前後

となります。これでも少し長いかもしれませんよ。

ナレーションの場合は、体言止めや連体修飾のことを考えて詩のように倒置させる場合もありますので、この限りの文字数ではありません。

では、1分間で話す速度はどのくらいが良いのでしょうか?

【引用】

ニュースの発話速度は、NHK放送文化研究所の最上勝也氏によって、1960~70年代は1分あたり約400モーラ(拍=ほぼ1文字分の長さ)1980~90年代では1分あたりで約500モーラといった速度であった報告されています。そこで、ニュースの発話速度が2006年にはどうなているかを図ってみました。
その結果は、1分あたりで約450モーラというものでした。

東京堂出版 基礎からの日本語音声学 福盛貴弘 著 2010年初版 
P.064~P.065

時代と共に速くなったりならなかったり・・・。

しかし、

音声学会の偉い先生
2011年の東日本大震災以降、話すテンポは350~400文字と、ゆっくりになった。

そう仰っている先生もいらっしゃいます。

 

そうすると、1分間で話す発話速度(チェンジ・オブ・ペース)はどの位が良いのでしょうか?

これまでのことをまとめてみた平均の値をとってみると、

400字詰め原稿用紙1枚

これを基準にしてみましょう。

ゆっくり目で380文字、早めで420文字の間です。この文字数で構成されている文章を読む訓練を繰り返し繰り返し行うのです。

 

つまり、

  1. 文章を400字詰め原稿用紙に書いてみて、1分以内に調整をした読み方をする。
  2. または、400文字分のテキストを用意し、1分以内で発話練習を行なう。

よく異業種交流会や、朝活を行なっている方々が、1分間スピーチの練習をされているようです。原稿を持っている時と持っていない時とに分かれますが、そのような練習をされていますね。

 

この記事の冒頭で、尺度には規準基準標準の意味があることを書きました。

1分間の目安は400文字(≒モーラ、拍)

これを規準、または基準標準として行なってみましょう。

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