あなたは、カラオケでも生演奏でもバックの音は「きけて」いますか?また、コミュニケーションがうまくとれるように相手の話を「きけて」いますか?
まず大切なコト。それは「きく力」は音楽の分野であれ、言葉の分野であれ、コミュニケーションスキルであれ、人が必ず身につけなければならないスキル。僕はそう感じています。
最近、また「きく」ブームなのかな?
僕が「きく」事に対して興味を抱いているのもありますが、このように感じたのは正直なところです。
きかないクセに歌いたがる、話したがる人たち
ところが、きかないくせに歌いたがる人がいます。きかないくせに話したがる人がいます。
前者は、どの楽器が耳に入ってくるのか?細かな音符は聞こえているか?自分の都合の良いきき方をしていないか?などです。このような状態では耳コピは上手くいかないでしょう。
では、後者はどうでしょう?
リアクション下手な人、自分ばかりが話したがる人、批判ばかりする人です。そのくせ自分の声を客観的にきいたことがない。するとどうなるでしょう?自分の声が分からないから、人の声や話し方の調子、内容など分かるはずがないのです。
これは自分への戒めでもあります。
キチンと相手の話が「きけて」いるのだろうか?
自分も含め、もっともっと「きく」ようにしたいものです。そこで今回は、おすすめ本3冊のご紹介です。
最近読んだ「きく」本、トップ3
どうもこの手のコミュニケーション本は、時代が変わっても書かれてある内容はそれほど変わりません。それだけ人間はコミュニケーションがうまくとれていないのでしょうか?会話に必要な声の出し方は大丈夫なのでしょうか?
声や歌が上手くなる方法、さらにコミュニケーションについては、アウトプットの内容が数多く出回っている昨今、「きき方」にフォーカスを当てた本はとても貴重です。
この2週間で3冊の「きく」関係の本を読んでいます。内容のレベル、具体的な事例の違いはあるけれど、3冊とも似たようなことが書いてある。というのが感想です。とはいうものの、是非あなたにもどれか1冊は読んでいただきたいのです。それがこの3冊なのです。
今回は著作権法に基づいて要旨、または一部抜粋を載せておきます。(要約ではありません)
人は聞き方が9割(2021年12月初版)
この本は、2019年に出版された『人は話し方が9割』(すばる舎)の続編となっています。面白いことにこのタイトル、SNS友からこんなツッコミがあったのです。
話し方が9割の横に聞き方が9割。2冊同時に出しているけれど、コレ変だよね。
彼が言いたかったのは、どちらかが9割ならどちらかが1割だろうと(笑)
確かにそうですね。ただし、この本の前書きで著者は次のように書いています。
ちなみにこの「9割」という言葉は、私の中では、実は90%という意味ではありません。「ほとんどと言っていいほど大切なこと」を「9割」と表現しています。(中略)
つまりこの本は『人は話し方が9割』のさらに大切な部分と考えていただければと思います。【引用】永松茂久『人は聞き方が9割』すばる舎 p.9~p.10
内容はほとんど基礎的な事が書かれてある
一読してみると、「傾聴のスキルそのものよりもメンタル、内容よりも感情、説得するよりも納得してもらう」など、以前から言われていることがコンパクトに分かりやすくまとめてあるといった感想でした。
まあ、要旨として書くのなら
コミュニケーションにおいては、話し方より聞き方のほうが大切である。
ということです。
そして、さらに読み進めていくと
「あなたはどうなったら嬉しい?」というように、相手が自分で解決策を見つけ出せるように伴奏する気持ちで話を聞く。
といった、コーチングで扱われていることも書いてありました。
4章38項目に分かれている内容は、優しい文章で書かれていて、直ぐに読めてしまいます。
具体的には
- 第1章 なぜ「聞く人」はうまくいくのか?
- 第2章 人に好かれる人の聞き方
- 第3章 嫌われない聞き方
- 第4章 「また会いたい」と思われる人の聞き方
といったタイトルになっています。
成功している人はなぜ聞き方がうまいのか?(2020年12月初版)
以前、『成功している人は、なぜ神社に行くのか?』(サンマーク出版)という本が出版されていました。『人は聞き方が~』と同じようにタイトルの一部分だけ変えています。出版社は異なり、日本文芸社から出されています。
こちらの本では、聞き上手になるために「ひと呼吸おく」「解決しようとしない」などの基礎的な事柄から、独特の着眼点で語ってある部分まで、幅広いです。
建前(意識)よりも、浅い本音(前意識)のほうが、本音の本音に近い。もう一段、下に行きましょう。本音の下にある、本音の本音(無意識)は、他の存在とつながっています。見えない絆があるのです。
「聞く力」が多くの可能性を秘めていること。そして、多くの人が「聞く力」を発揮すれば、多くの人が希望に目覚めるそうです。
より詳しく「きく」を知りたい方へ向けた本
構成、章立てはどうなっているのでしょうか?
- 第1章 成功への近道は聞き上手になること
- 第2章 聞く力で人生を変える7つの極意
- 第3章 あいづちと質問の技術 ―本当に望むことの見つけ方
- 第4章 聞くだけで相手の心が整う!魔法の道具箱
- 第5章 聞く達人になれる!心を読み解く地図
さて、読んでいて興味深く残ったことが幾つかあります。まずシンパシーとエンパシーの話。エンパシーは能力だということ。次に「聞く」行為についての男女の利害。また、チャクラとあいづちをどの母音で発するかということ。さらに、自分と他人の違いを知るための6眼モデルなど、僕にとって興味深い内容が幾つかありました。
「きくこと」だけではなく、思い込みのクセや心理学を使ったコミュニケーションの方法など幅広い観点から書かれてあるのはユニークです。
その中で印象深かったひとことを載せておきます。
「私が知りたいことを、相手に話させたい。聞き出したい」ではないのです。
「相手が話したいことを、自由に話してもらう。私はそのプロセスに寄り添い、促すだけ」なんですね。【引用】八木龍平『成功している人はなぜ聞き方がうまいのか?』日本文芸社
第4章 聞くだけで相手の心が整う!魔法の道具箱 P.196 より
より詳しく「きく」を知りたい方は、こちらの本をお勧めします。
LISTEN 知性豊で創造力がある人になれる(2021年8月)
ヒューストンを拠点に活動するアメリカ人ジャーナリストケイト・マーフィーの著書を篠田真貴子(監訳者)、松丸さとみ(訳者)が日本語に変換した本です。
やはり同様に、次のようなことがひとことで簡潔に言い表されています。
しかし、耳を傾けることは話すことよりもずっと大切です。
これまで、話をきちんと聴かなかったがために、戦争が起こり、富が失われ、友情が壊れてきました。
から始まり、会話の感受性の高さを経て、
優れた聞き手でいるとむしろ、愚かな人を見わけやすくなり、愚かさに気づけるようになります。そしておそらくもっと重要なのは、人の話に耳を傾ければ、あなた自身が愚かな人にならずにすむことです。
と締めくくっています。
18もの章立て(chapters)があり、412頁と読みごたえがあります。「きく」行為の広さと奥深さを語っています。僕もまだ読んでいる最中なので、ご紹介はここまでです。
良い「話し方」は「きき方」とのバランスが取れてこそ出来てくるもの
まとめです。「きくこと」は4技能(きく・読む、話す・書く)の中では良い話し方はきき方とのバランスの中で培われてゆくもの。つまり、「きき方」と「話し方」は両輪なのです。
さて、僕はこの記事の中で一貫して著作者人格権に引っ掛からないように本のタイトル以外は「きく」としてきました。これは何故でしょう?
それは、「きく」の違いがあるからです。
最後にもう一つ。
今回の「きく」はコミュニケーションの分野でしたが、音楽の「きく」場合は、耳コピや聴覚の本があります。いずれご紹介しようと思います。