ボイトレで いくらよい声 出せたとしても ことばの内容 伝わらない♪
いきなり五七調で失礼します(笑)。
今回のコラムはコレでいこうと書き始めました。
「ボイストレーナーでありながら、なんてことを言うんだ!」と、あちらこちらからお叱りが飛んできそうです。
メラビアンの法則では、話の内容は7%しか伝わらないんですから仕方ないでしょう
(苦笑)。
昔と比べて伝わらなくなったのは・・・
10年前と比べて、ことばが伝わりにくくなったような気がします。
(年をとったからなんだろうかw)
これは、僕の持論ですが、2003年、2004年位までは、
あなたの話したことを相手は覚えているか?
ということが良い声の基準のひとつになっていました。
ところが、2016年現在、その基準はものの見事に崩れています。
何故でしょう?
ネットやSNSがコレだけ普及したことが理由のひとつだと考えています。
だから、理解する力、工夫する力がだんだん衰えていった。
だからこそ、ことばは大切なんですけどね。
今回は、その人の受け取り方で意味内容がまったく変わってしまうお話をふたつお届けしましょう。
「から」はヤバイです
笑えないお話です。
どちらの意味にとったとしても笑えません。
「6月10日のレッスンを16時から17時に変更します」
実はこれ、以前私と某生徒さんのやりとりでやってしまったコミュニケーショントラブルです。【掲載許諾済み】
この方、ほぼ固定の曜日と時間で17時からレッスンをする生徒さんでした。
こちらの都合で1時間前の16時からにしてほしいことを伝えたのです。
ここまでがコンテクスト(文脈)です。
さぁ、そこで上の文をもう一度ご覧ください。読めてきませんか?
ふたつの意味が隠されています。
「6月10日のレッスンを16時から17時に変更します」
1_開始時間を17時に変更します。
だとしたらレッスン開始の時間は17時からです。レッスン開始を通常通り17時に戻します。
2_レッスンを16時開始から17時までに変更します。
これなら、レッスン開始の時間は16時からとなります。
いかがでしょう?
日常生活で良くありがちな場面は、メールを打っている時でしょうか。
「別の言い方を思いつかなかったの?」と言われても当然です。
自分では分かっていること、それを省略してしまいがちです。
相手も分かっているだろうとそのつもりになってしまいます。
また、受け取る相手もその人自身のフィルター、スキーマでしか見ることが出来ないので
思い込みを働かせてしまうわけです。
LINEで短い会話でやり取りしているときなどは、「え?どういうこと?」と返信できます。でも、既読されなかったら?どうしましょう。
省略ってコワいですね。分かっていてもやってしまうんです。
オマケに日本語のコンテクストは高い。察する文化、言わなくてもわかってよです。
トホホ。。
「まで」にも注意!
「この列車は、名古屋まで停まりません」
これもふたつの意味が隠されています。
格助詞ととりたて助詞(日本語教育で言うところの)の違いなんです。
- 東京を出発して次の停車駅は名古屋=格助詞
- 東京を出発して名古屋まで通過してしまう=とりたて助詞
(次に停まる駅は京都。。。)
え?分かりにくいですか?
そうしたら童謡をひとつ。
しゃぼんだま <一部引用>
作詞:野口雨情/作曲:中山晋平
シャボン玉飛んだ
屋根まで飛んだ
屋根まで飛んで
こわれて消えた
このネタはよくレッスンでも使います。
あ、一部の情報によると「怖い話」とか「実は不幸や悲しい唄」とか言われていますよね。
そういうフォーカスで話をしたいのではく、ここではことばの意味として取り上げています。
私は小学校1年生の頃、本当に次のような意味にとってしまったんです。
屋根がすっ飛んだと勘違いしたんです!
何故って?その後で、「屋根まで飛んで こわれて消えた」とダメ押しで歌ってるじゃないですかぁw
しゃぼん玉との関係はどうなるんだろう?子供心に不思議でしたねー。 笑
この「まで」もとりたて助詞です。
ああ、どんなに良い声で伝えたとしても、伝わらないことは伝わらない。
みなさん、声とことばを大切にしましょうね。