はい。これは何も担当トレーナーとの人間関係や、A先生とB先生の言っていることが違うので、矛盾をそのまま受け入れてください!
といった話ではないんです(笑)
以前、「五十音図で発音練習しないでください」の記事で、日本語の音数は少ないといったことを挙げました。
今回は、音の歴史とクイズでお楽しみください。
五十音のある音について、歴史をひも解きながら見ていくことにしましょう。
▼以前の記事はこちら
前編
後編
音が少なくなっていった結果、父ちゃんと母ちゃんがひっくり返った!♪
日本語で、お父さんのことを父(ちち)と言いますね。
お母さんのことを母(はは)と言いますね。
実は日本の歴史の中で、父と母がひっくり返ったんではないか?ということが推測できる流れがあるんです。
ひっくり返ったって? 倒れた?
一体どういうことでしょう?
ヒントは「ハ行」
ところで、
- カの濁音はガ
- サの濁音はザ
- タの濁音はダ
ナ行、マ行、ヤ行、ラ行、ワ行には濁音はありませんよね。
ここで問題、
Q ハの濁音は何でしょう?
バと答えた方、合っていますよ。
ですが、世界の言語の中でハ[h]とバ[b]がペアで組み合わされるのは、
僕の知っている限り日本語だけのような気がします。
日本語以外で、/h/と/b/がペアになる言語があったら、知っている方は教えてください。
「ハ行」子音の変化
ここで、英語をはじめとする諸言語の子音のペアをご紹介します。
/k/と/g/
カとガ
/s/と/z/
サとザ
/t/と/d/
タとダ
/p/と/b/
パとバ
この「パ」と「バ」が無声両唇破裂音と有声両唇破裂音
ほとんどの言語がこのペアに。
「ハ」は無声声門摩擦音
/h/と/ɦ/([ɦ]は有声声門摩擦音で日本語にはこの音がない)
ただし、日本語の中でも擬声語や擬態語は破裂音どうしのパ行とバ行がミニマル・ペアとなっています。
例)
パラパラ ⇔ バラバラ
プルプル ⇔ ブルブル
ポロポロ ⇔ ボロボロ
中には3つの対立で
ひゅうひゅう⇔ぴゅうぴゅう⇔びゅうびゅう
なんていうのもありますが。
さて、上田万年(萬年とも)という偉い人はP音考という事を論じました。
【上田万年(うえだかずとし)】1867年~1937年
明治時代の言語学者、国語学者。
P音考や、明治政府の言語政策である標準語、仮名遣いの制定に関わった人。彼の関わった言語計画は、現在の日本語の確立に貢献したようです。
ただし、アイヌ語の圧殺や方言を抑圧した政策となった方言撲滅運動のもとになってしまいました。【P音考】
日本語のハ行音についての変わり方。
日本語のハ行の子音は
[p](パ行)→[ɸ](ファ行)→[h](ハ行)と変わっていったこと。*[ ]内は、IPAの発音記号表記
と、いうことは
花、鼻の場合は パナ→ファナ→ハナ
春の場合は パル→ファル→ハル
という発音の変化をたどっていったことになります。
唇音退化の現象
どうしてこんな変化をしたのかは、唇音退化の現象が理由になります。
唇を閉じる破裂音の「パ」は、唇に負担がかかります。
その負担をどんどん減らしていくことで
「パ」→「ファ」→「ハ」
となっていきました。
つまり、唇の合わせがすこしずつ緩んでいく音韻変化なのです。
昔と比べて、今の日本人は唇を使わなくなったわけです。
ニッポン?それともニホン?
そうすると、昔は日本人を「にほんじん」ではなく、「にっぽんじん」と言っていたのかな?
JAPANを「ジャぺァン」と言ったり「ヤパァン」、「ハポォン」と言ったり。
決して「ジャハ~ン」なんて言いませんからねw
【引用】泉 均氏 著 『やさしい日本語指導9 言語学』国際日本語研修協会編
1999年 P32より■政府の見解
今のところ国号として「日本」の読み方を国家として定めたものはありません。「ニッポン」か「ニホン」かは、戦前から議論があり、呼称の統一が何度も審議されてきました。
(中略)
この点では、どちらに発音しても良いということになります。■日本放送協会(NHK)の場合
日本放送協会では、昭和9年(1934年)に国号としては「ニッポン」を第一の読み方として「ニホン」を第二の読み方としました。
「ニッポン」と読む場合、「ニホン」と読む場合、両方を認める場合、改まった場合は「ニッポン」、普段は「ニホン」。応援する場合「ニッポン」など、統一感はないようですね。
現在では負担を減らしすぎて(笑)、音が母音化してしまう傾向にもあります。
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父ちゃんと母ちゃんが逆!?
ここで今回の仮説です。
パパ(父?)→ファワ→ハワ→[現代語]ハハ(母)
チチ(乳?)→チチ→ チチ→[現代語]チチ(父)
という音変化で父と母ができたとしたら・・・
母ってパパ、つまり、元々はお父さんのこと?
父ってお乳、つまり元々はお母さんの○ッパイのこと?
一部の本には、「父と母がひっくり返った可能性がある」と書かれてあります。(アルクNAFL日本語教師養成プログラム 14日本語の語彙・意味)
う~~ん。実際のところはどうなんでしょうね。