アクセントとイントネーションについては、その意味を誤解して使っている方も多いようです。意外と間違えて使っている人たちもいます。実は指導者の中にもいたりします。汗
アクセントとイントネーションの違いについて。ここでキチンと整理をしておきましょう。
アクセントは語、イントネーションは文♪
それでは、まずアクセントからです。
【アクセント(accent)】
この単語も分野によって意味合いが違ってくるんですね。
- ことばのアクセント
- 音楽用語のアクセント
- デザイン用語のアクセント
1.ことばのアクセント
社会的な慣習で定まっている、個々の単語音についての高低や強弱のきまりのことをいいます。
働きとしては2つ。
単語の意味を分ける弁別、識別機能
どこまでが音と意味のまとまりかを知る統語機能の働きがあります。
日本語のアクセントは高低アクセントです。
▼ここで「ありがとう」と「あいうえお」の記事にバックしましょう。
中国語の場合は声調アクセントになります。
四声(しせい)といわれている4種類の上がり下がり、そして軽声(けいせい)といわれる軽く疑問を表す声の調子で、単語の意味を分けます。
英語やドイツ語などの場合は強弱アクセントです。強い部分は長めに発音され、弱い部分は短めにいいます。英語でこれをリダクション(reduction)といいます。
2.音楽の分野で使われるアクセント
その音(声)を際立たせること。拍を強い拍と弱い拍と分けた場合、強い拍のこと。
つまり、強弱強弱・・・だったり弱強弱強・・・といった規則的なパターン、これは音のリズムをつくり、グルーブを出す上で大切です。その上にことばが乗っかって歌声となるからです。
似たようなことばにアタックがありますね。
【アタック】 楽器・声で最初の音の立上がりをいいます。音声のアタックは子音につきます。
歌(話しことばもそうですが)の場合、基本的に子音につけることで、母音と結びついて1拍の音となります。
「母音にアタックをつける」という言い方をする人もいますが、母音にアタック感をつけてしまうと、声門閉鎖音となり、音の立ち上がりを喉で切ったような、または詰まったような発声になってしまいます。
声門閉鎖音は子音ですぞ!
母音を際立たせるのはアクセントです。
英和辞典で単語を引く時、音節単位に区切られている発音記号の母音の上に [´] がついていますね。「そこにアクセントを置いて発音しましょう」なんて習いませんでしたか?
3.デザイン用語のアクセント
グラフィックデザインなどで、全体を引き締める目的で、部分的に強調したり目立せたりします。強調する部分や目を引き付けるためにそこだけ色を変えることもありますね。
美容室、美容院でも髪のこの部分にアクセントを。。。って使われていたりもします。
【イントネーション(intonation)】
イントネーションは、抑揚ともいわれています。
話し始めから終わりまでの、文全体にまたがる音の高低関係のことです。話しことば(≒音のことば)のメロディだと捉えてもらえれば分かりやすいかもしれません。
共通語ではアクセントにかぶさる形で現われてきます。
このイントネーションが意味を聴き分けるために重要な働きをするのです。
ひとつの意味のまとまりの中で高いところが幾つもできることはありません。しかし、発話によっては特に伝えたい部分を立てて話すことをプロミネンス(卓立)といいます。
▼注意
用語の意味を調べると、用語サイトによっては、アクセントとイントネーションを同じ意味として載せているものもあります。
単語単位ではアクセント。文単位ではイントネーションと覚えておいてください。
話しことばボイトレの練習は、プロソディ(韻律)の練習
【プロソディ=韻律】
韻律とも。アクセント、イントネーション、リズム、大きさ、間などの声の要素に関わる特徴をプロソディといいます。
上のプロソディグラフを見ながら、なぞって発話してみましょう。
【参考】
松森晶子/新田哲夫/木部暢子/中井幸比古
「日本語アクセント入門」三省堂