先日、ロシアから一時帰国した日本語教師と、日本語教育の先生、仲間数人で飲みました。話題としては言語のこと、教授法のこと、文化のことなど多岐にわたりした。もっとも、酔っ払いながら話しているんで、話があちこちに飛ぶこともしばしば・・・。
さて、ここで、外国語といわれた時に何語を思い浮かべますか?
皆さんの中には、
外国語=英語
そして、
言語=国の数
こんな考え方をする人はいらっしゃいませんか?
確かに中国語、英語、スペイン語は母語話者も多いですし、2017年版の調査では、母語話者の人口でいうと、スペイン語が英語を抜いています。
世界の言語数は Ethnologue: Languages of the World(2015年版)によると、7097言語もあるんだそうです。
で、これらの言語がすべて使われているかというとそうでもなく、約2,000近くの言語は話者が1,000人以下だったり、良く使われている主要言語に移行することで少数派の言葉が失われつつある。そんな現状らしいです。
ここで、英語一辺倒の方も、興味ありそうな第二外国語を選んで、少しかじってみても面白いかなあ。そう感じています。
言語の面からみたロシア語♪
近そうでまだまだ何もわからない国ロシア。今回は特に日本語とロシア語の対照をしながら、次回、音楽に関わることもお伝え出来れば、と思っております。
なお、ここでは対照という用語を使い、比較という用語は使わないでおきます。
▼対照と比較について
皆さんは、ロシア語というとどのようなイメージを抱きますか?
- キリル文字が暗号のよう
- プーチン大統領が話しているwww
- ザギトワ まさる
- 東北弁のような響きとリズム
- 「хорошо(ハラショー)凄い!すばらしい!」や「спасибо(スパシーバ)ありがとう」ぐらいなら知っている
僕はキリル文字については、全く分かりません。ただ、ハングル文字が韓国語の発音に添って表記されているように、キリル文字はロシア語の発音を表記するための文字だということぐらいしか知りません。
【ロシア語】
インド・ヨーロッパ語族のスラヴ語派、東スラヴ語群に属する言語。露語とも略される。ロシア連邦の公用語。ロシア連邦の国語表記には、キリル文字を使用する。近縁の言語にウクライナ語とベラルーシ語がある。
引用 ウィキペディア
興味をそそるキリル文字、複雑な動詞の活用、子音を連続させる発音・・・。ここでは、ロシア語の外来語、音韻関連、音楽関連に絞って概略を挙げていきましょう。
外来語としてのロシア語
対照していくと面白いのが外来語です。外来語はオランダ語、ポルトガル語、ドイツ語、英語からが主流なので「外来語はその言語からだけ」と捉えるのはまずいと思います。これだけネットが発達している世の中、逆輸入される単語も数多くあるようです。ここで、外来語としてのロシア語を見てみてみましょう。日本語として?馴染みのあるアノ!単語が・・・実はロシア語だった!
イクラ икра
日本語ではサケの卵であるイクラ。ロシア語では魚の卵です。元は小さいつぶという意味。
コンビナート комбинат
化学工場などが集まる工業地域のことです。日本では石油コンビナートなどと呼ばれたりします。
アジト агитпункт
秘密基地、隠れ家のこと。英語の場合、agitating pointの略語となっています。
キオスク киоск
小型の売店。ペルシア語やトルコ語、英語にもkioskという単語があります。中東や地中海沿岸などで発達した、庭園の簡易建造物。転じて駅の売店。
インテリ интеллигенция
インテリゲンチャ。知識人を指す言葉です。一般大衆とは区別して使われていたようです。英語のintelligenceにも関係あるかもしれません。
カンパ кампания
カンパニア。寄付を募るというニュアンスも含まれているため、日本では資金集めという意味で使われています。英語のcampaignキャンペーンとほぼ同じ意味だといわれています。そうか!キャンペーンはカンパなんだ。
ノルマ Норма
あの、ノルマ達成のノルマです。基準、各自に割り当てられた仕事の達成水準と目標のことです。
セイウチ сивуч
シヴーチ。北極圏の海にいるトドを意味します。
テトリス Тетрис
これ、ロシア語です。1980年代にロシア(旧ソ連)のアレクセイ・パジトノフが開発したパズルゲームです。 いわゆる「落ち物パズルゲーム」の先駆けとして有名です。それを日本のゲームの名前にしました。本当に外来語なのか?という議論はさておき、あえてここに入れてみました。
ロシア語とロシア語を話す人々(音韻音声、言語)
1.音に硬い音、柔らかい音がある
音素 | /ɨ/ | /e/ | /a/ | /o/ | /u/ | |
硬母音字 | ы | э | а | о | у | |
音素 | /ji/ | /je/ | /ja/ | /jo/ | /ju/ | |
軟母音字 | и | е | я | ё | ю |
【硬音と軟音】
ロシア語をはじめとするスラブ語においては、一般に「硬音」と「軟音」とは対になる概念である。
また、子音には硬子音と軟子音の区別があり、硬母音字と軟母音字は直前の子音の硬軟を表す。語頭に置かれた場合には、[j]から発音する。
ロシア語の場合には、一つの音節内で母音が続かない場合の子音の硬軟を表す記号として、
硬音符(ъ、トゥヴョールドゥィ・ズナーク)
子音の直後に位置して硬音化となる。軟音符(ь、ミャーフキィ・ズナーク)
軟音化を示す。軟音符は単語の最後に位置する事もある。
ロシア語をやっていない日本人にとっては、感覚として分かり難いことですね。日本語の円唇、非円唇、平唇とも違うようです。
2.方言がない
あれだけ広い国の面積がありながら、ロシアには方言がないそうです。僕は日本語のような地域方言、それも気づかない方言はないという意味で捉えました。
例えば、同じ意味で言い方が全く違うこんなフレーズです。
発音や語彙などはいくつかの面で違いがあることはいろいろ検索して知ったことです。
3.規範的な発語発話を指導する人が立派な職業として存在する
規範的な発語発話指導をする人がいます。つまり、ボイストレーナーのような方が存在して、ちゃんとした職業として成り立っているという話です。これは大きいですね。こういった指導があるからこそ、「2.方言がない」ということにも繋がってくるんではないでしょうか。
また、ロシア語のことから離れますが、ドイツ人は、議論することを好み、そのための組み立て方(ハッキリと自己主張をするための「結起承転」)を幼少期から繰り返し繰り返し練習しているらしい、ということです。
日本人が考えている声の教育観
日本での音声教育はどうでしょう?発音記号を知ったのは、英語を勉強するようになってから。ローマ字とどう違うの?といった有様。
また、協調の原理の様態の格率ではありませんが、述べ方をどうするか?はそれ自体教えられることはあっても、アウトプットのための練習なんてしていませんからね。
いつかの記事にも書きましたが、日本も早いうちから音声教育を!というのが僕の考えなんですが、学校側は大変ですよね。
音声を柱として考えていくと、科目が被りますね。中心となる科目は国語科?音楽科?道徳の一環?採り入れられた英語の授業で??
そんな状況の中で、ボイストレーナーが少しでもお役に立てればと、常々考えています。お手伝いできることがあればご一報ください。<m(__)m>
さて、この内容は、次回も続きます。
次回は、4.以降「ロシア人は耳が良い」ということで、耳の感度と発声のこと、聞き取りやすい帯域のこと、ロシア人はマイナーな曲が好き?!等、言語から音楽寄りに話をシフトしていく。
そんな内容でお届けする予定です。