ボイストレーナーは言語化して伝える仕事をしています。ただ言語化することが難しい分野を言語化して伝えています。
これは、トレーナー、インストラクター、講師、先生、コーチと呼ばれている人たち全てに当てはまるんではないでしょうか?
トレーナー、講師の仕事が出来るかどうかは、言語化出来るかどうか?
と言い切っている記事もあります。
ただし、この言語化するということはとても難しく、表現職の仕事をしている限り、生きている限り、一生付きまとうものだと確信をして疑わない室長です(笑)
手続き的記憶のお話も前に出していますから。
ということで、今回は言語化は難しいといった内容です。
言語化というと、伝えることだけに意識が向きがちになります。
しかし、
今回は話し手の立場からではなく、
聞き手の立場から見ての言語化
をお届けいたします。
「きく」ことを鍛える=〇〇力を鍛える♪
Q. 「きく」ことを鍛えるとは、何の力を鍛えることになるのでしょうか?
この答えは、後でお出しします。
聞き手の立場から見ての言語化を考える時に
忘れてはならないことだと思っています。
さて、
きくこと(聞く、聞く)に関しましては、
このサイトでも、かなりのページを割いてコラム記事にしています。
▼「きく」シリーズの記事です。お時間のある方はもう一度ご覧ください。
今一度、きくとは何か?をおさらいしておきましょう。
- 聞く
- 聴く
- 訊く
- きく
僕もまだまだだなあと反省させられるんですが、
「きく」ことができてくれば、相手に対して、ある行為がスムーズになります。
何の行為がスムーズになるんでしょうか?
それが先ほどの質問の答えにもなります。
相手の話の何をどこを聞いているのか
人がちゃんと相手の話を聞いている時間はどんどん減っている
といわれていますよね。
でも聞いたふりをする時間はどんどん増えているらしいw
相手の立場(聞き手)の立場からいうと、
と感じたりするからでしょう。
そんな時にどういった振る舞いに出るのか?
傾向として細かな相づちを打つことが多いんです。
ただ、細かな相づちを打つことが一概にダメだと決めつけてはいけません。
よくよく観察してみると、
- 話し手がゆっくり話しているとき、ゆっくりと大きくうなずく
- 話し手が間を置かずに話していると細かな相づちを打つ
中にはそんな人もいます。
こういう振る舞いのできる人は、
人の話のリズムに自分を添わせて、そして合わせていくことが上手い人だ。
そのように感じています。
同調とでもいうのでしょうか?
これは、後で出てくる話者交替(ターンイテイキング)と関係します。
「聞いていない」は「聞けなくなっている」のか?
一生懸命に教えたり伝えたところで、相手が集中して記憶できる時間は
ナント20秒にも満たない!
と言われているんですね。
何故か?
聞く人のフィルターを通して判断してしまうからです。
同じ内容を話したとしても受け止め方は人それぞれです。
このフィルターは、国の文化によって違いますし、
同じ日本人でも地域によって違いますし、
当然男女間によっても違います。
それをスキーマといったり、マインドセットといったり、NLPの世界では、省略・歪曲・一般化といったりしますね。
【スキーマ理論】
スキーマ:個人個人の過去の経験が長期記憶となったもの。その人がこれまで培ってきた背景、既有知識。
スクリプト:日常の決まった振る舞いや出来事に関わる知識のことです。
例)ファストフードのお持ち帰りや、ファミレスの注文は、ある一定の決まりきった台本のようにやりとりが進んでいきますよね。フレーム:人間は場面ごとにある一定の「枠組み」をベースに認識したり、振舞ったりしています。また、見えない部分を補ってみる時、記憶の中の枠組みを呼び起こすことで外の世界を認識します。
これは、認知科学や人工知能研究のベースとなる考え方ともいわれています。
【マインドセット】
これまでの教育や経験してきたこと、それらからでてくる先入観から形作られる思考様式や心理状態のことです。
暗黙の了解事項、思い込みや価値観、信念などが含まれます。
【省略・歪曲・一般化】
省略:その人の体験は多くの情報があるが、言葉として表面に出る部分はほんの一部。歪曲:情報が体験から言葉になる過程、つまり深い部分から表面に出てくる過程で、その人のフィルターを通してその人なりのものの見方で判断、解釈してしまうこと。
NLPで使われている歪曲は、否定的な意味ではありません。歪曲に良いも悪いもありません。一般化:目の前に見えている世界をシンプルに見ようとする意識が作り出す思い込み。その人の基準が出てしまい、「みんな」「全部」などの言葉で表現されます。
人が相手の話を聞いている時間、聞ける時間はどんどん減っていると同時に、モノを覚える量もとても減っているともいわれています。
漢字・・・
あなたは、どれだけ覚えていますか?
漢字に関わらず、分からなければスマホでググったり確認したり出来ますよね。
でもです。
ググって検索上位に挙がったコンテンツの内容が
あなたにとって必要な正しい情報だ
という保証は、ありませんよね。
こういったときに問われてくるのが、
メディアリテラシーといわれていることです。
この用語は、あなたも耳にしたことがあるかもしれません。
【リテラシー】
元々は、読み書きの能力のこと。
その意味が広がって【メディアリテラシー】という用語で「情報を評価、識別する能力」「情報を批判的に読み取る能力」という意味で使われています。
さらに、「情報を処理する能力」や「情報を発信する能力」のこともメディアリテラシーと呼んでいる場合もあるそうです。
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聞き手は、話し手になるという当たり前のこと
当たり前のことですが、
話し手は聞き手にもなり得るわけです。
会話をしていると、あるタイミングで話し手が聞き手になり、聞き手が話し手になります。
話す人がどのタイミングで変わるのかが、話者交替(ターンテイキング)といわれるものです。
交互に順番をとりながら話すのがコミュニケーションなんですが、これが出来ていない人も大勢います。
- 特に自分の自慢話をして、相手に話をさせない人
- 間を置かず一方的にまくし立ててくる人
ひとつの文を最後まで言わないうちに被せてくるもんだから、
そんな環境の中でおしゃべり、発話をしているから、
ゆすり音調でひとつの文を長くする。
こんな状況では、話し手も聞き手も可哀そうです。
【verbalize】
自動詞では、冗長に表現する、ダラダラと話す、または書く
他動詞では、思考や感情、事柄などを言語化する、言葉で表現する
言語学の分野では、名詞を動詞化するなんていう意味もあります。
はい。あまり、ダラダラと書かないようにそろそろ終わりと致します(笑)
ボイストレーニングはアウトプット?!
…だけではないんです。
- ボイトレは、歌が上手くなるためのアウトプット
- 良い声を出すためのアウトプット
このように感じているあなた、
そうだとしたら、それはとても素敵な勘違いをされています。
▼「伝えた」が「伝わった」と実感できる時、きくこと(インプット)と表現すること(アウトプット)のバランスがうまく取れているのではないかと思います。
▼「聴く」ということに関していうとシャドウイングも大切です。これもチェック
まずインプットを大切にしてください。
その時にアウトプットのためのインプットを意識する。
考えてみると当たり前なんですが、
歌を歌うということは、
インプット(バックの演奏、楽器を聴いて)があって
瞬発的にアウトプット(歌う、リズムをとるなど)に移る
身体、感情表現なのです♪
A. さて、問いの答えです。
きくことを鍛える=質問する、問う力を鍛える
こう言うことが出来ます。
分からないところは具体的に質問が出来ますし、
誰がどんな気持ちで質問するかで、効果、結果が変わってくると言われています。
「きく」が聴く(listen)→訊く(ask)へと変化する過程だと考えています。