政府が「働き方改革」という指針方針を打ち出し、今月(2019年4月)、その法案が通りました。2016年から17年に打ち出した「プレミアムフライデー」のようにF.O.しかけなくてよかったなあ・・・と感じながらも懸念を抱いてこの記事を書き進めています。
本当にプレミアムフライデーは、どうなったのでしょう?www
さて、今回は
「ボイストレーナーの働きがい」
についての記事です。
今一度、トレーナーとして活躍されている方、校長先生や事業主の方、学校のチーフトレーナーとして励まれている方、非常勤講師として所属している方にご覧頂ければと思います。
また、ボイストレーナーをやってみたいと考えている方や、ボイストレーニングを受けている皆さんもよい機会です。
あなたの大好きな先生の働き方事情?を垣間見ることもできます。
働き方改革の前に働き方事情。この機会に一緒に考えてみませんか?
「教える」という職業の働きがい♪
今回は、
と考えました。トレーナーとして働いている方も、そうでない方も、別の立ち位置から違う視点でモノを観ていただきたかったのです。
俯瞰してみることで客観的な視点が得られますし、より働きやすいアイディアも生まれてくるのかな。
広い意味でいうと「教える」という職業の働き甲斐にも繋がるところがありますので、他業界の実情を知って参考にしていただけると有難いです。
今回は、室長のもうひとつの立場である日本語教師と比較・対照を行ないながら考えていきましょう。ボイストレーナーと通じる部分、異なる部分などを書いていきます。
日本語教師の働きがいと比較してみました ―そこに「誇り」と「喜び」はあるのか
日本語教師とは、外国人に対して日本語を教える仕事です。在留資格を通じて来日する外国人に対して日本語を教える国内で行われている日本語教育があります。また、海外に赴任して日本語を教える教師もいらっしゃいます。
文化庁が日本語教育人材の育成・研修の在り方についての概要を出しています。
役割としては大きく分けて3つ
- 日本語教師
- 日本語教師コーディネーター
- 日本語学習支援者
▼日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)の概要(pdfファイル)
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先日、代々木にある国立オリンピック記念青少年総合センター・センター棟で公開シンポジウムに参加してきました。日本語教育に携わる者の立場としてです。正確に言うと、ボイストレーナーが日本語教育に携わるといったポジションです。
午前中は、日本語教師の大先輩、池田悠子先生による基調講演でした。室長も何度かお目にかかっていろんなお話を伺っています。知識や知恵もおありで流石、人生の大先輩です!
午後は、統計調査発表。
この「〇〇」にどんな言葉が入るのかを参加者全員に対して事前に訊いてきました。そこに入る言葉の統計調査という意味で主催者側から発表がありました。
その後は、分科会でグループワークやディスカッションを行ないました。
比較をしながらボイストレーナーの働きがいを考える
今度は、ボイストレーナーの働きがいについて考えてみましょう。参加したシンポジウムの資料、その時のお話を参考に比較・対照していきます。
この「〇〇」にはどんな言葉が入りますか?
ボイストレーナーとしてお仕事をしている方にとっては、いろんな言葉が入るでしょう。ここでは、ただ思いついた用語や単語を入れるのではなく、いろんな視点から見ていくことにします。
立場の違い
まずは立場によって変わってきますね。
あなた自身の立場から考え、意見を発している!このことは明らかですよね。
- 事業主の立場
(全国展開型スクールの校長先生、全国展開はしていないが株式会社として営業、個人事業主) - 雇われている立場
(チーフインストラクター、チーフではないが常勤、非常勤) - どちらにも属さない
(ボイストレーナーで結構います。ささやかにやっており、税金の申告をしていない方々が・・・。個人的な事情があると考えますので追及はしませんがw)
ボイストレーナーも日本語教師も、非常勤1校だけでは食べていけない!という現実があります。実は非常勤で複数校を掛け持ちで働くといったスタイルは、20年以上も前からやっていたことなのです。
スクールによって、仕組みや規約は似ている部分と異なる部分があります。スケジュール管理が下手な人や融通の利かない人にとっては、このスタイルは難しいかもしれません。
以前は、独立してしまうというやり方がありました。独立のやり方はいろいろあるのでここでは省きます。ボイストレーナーは独立しやすいですが、日本語学校で独立するのは、校長先生募集を見つけるしかなさそうです。
働きがいが「自分自身のため」に繋がる場合
今度は立場とは関係なく、自分自身にフォーカスして考えた場合です。これは、ボイストレーナー、日本語教師だけではなく、人に伝える仕事をしている方々は感じているかもしれません。
成長
自己研鑽の連続
自己探求
成果が上がる
出会う喜び
信頼されているという喜び
使命感
覚悟
誇り
日々変化にとんだ環境の中で働ける
学生や生徒さんの意欲に応えられたとき
教える喜びを感じられたとき
他には、正直に待遇!という人もいました。
さらにこれ、子育てが大変なお母さん(教育業とは全く別の業界)の働きがいとは・・・
働きがいが「学生さんや生徒さんのため」に繋がる場合
次に学生さんや生徒さん、つまり相手軸に立ってフォーカスした場合です。
成長、自己実現、夢を与えること
第一志望の進路や内定を決めた瞬間
声を使えるようになること
(歌が上手くなる、レパートリーが増える、望む声に近づく、音痴などが治る)
将来に繋げるための手助け
活躍する姿を見ること
学生さんや生徒さんの笑顔
学生さん、生徒さん、自分自身と双方向の考えかた
当然、両方の立場のバランスをとってという考え方も出てきます。お互いに成長という考え方もあってよいと判断しますので、ここに載せておきました。
社会貢献
これは教室やスクールが、地域や社会に対して貢献するという意味で載せています。こういった考え方もアリなのです。
人によっては、生徒さんに貢献という意味に解釈して、「学生さんや生徒さんのため」に入れてもよいでしょう。
また、トレーナーという職業が何故社会貢献につながるのかが理解し難い人もいるでしょう。貢献するということの意味合いは、アドラーが『嫌われる勇気/幸せになる勇気』という本の中で
という言葉を引用しておきましょう。
社会変革
進歩と発展
社会への還元
交流と繋ぎの役(異文化、特に生徒さんが外国人の場合)
先入観を取り除ける
相互理解
草の根で貢献
社会を支える人材を育成できること
その他
こんな言葉を出された方々がいらっしゃいます。あなたはどのように考えますか?感じますか?
和話
絆
消えつつあるもの
「働きがいとは消えつつあるもの」ですって・・・。
働きがいと生きがい
最後に、「日本語教師の働きがいを考える」シンポジウムに参加して出てきた意見、これらをボイストレーナー業界の皆さん、広くは教育業界の皆さん、このサイトにお立ち寄りいただいている皆さんと考えていきたいことがあります。
それは、
- 働きがいというのは変わってきている
- 自分の働きがいに対する他者との関わり
- 働きがいと生きがいにある境界線を考えてみる
1.は世代や働き方、雇用形態によって多種多様になっていますよね。働きがいの性質が、環境、年齢によってドンドン違うものになっています。アメリカでは、ギグ・エコノミーといって、組織や会社に縛られない働き方が出ています。個人の働き方が多様化したひとつの形ととらえて構いません。
音楽用語でもギグって使いましたがそれと同じだと思ってもらって構いません。
【ギグ】
元の意味は、1回の契約によって行われる仕事のこと。短期と考えてもらえばよい。主に、ロック系で使われ、ライブハウスが中心となる。 ギグは元々ジャズ演奏家の間で使われ始めたスラングで、演奏する場所ごとにその都度契約をすることをいった。 そのため、小規模な会場で使われることが多い用語。
2.例えば、先に帰ろうとしたら残業を頼まれたといった事から、スタッフが子育てに奮闘真っ最中である場合や、小さな教室の代表が急に倒れた場合の補講代講をどうするか?などです。
別の視点からですと、一般社団法人、地方自治体との関わり方まで含まれてきます。さらに、
3.働きがい=生きがいでしょうか?イコールの人もいますし、そうでない人もいますよね。働きがいと生きがいの境界線はあるのか?曖昧なのか?それとも同じなのか?その他か?
人によって違いますよね。これらの受け皿を誰に求めるのか?綺麗ごとを抜きにして、働きがいや生きがいはあなた自身で決めていけるのか?
ボイストレーナーの働きがいとは何でしょう?