以前、「ブルーズの奥深さと広がり(その1)」というコラム記事をアップしました。
ブルースに限らず、音楽は感性や感情に動かされるだけではなく、実に科学的、数学的な要素が音楽の理論を作り出しています。
{(想像→創造)×感性}×回数
上の式は、以前にも出したことがあります。ここで言う科学的、数学的な要素というのは、音楽を作り出していく創造の部分に入ります。
ブルースのフレーズを考えるときも上の式に「バシィ~ッ!」とハマるんじゃないか!
想い浮かんだ想像からフレーズを作りだしてゆく創造、それはプレイヤーやボーカリストの感性によっても異なりますね。そして、12小節を何回か繰り返す・・・。正にブルースです。
今回は、「ブルーズの奥深さと広がり(その2)」として、転回形、代理コード(Ⅱ-Ⅴ進行)、コードの置き換えのお話です。
ブルース進行は曲作りの基礎♪
12小節の3コード、ブルースの進行から、コードを置き換えて遊んでいくと、色々な曲ができます。
3コードも全く知らない。ブルースって何?
そんな生徒さんが、
- 苦手なコード理論に向き合った
- 3コード、ブルース進行を覚えていった
- そこからコードをいろいろと置き換えていった
そうしたらオリジナル曲ができてしまった!といった事例だってあるからです。
曲作りのやりい方はいろいろあるんですが、このような一連のプロセスを見ていると、
そのように感じました。
曲作りについては、 作曲の方法 検索ページもご覧ください。
転回形と代理コード
まずは、転回形と代理コードからです。上の譜面をご覧ください。
C6というコードを鳴らしている音(構成音)は、ド-ミ-ソ-ラです。このラの音を1オクターブ下げると、ラ-ド-ミ-ソとなりAm7のコードになります。
ドミソは同じで、ラの位置が一番下か上か、順番の違いだけで、構成されている音は同じです。
ところが、鍵盤は両手を使ってコードを鳴らすことができますので、↓★のような並び順、両手で押さえますと、C6になります。右手だけだとAm7のコードですが・・・。
ここでこんな疑問が出てきますね。
転回形に惑わされないで
転回形とは、コードが作る音の積み重なる順番を基本形とは違う形で積み重ねた音です。Cのコードで例えると基本形の「ド」がルート音(根音)となります。
基本形 | ドミソ |
第1転回形 | ミソド |
第2転回形 | ソドミ |
このように3種類の転回形ができます。
ここで注意していただきたいこと。それは基本形でルート音(根音)が「ド」ならば、転回してもルート音は「ド」のままです。それは3度も5度も変わりません。
一番下にある音が必ずしもルート音ではないのです。
代わりのコード
もう一度上の図に戻ってください。
C6の6度を表している音(ラ)を1オクターブ下げると、Am7。このように転回すると、別のコードになってしまうものもあります。
ちょっとややこしいですが、どちらの名前を付けるのかはベースの音の動きとコード進行の流れで判断します。
- 同じ人だけど、名前を変えている。
- 似たような性格のコード。
- 兄弟姉妹みたいな関係。
- 自分の性格の表と裏。
こんな感じで把握してもらえれば良いかと考えています。
この関係から、作られている構成音が同じか似ているコードを導き出すことができます。これを代理コードといいます。
スタンダードなブルース進行にちょっとした変化をつける
それでは、前回出したこのコード進行に、代理コードを入れて変化をつけてみましょう。
上の進行図と下の進行図を見比べていってください。
シアン と ウグイス色 の部分をご覧ください。
8小節目の部分がⅥm7に変わっていますね。
また、9→10小節目では
Ⅴ7がⅡm7に、Ⅳ7がⅤ7に変わっています。
Ⅴ7→Ⅳ7 のように進むところを Ⅱm7→Ⅴ7 と進行しています。
これらは、代理コード進行のバリエーションです。
ⅥmはⅠの代理コードです。
例えば、C(ドミソ)の代理コードはAm(ラドミ)です。ドミは共通で、ソ(Cの5度)とラ(Amのルート)が違うだけです。理解していただくためにはいろんな例え方があります。
また、Ⅰに向かって終わる進み方で基本的なものは
Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ というパターンです。
ⅡmはⅣの代理コードです。そうすると
Ⅱm→Ⅴ→Ⅰ という進行になります。
このようにドミナント7thの前にⅡm7を置いて進んで、Ⅰに戻ることを
ツー・ファイブ(extension of Ⅱm7 Ⅴ7)と呼んでいます。
ここで、代理コードの基本的な5パターンがあるのでまとめておきましょう。
度数表示 | ⅠがCの場合 |
Ⅵm7はⅠの代理コード | Am7 ↔ C |
Ⅲm7はⅠの代理コード | Em7 ↔ C |
Ⅱm7はⅣの代理コード | Dm7 ↔ F |
♭Ⅱ7はⅤ7の代理コード | D♭7 ↔ G7 |
Ⅶm7(♭5)はⅤ7の代理コード | Bm7(♭5) ↔ G7 |
コードを置き換えて遊んでみよう
基本の3コードからコードを変えて遊んでみると面白いことが分かってきます。
1小節目のⅠを代理コードのⅥm、2小節目のⅣをⅠに変えてみると、
Ⅰ → Ⅳ の進行が
Ⅵm→ Ⅰ となります。
そしてⅠの後にⅣ→Ⅴ7の進行を後に足してゆくと、
Ⅵm|Ⅰ|Ⅳ|Ⅴ7|となります。
で、このⅤ7を
Ⅴ7sus4→Ⅴ7 の進行にすると、
Ⅵm|Ⅰ|Ⅳ|Ⅴ7sus4 Ⅴ7|
これはあの名曲、絢香の「三日月」のAメロ進行です!
こうやって遊んでいくと工夫してみたくなり、新しい発見が出来ると楽しくなってくるものなのです。
当然のことながらコード理論にはセオリーがあります。しかし、セオリーであってもルールではありません。音楽表現に正解はありません。
{(想像→創造)×感性}×回数
に当てはめながら
あーでもない!こーでもない!
という作業の時間が無駄ではないと感じられた時、あなたにもアドリブの出来る、曲が作れる才能が眠っているのかもしれませんよ♪
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