こんにちは。ワンバイブス講師のタカ タカシです。
前回のコラムから少し間が空いてしまいまいたが、今回は「詞先」「作曲の進め方」について話していきたいと思います。
詞先と曲先♪
前回、「詞先」とは
歌詞を作った後にメロディー、コード(伴奏)をつけて
アレンジ(編曲、トラックメイク)を施し完成となる順番
と書きました。
それに対して、曲先とは、コードやメロディをつけた後に詞を当てはめていく作業です。
読み進める前に復習しておきましょう。
1.作曲における「詞先」
この作り方をする理由として、私は二つ挙げたいと思います。
一つ目が
✔日本語の意味が伝わりやすい
二つ目が
✔メロディーをつくるきっかけになる
というものです。
日本語の意味が伝わりやすい
まず一つ目は、言葉のアクセント、イントネーションにつながります。
ONE VIBESでも話し言葉に特化した「伝える声力アップコース」
というレッスンを設けていますが、
日本語には同じ音の言葉でも意味が変わるものが多いと思います。
例えば「雨(あめ)」と「飴(あめ)」
「花(はな)」と「鼻(はな)」のようなものです。
いわゆる「同音異義語」というものです。
これらの言葉が歌詞に入っている場合、歌詞カードなどを見ずに聞いた時の印象を決めるのは
文脈もありますが、言葉のアクセント、メロディーでなんとなく判断することがあるのではないでしょうか。
「まるであめのよう」という歌詞があったときに、「あめ」という歌詞を
「あ↑め↓」というメロディーにすると「まるで雨のよう」という意味に聞こえ
「あ↓め↑」というメロディーにすれば「まるで飴のよう」というふうに
「なんとなく」聞こえる気がしませんか?
歌詞カードがない状態ではこの「なんとなく」が歌詞の意味を補正することになります。
より日本語が伝わりやすい歌詞を目指す時に参考にしていただくのもありかもしれません。
しかし、これらの話は言葉の意味を伝えることに重きを置いています。
そのため、作曲の方法を全く分からない!
という方にはもしかしたら余計混乱してしまう可能性があります。
そこで次のおすすめポイントが重要となってきます。
メロディーをつくるきっかけになる
これは
などといった絶体絶命なときに使える技でもあります。
例えば
僕はその手で虹をかけた
という歌詞があるとします。
これにメロディーをつけたいがどうも浮かばない。
そんなときにまず、その言葉を喋ってみましょう。
この歌詞ですと
「ぼ↑く↓は↓」「そ↓の↑て↑で↓」「に↓じ↑を↑」「か↑け↓た↓」
というニュアンスになりませんか?
その言葉の高低の動き(話し言葉でいうところの単語のアクセント)をそのままメロディーの動きに置き換えてしまうということです。
ポイントとしては、その文字自体の音程を上げ下げするというよりも
前の音と比べてどのような動きをするか、
という方が
より自由な発想を持てるかもしれません。
「ぼ↑く↓は↓」という歌詞に沿って考えてみると
「く」という言葉は、その前の「ぼ」という言葉よりも下がる
「は」という言葉は、その前の「く」という言葉よりも下がる
といった具合でしょうか。
ただ、「作曲」において確実な正解は存在しません。
違和感を覚えたら、喋り言葉では下がっていても上がるのもよし。
上がるはずだけど同じ音にするもよし。
メロディーを作る上でのきっかけになれば良いのです。
どちらが良いの?
ざっくりとではありますが「詞先」をする上での理由付けを書いていきました。
「歌詞」というカテゴリで深く考えていくのであれば
言葉選びや、全体の情景描写などが重要になってくるため
「作曲」とはまた異なった発想やスキルを持つことが今後必要になるのではないかと思います。
ですので、あくまで「作曲」の中における「詞先」を考えていくのであれば
先ほど紹介した二つ目でご紹介した
「メロディをつくるきっかけになる」ことの方がわかりやすいのではないでしょうか。
2.「作曲」の進め方
少しステップアップした方へ、ここで「作曲」におけるキーワードを一つあげたいと思います。
それは
✔柔軟に変化させる
ということです。
「曲先」の場合、歌詞のない状態(ラララやめちゃくちゃな言葉etc…)でメロディを作り、歌詞を当てはめていきます。
また「詞先」の場合は、その逆で「歌詞」がある状態でメロディをつけていきます。
既に曲を複数曲作っている方なら、「なんとなく」お気付きの方もいると思うのですが
歌詞とメロディが合わさった時に
といった違和感を感じてくると思います。
その際は、歌詞ないしメロディを変えることが大事です。
変える「勇気」とも僕は感じています。
作曲を始めたばかりの方だと一度作ったメロディや歌詞は貴重なものなので
なかなか捨てて新しいものを作ることは、「もったいなく」感じてしまうこともあるのではないでしょうか?
そこで僕はこのような考え方をお勧めします。
「この歌詞(またはメロディ)はこの曲に合っていないのだ」と。
つまり、「たまたま」この曲の歌詞やメロディに合わないのであって
次の曲には使えるかもしれないという考え方です。
一度NGを出した歌詞やメロディは常に保存していくことが作曲のコツでもあり醍醐味でもあります。
このような保存されたものを「ストック」などと呼んだりします。
- 微妙だなと思ったらすぐに変える。
- 前のものは次のために残しておく。
- 聴き比べて前の方がよければ戻せば良いし、新しい方が良ければそちらを使う。
この辺りは「一度決めたから」ということではなく、
柔軟に作業していくことがスピードアップやクオリティアップにつながります。
これらは「作曲」に慣れてきた方にお伝えしたい部分になります。
では反対にまだ作ったことのない方、もしくは二、三曲作ったことのある方へのアドバイスです。
ここで注意すべきポイントは
なにもかもNGにすることはやめましょう。
誤解を恐れずにいうならば
曲を作ったことがない、または少ないのにこのメロディや歌詞が「良い」か「悪い」か
といった判断はできないと思っています。
判断するようになるには最低四曲以上は作っていくべきだと私は思います。
そのためにも、ご自身から生まれた歌詞やメロディは多少変えることがあっても
全部貯めていきましょう。
先ほどの話とは真逆の事で、混乱させてしまうかもしれません。
これから作る方、もしくは二、三曲作ったことのある方
✔考えたメロディや歌詞はその曲に使わないとしても大事に取っておく
そのためには作曲する時間、ずっとボイスレコーダーやスマホで録音しておくことをお勧めします。
ふっと口に出したものは忘れてしまうことがあります。そんな時録っておいてよかったと過去の自分に感謝できます。
作曲に慣れた方、既に四、五曲作っている方
今度は「捨てる勇気」を持ちます。
複数曲作れているのであれば、多少苦しい思いをしていても
作曲を始めた時よりは浮かんでくるアイデアは多くなっているはずです。
微妙だなと思ったらすぐに変えて別のものを新しく作る。
元が良ければ戻し、新しい方が良ければそのまま。柔軟に。
これだけ曲作れるのだから、別のものも浮かばないことはないでしょ!という少々強引な理由です。
3.まとめ
「詞先」から少し反れてしまいましたが、
「作曲」における「詞先」はメロディを生むためのきっかけ
として行ってみるといいかもしれません。
作曲に慣れてきたら、日本語の意味をさらに表現するツールとして行っていくことで
曲の世界観や情景描写を深く描くことにつながります。
まずは作ってみる。そのための方法として「詞先」も「あり」。
そしていっぱい作って、慣れたら柔軟に。
「作曲」が難しい、できないという方は
決して才能がないのではありません。
メロディや歌詞を浮かばせる方法が
「わからない」または「自分に合っていない」というだけなのです。
行き詰まった時やパッとしないなと感じた時に
この記事を見て、「作曲」の手助けになれば幸いです。