楽曲制作、リハーサルの進め方

gakkyoku_riha 制作活動の現場から

今回は、音楽をやる上で誰しもが必ず取り組むであろう楽曲制作とリハーサルの進め方について紹介していこうと思います。

これは音楽に限らず、絵画だったり演劇、はたまた色々な仕事にも使える考え方なので、何かのヒントになればと思います。

構築型と予定調和型(青写真型)

大きく分けて2つのタイプがいます。

構築型予定調和型(青写真型)なんていうように分類出来るか思います。

その2つの特徴、メリット、デメリットに分けて説明して行きます。

 

1 構築型

これは完成した状態を100とすると、0から1つ1つのフレーズや構成を積み上げていくタイプの事をいいます。

完成に向けて登っていくようなイメージです。

どのようなタイプなのかを実際の現場を想定して説明すると、

  • 制作の場面で構築型の人は、まず作り始めます。
  • とにかく作り始めます。
  • クライアントから女性ボーカルでピアノの楽曲という指定があったとしたら、ポロンポロンとピアノを弾きながら、鼻歌を歌います。
  • いいなぁと思うフレーズが出て来たら、どんどんPCに入力していきます。
  • その過程でも、ドラムやベースなど様々な楽器のフレーズが浮かぶ度にレコーディングしていきます。

作りながら曲の方向性を定めていくような進め方です。

リハーサルでオリジナルを作るような時プリプロと呼ばれます)も作り方は似ていて、
いずれかの楽器や歌がフレーズを演奏し、それを活かすように、他の楽器もどんどんフレーズを入れていきます。

A、Bメロ、間奏なんかも、こんな雰囲気でいこうっていうアイディアが浮かび次第、どんどん曲を進めて行きます。

 

構築型のメリット•デメリット

メリット

☑アイディアが豊富で、浮かんだフレーズをすぐ演奏出来るような人であれば、ひとまず完成に近い形にするまでの進行が早い。
☑多人数で進める場合、浮かんだアイディアを互いに良いと思えるチームであれば、意見の相違なく進行できる。
☑思いもよらないフレーズや構成が浮かぶ事がある。

 

デメリット

☑アイディアが浮かぶ度に、方向修正をする可能性があり、そもそもどういった曲にしたいのかが分からなくなる。
☑多人数で進める場合、アイディアが飛び交いすぎて、それもいいこれもいいというような形になってまとまらなくなる。
☑アイディアが浮かばない場合に、打開する理論だったり方法を持ってない人は、作業が全く進まなくなる。

このようなタイプを構築型と呼んでいます。

 

2 予定調和型(青写真型)

予定調和って聞くとあんまり良い印象を受けないかもしれませんが、そんなことはありません。

まず完成した状態の100の完成図を描きます。そこに向けて引っぱり上げるようなイメージです。

これも実際の現場を想定して説明していきます。

楽曲制作の場では、いきなり作り始める事はしません。

クライアントから指定された情報を元に、参考曲などを用意して、使用されている楽器や構成などを予め作っておきます。

ここでいう作るというのは、実際に打ち込んでいくと言うより、頭の中でイメージしていくような事です。

ある程度イメージ出来たら、そのフレーズを打ち込んで行きます。

音色などもある程度、あたりがつけられているので、打ち込み始めたらスムーズに進んでいきます。

こちらもリハーサルの時も同様に、バンドマスターと呼ばれる、そのバンドのリーダーが予め完成図を頭の中に用意しておきます。

もちろん事前に音にしてメンバーに送っておくような事もあります。

途中でバンドマスター以外のメンバーから意見が出た時には、それを踏まえた上で、完成図に付け加えていくような進め方です。

その意見も、ある程度枠組みが決まった上でのアイディアなので、極端に方向性が変わるような事はあまりありません。

予定調和型(青写真型)のメリット•デメリット

メリット

☑完成系をイメージしてから行うので、作りながら曲の方向性に迷う事がない
☑多人数で進めていく時も、完成図を描いている人が指示しながら進めていくので意見まとまらないような状態にならない。

デメリット

☑クライアントと制作制作者、バンドマスターとバンドメンバーのやり取りの中で、描いている完成図が伝わらない場合に、円滑に進まない。
☑多人数でやる場合も、バンドマスターのような最終決定をする人が決まっていない場合、構築型と予定調和型の進め方をいったりきたりしてしまって、当初の完成図と全く違うものが出来てしまう可能性がある。

おススメはどちら?

このようにどちらのタイプにもメリット•デメリットがあります。
個人的にオススメなのは、予定調和型です。

少し音楽とは違う分野で説明します。
大工さん、職人さんが家を建てる時を想像してみてください。

何も設計図がない状態から作り始めるという事は無いと思うんです。
まず家を建てたい人がいます。

それがいわゆるクライアントですね。

その方から発注を受けるのが設計士の方が図面を書きます。音楽に関しては作詞、作曲、編曲をする作家さん達です。

そこから実際の作業に取りかかるのが大工さん、職人さんです。音楽ではミュージシャンですね。

こうして違う分野に置き換えてみるとよく分かると思うんですが、

何かの作業を進めるに当たって、設計図(青写真)がない状態っていうのは、クライアントにとってはまずありえない話なんです。

音楽でもそこは同じで、ある程度完成されたイメージをもってそこに進むというやり方はとても理にかなっているいます。

成長するスピードにも違いが!

冒頭で音楽以外の分野にも使える考え方という事をお伝えしました。

歌や制作のレッスンを良く感じる事があるのですが、

自分がどうなりたいか、どういった作品をつくりたいのかが明確にある人とない人では、
成長の速度に雲泥の差が出ます。

これも具体的に完成図をイメージしている人といない人の例を出して説明していこうと思います。

イメージをしていない人

歌に関して、声量が出てきた。リズム良く歌えるようになってきた。音程がよくなってきた。
自分でも上達はしているなと感じています。

でも上手だねっていう歌で終わってしまう。

そういう方は完成図のイメージが出来ていないパターンが多いです。

レッスンで培った技術を表現にまで昇華できていないんですね。
上手な人止まりで、心を打つ歌になっていないんです。

で、その技術をこの歌ではどう使っていきたいのかを常に意識していく事を心がける事が大事です。

このタイプの人に陥りがちなパターンとしては、色々出来るようになって、それを無意識に出来るようになるまでのレベルになる前に、次の分野にどんどん目移りしていってしまうんです。

それが人からお金を頂けるレベルになる、いわゆる仕事になる状態になってから広げる事はいいと思うんですが、器用貧乏にならないように注意が必要です。

実際の交友関係で相談出来る先生や、先輩がいあるようであれば、その方と相談しながら、ひとまず近い未来の自分のイメージを持って練習や勉強をしていってください。

イメージが出来ている人

このタイプの人は、実際にレッスンをしていると具体的な質問が非常に多いです。
例えばこんな質問です。

イメージが出来ている人①
裏声が息が漏れちゃうんですけど、このアーティストはもっと芯があるように聞こえます。どういった練習をすればいいんですか?
イメージが出来ている人②
お客さんがとにかく体を動かせるようなライブをしたいんですけど、どういった曲を作ればいいですか?

 

などです。

そんな質問をしてくれると、先生もピンポイントで効果的な練習方法を教えられます。

その生徒さんの完成図を先生も見ているので、その先にある問題や、苦労するポイントを予め教える事が出来ます。

このような違いがあります。

どちらも良い部分はあるとは思うんですが、個人的に予定調和型をオススメする理由は、しっかり成長を実感しながら進んで行ける要素が多いからです。

方向性で迷う事が少なくなる事は、精神的にも非常に健康的です。

 

最後に1つ。

毎日、自分が成長に費やしている時間の中に、完成図をイメージする時間を5分だけでもいいので取り入れてみてもらえたらと思います。

今までとは違った物事の進め方が見えてきます。

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