前回の続きです。今回はトレーナーのことを深堀していきます。
▼前回の記事はこちら
6-2.トレーナーの実情はこうです!
トレーナーの実情を幾つかのタイプによって分けていきます。
これが実情であるという事実をまず受け止めてください。
かけ持ちトレーナー
実は、ボイストレーナーとして働いている方の7割以上が、他のスクールや教室とかけ持ちをしています。音楽の別分野の仕事、また音楽とは関係のない別業種の仕事もしていて、ボイストレーナーとしても働いているというのが実情です。そうしないと生活できないからです。
同じトレーナーが違うスクールに在籍といった事情もあります。スクールや教室のカラーは異なるけれど、やっているレッスンはAスクールもBスクールも、それほど変わっていない場合があります。これが現実!でもスクールによってレッスン代は違う!
ほとんどのトレーナーが「何時間いていくら」といった時給で算定するのではなく、「レッスン単位でいくら」といった出来高制です。
トレーナー業としての社会的な地位は、まだまだ低いと言わざるを得ませんね。(涙)
スクールの専属講師という場合もありますが、そういった方は師匠となるトレーナーのメソッド命で、その方法で上手くなった。また、その師匠の人柄に惚れて弟子入りして働いている場合がほとんどです。こういった場合は、その方法のみを伝えることで生徒さんを伸ばしていきます。
また、大手スクールのチーフトレーナーとなれば、ある程度は給与の保証はきくからと判断して仕事をする人もいます。そこに生徒さんに対しての想いがどれだけあるのかは、聞いてみないと分かりません。
アド・トレーナー
広告塔として名前が挙がるトレーナーという意味で造語として使っています。
キャッチー・トレーナーとでもいいましょうか。例をいくつか挙げてみましょう。
- ○○請負人!このトレーナーにつくとグンと上達。
それは、正しい(笑)腹式呼吸だったり、リズムだったり、ピッチだったり、英語の発音強化等、何かの項目やテーマに特化した内容をレッスンします。まるでスペシャリストのような先生です。
ただし、ボイトレの項目(WHAT)は繋がっていますので、リズムと呼吸、発声とピッチ、ピッチと発音など、複数項目をトレーニングすることのほうが多いです。
▼ボイトレジム「ボイストレーニングの基本項目」を参考にしてください。
- 「19××年、○○レコードよりメジャーデビュー」したトレーナー。
確かに生徒さんは集まるでしょうねぇ。でも、有名だからこそ、受けたい日時でレッスンが受けられないことの方が多いんですよ。休講ばかりになることだって考えられます。
また、その人がライブなど演奏の割合がお仕事として多い場合、ボイトレレッスンをしている時間は余りないように感じるんですがねぇ。
- 教則DVD、教則本出版トレーナー
この教則DVD、教則本がそれこそ「広告」となっている例です。いろんなメディアにも紹介されるので、それはもう、受けたくなる人もいらっしゃるでしょう。
ご自身の行ってきたことを後輩に伝えていきたい。後世に残していきたいといった素朴な動機から、有名になりたい、全国展開したい、儲けたいといった外発的、道具的な動機づけから出版したがる方もいらっしゃいますね。
- 過去に有名な歌手やタレントを輩出したトレーナー。
▼こちらのページをご覧ください。
名選手、必ずしも名監督ならず!
良いトレーナーと言われる人は、あくまで受ける側、生徒さん側の目線で判断するものでしょう。例えば、演奏活動、歌う活動はしているのに、教える、伝える活動は未知数の場合、トレーナーとしての判断基準は、それは、人によって違います。
「教え方がよければイイ」
はい。そうなんですよね。次回は、その教え方という部分にフォーカスをしたトレーナーのスキルに触れていきましょう。