みなさんは、世界の三大ボイストレーナーをご存知でしょうか?
✔ フレデリック・フ―スラー
✔ コーネリウス・L・リード
✔ E. ハーバート・チェザリー
この3名が世界三大ボイストレーナーといわれています。
今回は、この三大ボイストレーナーが開発したあまりにも有名なメソッドを皆さんとシェアしましょう。
当然、ひとつひとつの内容には広がりと深みがありますので、大まかにしか説明できません。しかし、ポップス、ロック、ジャズ、クラシック・・・。音楽のジャンルを問わず知っておいた方が良い三大メソッドです。詳しくは文献にあたってみてください。
発声界の三大メソッドとその巨匠達♪
特にこういった発声の本って、何故か難解な言い回しが多いようです。それもそのはず、感覚によってできてしまうことを言語化するときに、いろんな分野からのアプローチを試みているからです。
感覚や経験を言語化するのは大変です。歌の世界然り、楽器の世界もスポーツの世界もそうです。音楽そのものはもちろんのこと、解剖学、生理学、物理学、言語学、心理学などいろんな分野の垣根が取り払われます。
改めて、言語化することの難しい、手続き的な記憶を言語化しているボイストレーナーという職業は素晴らしい仕事だと感じているワケです。
話を戻しましょう。
これら三大メソッドには、後世に残しておくために書き起こした本が、出版されています。発声のテキストのようなものです。
7タイプの声、アンザッツ(フレデリック・フ―スラー)
1987年に初版が出版。
別名、フ―スラーメソッドともいわれています。解剖学や生理学を説明に取り入れて喉の筋肉の使い方と、発声のメカニズムを解いています。発声と肉体的な特質を結びつけた理論は、当時画期的でしたが難解でした。
フ―スラーといえばアンザッツです。アンザッツとは、別名7色の声ともいわれています。7つのタイプに分けていろんな声の音色(声色)を使った発声練習が有名です。
そのメソッドを習得、極めるまでには長い年月がかかります。個人差はありますという条件付きのもと、フ―スラーメソッド-アンザッツの場合には6年。能力の開花というレベルを目指すのなら10年かかるといわれています。
ベル・カント唱法(コーネリウス・L・リード)
1986年に初版が出版されています。
イタリアで生まれ育った伝承メトード「真のベル・カント」歌唱法を説いています。まずはベル・カントの歴史的な背景から入っています。
ベル・カント唱法とは 17~18 世紀に確立された自然の法則と完全に合致した原理を礎とする発声です。理想とするところは美しい歌唱であり、発声のメカニズムが正しく機能、コントロール(本の中では「制御」と記されてあります)されているところから始まります。
こトの基本原理から声区と声域、声区の融合に話が進んでいきます。
あの有名なYUBAメソッド(三重大学教授・弓場徹先生が始めた発声メソッド)に取り組んでいる方は、この本がヒントになる、という話ですよ。YUBAメソッドは系統としてこの本と繋がっているようです。興味深いですね。
【コーネリウス・L・リード】
アメリカの歌唱教師。
著述家、講演者であり、40 年以上にわたり、北アメリカで最も影響を持ち、注目されてきた発声指導者の一人である。科学的な訓練手順以前のイタリアのメソードと、生理学や心理学の近代的な概念により、独自の機能的な発声訓練を展開し、多くの弟子が活躍している。
マーク・メソッド
有名ということでしたら、僕は マーク・バクスター 氏を挙げたいですね。
ロックの本にして、声の健康、管理、強さ、柔軟性を説いた本です。当時としては画期的でした。
基本、声区の考え方はコーネリウスの流れを汲んでいるようです。声を磨くメソッドの探求心が旺盛な方と聞いています。僕も、この教側本にはとてもお世話になりました。1997年初版発行。
ナチュラルボイス(E. ハーバート・チェザリー)
『The VOICE of the MIND』はベル・カント唱法における伝説的な名著といわれています。1998年に故グロリア・ラッシュによって紹介されました。
歌の音響音声学の面から書いてあるサウンドビームの理論とファリンジャルボイス(フェリンジャルとも=咽頭腔)。この上達の必要性、練習を強く説いています。
ファリンジルボイスだけでは何とも言えない音色です。しかし、地声とのブレンド具合で素晴らしい声色になります。これを歌で使わない手はないでしょう。
余談ですが、この本、廃版になってしまいました。Amazonでは中古品が出回っているようですが、とても高値です。
若い頃、僕は図書館で借りてコピーをとりまくりましたwww
スピーチ・レベル・シンギング[SLS](セス・リッグス)
と思いましたか?または
と驚くかもしれませんね。
確かにこのメソッドは、日本でもかなり広まっていますし、セス・リッグス氏は世界的にも有名ですね(もう高齢ですが)。
元はと言えば、チェザリーの分派なのです。SLSというメソッド名が独り歩きをしてしまった感もあるんですが、それだけ有名になったということです。
亡きマイケル・ジャクソン、そしてあのマドンナやスティービー・ワンダーが学んだ発声法です。出し難かったスティーブン・タイラーの声を元どおりにさせたことでも有名なメソッドです。
日本人でも習得されている方はたくさんいらっしゃいます。今(2018年06月現在)ちょっと騒動で話題の某歌手兼トレーナーの女性や、日本人として初めて取得され、今やボイストレーニング界に貢献されている方。SLSを元に、何冊も著書や教則DVDを出されています。
ハリウッド式・・・というのもこの流れを汲んでいます。
ただし、知名度が上がれば上がるほど、色付けが出てきているようです。それを誤った情報が流れてしまっていると判断するか、アレンジした新たなものもあると考えるかは、判断によるところです。
どのメソッドが一番良い?
なんていうのは愚問です。
一番良いメソッド=正しい
とも限りません。これはこのサイトの中で、何度も口を酸っぱくして言ってきていることです。
まず、
- 思い込みを崩しましょう!
- その後に整えましょう!
- バラス
- 並べる
- 固める
と同じです。
レッスンでの現場では、生徒さんのマインドセットの整え方(ビリーフ)で結果がどうにでも変わるのです。
個人の感覚からくる体感は、必ずしも他人と共有できるものではありません。
なので、感覚で伝える先生についた生徒さんには大きな振れ幅がでてきます。
その感覚に合う生徒さんなら、教えてくれたトレーナーは良いトレーナー。
そうでなければ悪いトレーナーとレッテルを貼られてしまいます。
感覚を否定しているのではなく、理論と使い分けをしましょう。
さらに科学的に見て
誤っていなければ=身体を壊すやり方でなければ自由にアレンジして良い
と考えています。
生徒さんと、生徒さんのためのオリジナルメニューを考えて使ってみる。生徒さん自身も楽しいし充実するじゃないですか!
また、トレーナーご自身の研究からの多くの内容を積み重ねてきた場合、「独自メソッド」として世に広めたい方もいらっしゃるでしょう。
その流れでいくと次の段階で必ず挙げられるのが、
です。
ここで、自分の研究こそ正しいといった主張なのか?他の偉大なるトレーナーの方々や他の派に対して、そしてこれまでの歩みに対して敬意を表すか?
発声の*メソッドにしろアプローチにしろ「これで完璧」というものはないと思います。パソコンやアプリ、ソフトのようにバージョンアップすべきでしょう。
*僕は日本語教育の教授法の立場からメソッドとアプローチとは分けて考えています。
ただし、新しいものが出て来るということは、先人のご苦労の土台があってこそです。
まとめ
あなたがこれまでのメソッドを変えるか、そのまま続けていくかの見極めは、プロのトレーナーにじっくりと相談するのが一番。
その時のコツは、何回にかに分けて相談すること。トレーナー側にも宿題として持ち帰っていただく。その数回の対応でトレーナーの良し悪しが分かると思います。決して1回だけで判断しないでください。あなたもトレーナーも不幸になりますw
いささか乱暴な言い方ですが、誤解を恐れずに書きましょう。
喉を壊さなければ、歌う生命を絶たれなければ、どのやり方でもよいと判断します。音域にしろ声量にしろあなたの望む声が手に入ればメソッドのブレンドも可能でしょう。
とお叱りを受けるかもしれません。それは、トレーナー側が判断することではなく、生徒さんが判断すること、そのように感じています。
実際、『〇〇呼吸法、発声法』なんていうのもたくさん出ています。また、時代の流れや流行り廃りということもあるのも否定はできませんね。
最終的にあなたの声を管理できるのはあなた自身なのです。それが分からないからボイストレーニングを習っているワケなんです。
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