腹式呼吸は大切。だけど・・・♪
ボイストレーニングに腹式呼吸が必要なことは知っていると思います。
今回は、腹式呼吸、胸式呼吸などの呼吸法についてのお話です。
よく、腹式呼吸は良い。胸式呼吸は悪い、と白黒をつけて考えている人がいらっしゃいますしかし、そういった方は胸式呼吸の特徴を把握していないことが多いようです。
ここで 胸式と腹式の違いは何か?を考えてみましょう。
呼吸の違い
呼吸の種類 ここでは大きく分けて胸式呼吸と腹式呼吸、大きく二つに分けましょう。
呼吸の特徴
☑ 胸式呼吸 胸式呼吸は、自然に無意識に行っている呼吸です。
使う場面は水泳、ピラティス、ヨガ、そして日常生活。
これは、生きてゆく(生存する)ために必要な呼吸です。
☑ 腹式呼吸 腹式呼吸は、人前で表現するためにあります。歌う、話す(特にスピーチ)、読む。
使う場面は歌う、台詞の発話、応援団の舞、ヨガ。
実は「腹式呼吸」と言ってもさらにタイプが分かれます。
☑ その他の呼吸法 肩式呼吸、胸郭呼吸、密息、丹田呼吸、○○式呼吸法などなど。
挙げればきりがありません。
ここで大切なこと、それは、胸式呼吸と腹式呼吸のバランスが必要になってきます。
腹式呼吸で吸った空気はお腹には入らない!
そう。吸った空気はお腹に入らないのです。そして腹から声を出すというのは理論的には説明できないことになります。お腹から声は出ません。敢えて言うなら「お腹の周りの筋肉群を使って声帯を通して声を出す」でしょうか。
余談ですが、これは、日本人が昔から「腹」ということばに深い意味を持たせている名残でしょう。「腹に据え兼ねる」「腹黒い」「腹が立つ」「腹に一物」「腹を合わす」など、あまりいい意味では使われていません。(>_<)
さて、ここで息を吸う時のメカニズムをおさらいしましょう。腹式呼吸で息を吸うと・・・
① 空気はお腹に入るわけではない
② 丹田、腰回りを意識して空気を吸う
③ 肺の下半分くらいが伸びる
④ 横隔膜が下がる
⑤ 腰まわりが膨らむ というプロセスです。
鼻から吸う方がいいの?それとも口から吸う方がいいの?
これも、トレーナーによって意見の分かれるところです。ボイストレーニングを習っている方は、担当のトレーナーに聞いてみてください。結論はどちらでもよいのです。
鼻から吸うことによるメリット、デメリットもありますし、口から吸うことによるメリット、デメリットもあります。要は歌の中でどう使うか?ということ。
腹式呼吸が出来れば歌がうまく歌えるんですか?
これ、よくある質問なんです。結論からお伝えしましょう。
腹式呼吸は歌(表現)がうまくなるためには必要です。ただし、腹式呼吸だけでは十分ではありません。
もし、「呼吸法」だけで、肺活量だけで歌がうまくなるのであれば、
ヨガなどの●●式呼吸法 だったり
▲▲体操呼吸
または水泳
をやっていれば歌がうまくなるはずです。
ところが、水泳のアスリートたちは全員「歌がうまい」ですか?勿論、うまい人もいるかもしれませんが、あまり聞いたことないですよね。
そこで、腹式呼吸と発声をつなぐ「かけ橋」のようなスキルが必要になってくるわけです。
息を吐く時には?
う~ん。。。これも意見の分かれるところです。
「s―――」だったり、「hu―――」だったり・・・。お腹周りのへこませ方の議論などなど。もちろん吐けばお腹がへこむんですが、お腹の前だけを意識しすぎたりして、うまくいかない生徒さんもいらっしゃいます。
その吐き方にもいろいろなタイプがあるわけです。
詳しくはレッスンで質問すると、担当トレーナーが教えてくれるでしょう。
まとめ 腹式呼吸と胸式呼吸。バランスよく使おう
今回のまとめです。やっぱり、腹式呼吸をマスターするのにも段階が必要でしょう。胸式呼吸との比較をしながら体感していってください。
☑ 腹式呼吸は歌(表現)がうまくなるためには必要。
☑ ただし、腹式呼吸だけでは不十分。どちらも体感。
☑ そして腹式から発声に繋げるスキルを習得する。
☑ 腹式呼吸では吐く方に意識を持っていくのか?吸う方に意識を持っていくのか?
しっかりと身体で覚えよう。
☑ 腹式呼吸をマスターするのにも段階が必要。自分自身の身体を知ること。