いきなりご覧いただいている方へ質問です。上に載っているアイキャッチ画像、この写真が今回の記事のヒントになるんですが、この正体は何でしょう?
2019年に教室を移転した後で、レッスンで使い始めたグッズがありまして。今回はこれを主人公にして書いていくことにします。
発声に必要な体幹を体感する力♪
発声に必要な体幹を体感する力、それを鍛えるために室長が移転祝いとしてワンバイブスに贈呈したのです(笑)。
それをレッスンで使い始めたら、男性も女性も、
と言って使いたがります。
それは、
これです。
はいっ。ドンッ!
発声練習にバランスボールを使ってみました
これ、生徒さんから好評です。少なくとも室長の担当しているクラスでは、ほぼ100%の人気です。みんなニコニコしながらやっています。
バランスボールを使った経緯
数年前、室長は大病を患いました。退院後、急に体力が落ちたように感じられたのです。できるだけ体力を戻すために、歩いたり、ジョギングしたり、いろいろな方法を試していたんです。
その中のひとつがバランスボールを使ったメニューでした。
そう考えていました。
それで、今回、阿佐ヶ谷教室の引っ越し祝いとして、室長がワンバイブスに贈呈したのです。あれ?(笑)
得られるメリットは様々
バランスボールを発声に使うことで得られるメリットはたくさんあります。よく言われているのが、これらですね。
①体幹、インナーマッスルを鍛える
②姿勢が良くなる
③腰の痛みが減る
④腹筋を鍛える
⑤集中力がアップする
体感とインナーマッスルの違いは大丈夫でしょうか?以前の記事にも出しましたが、同じ意味ではありませんのでご注意ください。
▼体感とインナーマッスルの違いはこちら
ボイストレーニングに使ったらこんな効果が
バランスボールをボイストレーニングに使ってみたところ、こんな効果が出始めました。
- 一息で吐ける息の時間が長くなった→ロングブレス、ロングトーン
- 共鳴するポイントが変わった
- 響きのなかった声に響きが出てきた
- リズム感、とくにテンポ感覚が上がり、グルーブ感が出てきた
- 立っている時にはわかりにくかった重心移動が体感しやすくなった
ひとつずつ見ていくことにしましょう。
1.ロングブレス、ロングトーン
まず、支える力がついてきます。これは発声で必要。支える力はロングトーンの長さに比例します。
もちろん息が長く続くだけで、良い声が出たり、良い歌が歌えたりするわけでもありません。ただ、10秒から15秒ぎりぎりだった人が、楽々と30秒近くできるようになっています。また、70代の女性の方が45秒できていることを事実として載せておきましょう。
2.共鳴するポイントが変わった
次に、共鳴です。声区という用語で指導をしているトレーナーの方にとっては分かりやすいかもしれませんね。
ある生徒さんに試したところ、以前よりも鼻腔共鳴が良くなっている。大きな声を出そうとしなくても共鳴できている、などの効果が観て(聴いて)とれました。
3.声の響き
さらに、耳で聴くと声の響きも変わっているのがよく分かります。「分からないです」という生徒さんに対しては、スマホで録音をし、発声や歌の後、一緒に聴いて吟味するようにしています。項目2とも関連してきますが、音声解析ソフトで生徒さんのフォルマントを観察してみたいくらいです。
【フォルマント(formant)】
音声のスペクトル分析において、ある音声を特徴づける特定の周波数領域。周波数の低い順から第1フォルマント、第2フォルマントと名付けられ、音のエネルギーが集中する。音韻の区別に用いられる。
母音の聞き分けには特に第1,第2フォルマントが重要な役割を果している。
◆引用◆ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典/デジタル大辞泉
4.リズム感(特にテンポ感覚)、グルーブ感
特にテンポ感覚と書いたのは、生徒さん自らがリズムに対してモニター能力、メタ認知能力がついてきたといえるからです。
立ちながらリズムトレーニングをしていた時は、メニューをこなそうとするあまり、動きがぎこちなくテンポキープが疎かになりがちだった人も、バランスボールを使ってみると、合っていないと分かります。そして修正しようとする能力が働くのです。
表迫と裏拍の違いが頭で理解していても身体に落とし込めなかった人にとって、バランスボールは効果的なグッズとなります。
リズムはどこでとっているか?
リズムは腰でとっている。骨盤を使ってとっていると体感できる瞬間です。
5.重心移動の体感
歌う場合も話す場合も、声を出している時、自分の身体の重心がどうなっているのかを確かめることは大事です。歌ったり舞台で台詞を発語発話している時の方が、スピーチ、アナウンス、ナレーションよりも重心移動が著しいはずです。
バランスボールを使って重心移動ができた時には、①イメージと、②身体の使い方と、③息の流れ、④発している声、発音している言語音が「スーーーッ」と繋がっていく感じがあると、ある生徒さんは語っていました。
耳鼻咽喉科、ボイストレーナーの米山文明先生(2015年3月没)も
と仰っていた事を思い出しました。
メニューはいろいろ
具体的にどういったメニューでやるのか?は試行錯誤でよいと考えています。
組み合わせをしてもよし、生徒さんの身体の状態(体が硬い、柔らかいなど)を訊きながら確かめながら、一緒に考えていくのもよい方法だと思います。
最初にメソッドありき!で、そのメソッドに当てはめてうまくいく場合もありますし、そうでない場合もあります。メソッドありきは否定しません。アプローチに一子相伝はあったとしても、メソッドは具体的に現場対応だと判断しています。時代によって、生徒さんに応じて変わっていってもよいと思います。PCやアプリもより良いクオリティを求めてバージョンアップしますよね。それと同じでよいと思いますし、そうあるべきです。
もちろん、身体や喉に良くない負荷がかかったりする場合は、声の専門家として指摘をします。そのように試していきながら、生徒さん独自のオリジナルメニューができてくる。同じことを別の生徒さんにそのまま試すのは「?」です。スタイル化やパターン化は出来たとしてもそっくりそのまま当てはめられるとは限りません。
今後、生徒さんとバランスボールを使ってのいろんなメニューを作っていきたい。最終的にその人の声の管理ができるのはその人自身ということを忘れずに。