現在では大都市圏を中心にボイトレスクールがひしめき合っている状態です。そんな中で声の力を知っている人はボイストレーナーの方をはじめ、ボーカリスト、役者さんや声優さん、アナウンサー、通われている生徒さん・・・。それでも一握りです。
ボイストレーニングの場合、楽器を買う事もないので手軽にできちゃったりします。以前も似たようなことを書いた覚えがあります。今回は却ってそれが大変な誤解を生んでいる現状をお話します。
どのようにして自分の声を育てて、活かしてゆくかといった話と並行して、改めてトレーニングとは?について考えてみたいと思います。
まず、自分の声を知るために耳のトレーニングをする♪
多くの人は、自分自身の声を知らないということがいえるでしょう。これは気導音と骨(伝)導音の話を知っている方は頷けると思います。
【気導音】空気をとおして伝わってくる音。外耳道をとおって鼓膜を振動させて感じる音。
【骨(伝)導音】発声した時の声帯振動が頭蓋骨を通して直接内耳に伝えられる。いきなり側頭骨から蝸牛へと音の振動が伝わる。
歌いながら、話しながら自分の耳で聞いている?聴いている?声は気導音と骨(伝)導音がミックスされた音です。
そして自分では自分の声を気導音だけで聞く?聴く?ことはできません。何故なら、媒介としての音響機器があるからです。発声している本人は、その機器を通してでしか自分の声を聞けないからです。
もう少し細かなことを言うと、スピーカーの特性によって微妙に変わってしまいますね。スマホのスピーカーをとおして聴く自分の声。コンポのスピーカーをとおして聴くそれとは違うからです。
この聴けていない自分の声を知っておくことから始まります。
ボイストレーニングは直ぐに結果が出る
最近ではスマホで録音できるので、レッスン中に録って生徒さんと一緒にフィードバックして聴いています。
そこから始まるのがトレーニング。少なくとも僕はそのように考えています。でも自分の声を聴くことを嫌う人がいまだに数多くいるのも確かです。
自分の声を聴くのは嫌だ、自分の声が嫌いという人は、自分と向き合うことも避けているのでしょう。
声には、歌う声話す声ともにその人の過去や今が映し出されているのです。ですから今までの癖を知る。嫌でも聴いて改善したい部分と良い部分を探してみる。
ここは、シビアに時間をかけたいところなのです。
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ところが、ですよ。意外にも現状の声を改善んし、生活と結びつけた活かし方をする人が非常に少ないことに悲しい気持ちを抱いています。
いつからトレーニングということばの意味に手軽さ、気楽さが加わったんでしょう?
よほど、〇ザップ効果が強いのでしょうか?数ヶ月で結果にコミットが出来れば、声が嫌いとか、声に無頓着になっている人が一気に減っているはずです。
耳を侮ってはいけないよ
何故シビアに時間をかけたいのか?というと、ボイトレの中にインプットトレーニングであるイヤートレーニングを組み込んで聴覚を鍛えた方が、音感やリズム感などすべての面で鍛えられるからです。
ボイストレーニングというと、アウトプットばかり意識が向きがちになります。アウトプットだけでなくインプットに目を向けてください。あ、耳を傾けてください(笑)
これまで都合の悪いことや音は、聞いてはいたけど聴こうとはしなかったのが耳です。
- 視覚:見たくなかったら目を覆えば良い。
- 触覚:触れたくなかったら触らなければ良い。
- 嗅覚:臭かったら鼻をつまんで、限界まで息を止めて入れば良い。
- 味覚:まずいものならば、食べなければ良い。
聴覚は他の感覚器官と違って耳だけは意識的に聴かないことが出来ません。というよりも聞こうとしないという振る舞いに脳が働いてしまうのです。
なので聞こえる状態から聴ける状態になるまで時間がかかるわけです。五感の中で一番意思をもってコントロールしずらいもの、それが聴覚だと感じています。