さて、今回は、「声を整えることを自分で行なうためには」といった内容でお届けします。声を思いどおりに出したい時に気をつけたいことの「スキル編」です。
なお、
- 軟・硬・炭酸水の順番で水を飲む。
- 夏でも冷たい飲み物は出来るだけ飲まない
- お腹や喉周りを温める
- 睡眠時間等
これらは「環境編」として認識しています。さらに、
- 緊張したときの声の出し方
- 不安にならないように出すためには?
- 失敗したときの対処法(良い意味でのごまかし術)
これらは「メンタル編」のため、今回は取り扱いません。
声を整えることの意味-自分で行なうときに必要なこととは
まずは押さえておきたいことが「声を整えることの意味」です。これは調整と予防の2つに分けられます。声の調整を自分で自律して行なうためには何年もかかるのです。何故なら、そのためにボイストレーニングを行っているわけですからね。(当教室比)
具体的なひとつの考え方として、出来なくなったことから出来るように戻す。調子の悪い時にどのようにするか?といった調整で考えるよりも、出来るだけ良い状態をキープさせるためには?といった予防レベルで考えるとよいでしょう。
気をつけるべき6つのこと
それでは、これから出しやすい声になるために気をつける6つの項目についてお話ししましょう。体の部位は下半身から上半身へと移っていきます。
これらの項目にはさらに下位区分がありますが今回は項目のみにとどめておきましょう。
1.イメージ
はじめに声を出すときのイメージです。人はイメージできないと行動できません。ところがこのイメージがなかなかの曲者で、
声を出す時にイメージするって?
と考え込んでしまう人が何人もいることも事実です。
そこで、空間を考えてみるのを提案します。声を出す時に方向、距離感と高さをイメージしてみましょう。
1-1.声を出す方向をイメージする
1-2.距離(遠近)をイメージするタイプ
1-3.高さをイメージするタイプ
1-4.距離と高さの混合タイプ
なお、生徒さんの中には数学のグラフ(直線や放物線)をイメージするとやり易いといった方もいらっしゃいました。
2.フォーム(姿勢)
続いてフォームです。フォーム、姿勢は、良い歌が歌えるための1/4(25%)の割合を支えてくれています。また、この部分で個性が出やすいので個声®ともなる可能性を秘めているのです。
ここでフォームについて考える場合、次の7つの部位に着目しないとなりません。
①AO関節と肩と首
②腕と首
③胸郭
④腰椎
⑤股関節
⑥膝関節
⑦足関節
その上で、立ち方と座り方を追求、そして体感できれば、極端に調子に左右されることはありません。
3.重心
3つ目は重心です。重心を考えるときには以下の3つのことに意識を向けるようにしましょう。
3-1.はじめに体重移動です。
3-2.次は膝のことです。
3-3.さらに両足の開き方がどうなっているのか?
この3つを確認することです。
4.腹式呼吸のタイプ
4番目の腹式呼吸ですが、昔から問題視されていることがあります。それは「正しい腹式呼吸とは?」なのです。この情報過多の時代、世の中に無料で出回っている呼吸法が、どの方法によって伸びるかは人によって違うのです。
4-1.吐くと同時に少しずつ凹むタイプ
4-2.吐き始めにお腹周りが出るタイプ
5.息遣い(喉の使い方)
5番目の息遣いに関しましては、喉に直結する項目のため、センシティブ、デリケート、ナイーブな項目でもあります。
ただし、この項目は声の大きさ(声の大小は声の要素のひとつ)とダイレクトに関係する項目でもあります。
5-1.まずは量の多さと少なさ(声量に関わること)
5-2.次にスピード(流れる息の速度に関わること)
5-3.そしてアタック(息の勢いで強弱に関わること)
6.表情筋と発音器官
6つ目の表情筋と発音器官は切っても切れない関係にあります。これにはさらに3つの下位区分があり、これらの組み合わせで出す言語音や歌う音が決まってきます。
6-1.まずは喉から広頚筋、下あごについてです。
6-2.続いて口唇の形です(円唇/非円唇/平唇)。
6-3.その上で舌のことです。
舌の前後の位置 | 前舌/中舌/後舌( 奥舌) | |
口の開き方と 舌の高さ |
狭母音 半狭母音 半広母音 広母音 |
まとめ カラダという声に表情をつける楽器
最後にこれまでのまとめをしましょう。これは歌うことにも発話発語することにも関わってきます。
第一に、良い表現の1/3は発音が占めます。
そして、発音と発声は補い合うことで声力®アップが見込めます。
また、良い発声の50%は良い呼吸からです。
さらに、良い呼吸の50%は良いフォーム(姿勢)からです。
カラダの調整は、いわば声の成長のメンテナンス。声の成長は人の成長です。
なお、ここでは項目だけ述べました。この際もっと詳しく知りたい。そんな方は体験レッスンの門を叩いてください。