以前は、「声とことばについての障害」というタイトルで
声のトラブルは大きく
- 音声障害
- 構音障害
に分けられること。
それで、それぞれ
- 器質性
- 神経学や運動障害性
- 機能性
に分かれていることをお伝えしました。
今回は、難聴という耳のトラブルについての概略をお伝えしましょう。
耳は音楽や人の話をインプットする大切な道具です。今一度、耳の大切さを知っていただきたくコラム記事にしました。
難聴と人間の耳
周りの音や人の声が聴き取りにくくなることを難聴といいます。
まず、難聴になりやすい人の特徴をお話します。
生活習慣、過度のストレス、外傷、そして遺伝などが原因といわれているようですが、詳しいことは分かっていません。
かかりやすい人の特徴は次のとおりとなります。
幼児
ウィルス性感染症にかかりやすい子供が、ウィルス性の内耳炎が原因で難聴になりやすいといえます。予防接種を受けていない子供さんは気をつけましょう。
ストレスを抱えた人
ストレスを発散できない人は、ストレスが原因の難聴にかかりやすくなります。また、ストレスに気付かないでストレスをためている人も気をつけましょう。
日常的に騒音の中で仕事をしている人
空港の整備員、工事現場で働く人、ステージの設営の仕事など大きな音環境の中にいる人は軟調になりやすいといわれています。
飛行機によく乗る人
上空の高圧な環境は難聴のリスクを高めることから、出張が多い人や海外旅行によく行く人が当てはまります。
糖尿病の人
糖尿病って合併症が怖いですよね。耳の事にも関係してくるとは…。
鼻炎がちの人
鼻を強くかみ過ぎてしまう人もなりやすい傾向にあります。
食生活をチェック 乱れていませんか?
インスタント食品を多く採る人、またお酒をよく飲む人は、難聴になりやすいという統計が出ています。おっと・・・。
認知症になってしまった人
逆の言い方が良いでしょうか?難聴傾向の人は、認知症になりやすいとされています。
【引用 日経グッディ–最新・信頼の健康・医療情報サイト–】
難聴があると加齢に伴う認知機能の低下が大きい
超高齢社会を迎え、加齢性難聴の患者数も年々増加している。世界保健機関(WHO)では会話領域の平均聴力レベルが25dBHL(デシベル・エイチ・エル)を超えると難聴と定義しており、国立長寿医療研究センターの「老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」という疫学調査によれば、聴力レベルが25dBHLを超える難聴の有病率は65歳以上から急激に増え始め、75~79歳では男性71.4%、女性67.3%、80歳以上になると男性84.3%、女性73.3%が難聴という結果だった。
難聴の原因は、難聴になる時期によって違う
難聴の原因は、難聴になる時期によって違うといわれています。
難聴の発症する時期は次の3つに分けられます。
- 先天性の難聴
- 出産前後の難聴
- 後天性の難聴
1.先天性の難聴の約半分の割合は遺伝子の異常とされ、とても多くの難聴遺伝子があるそうです。難聴って遺伝するんですね!
2.出産前後の難聴では、生後3週間以内の検査で診断されます。超低体重児(今は未熟児とは言わない)で生まれた場合、難聴の子が多いといわれています。
3.後天性の難聴の場合、感染症によるものが多くを占めているそうです。いわゆる「おたふく風邪(流行性耳下腺炎)」にかかって難聴になってしまうケースです。
難聴の種類
難聴には、聞こえ方の度合い、程度や、耳のどの場所に起こったのかでタイプが分かれます。次の3つのタイプの難聴に分けられます。
伝音性の難聴
難聴を起こす場所は、外耳から内耳の障害
障害の程度は、軽度、中程度
症状としては音が小さく聞こえる事が頻繁
治療方法は神経に障害がないため、補聴器を使っての効果が期待
また、外耳、中耳の手術によって聴覚力の改善が可能
感音性の難聴
要約の筆記を必要とする人の多くがこの難聴に当てはまります。
難聴を起こす場所は、内耳の障害または蝸牛神経、脳幹、聴覚中枢に至る障害
障害の程度は、軽度から重度
症状としては、内耳障害では高周波数帯域の音が聞こえにくくなる
アンプなどで音を増幅させると気持ち悪くなる補充現象、リクルートメント現象あり
治療方法は、重度難聴の場合、人工内耳手術でも聴覚改善が可能
補聴器を使ってもことばは聞き取り難い
混合性の難聴
上のふたつの混合型で、伝音声と感音性の難聴、両方の症状が出てしまいます。
聞こえ方の度合いでコミュニケーションも違う
耳の聞こえ方、程度にも度合いがあります。
難聴の人に対してのコミュニケーションはどのようにとればよいのでしょうか?
五体満足だと、ひとくくりに耳の悪い人と捉えてしまいがちですが、これはやめてください!ご本人の気持ちをちょっとでも考えてみてください。
ここで聞こえ方の順に整理します。
最重度、つまり聞こえない順から
ろう者、中途失聴者、難聴者
になります。
ろう者
音声言語獲得期、つまり言葉を覚える前に失聴し、最重度のランクです。
補聴器を使っても聴覚が困難です。
手話を第一言語として使用している人が多い状況です。
ふつう第一言語はその国の母語です。
しかし、第一言語は手話という事は、
手話は言語なのです。
音声言語獲得期、言葉を覚えた以降に失聴した場合でも、ろう学校で手話を母語とするようになります。
中途失聴者
音声言語を獲得した後、おおむね思春期からもしくは成人期以降に失聴してしまった場合です。
聴覚障害の進行度は突発の場合や、徐々に進む場合があるのでしっかりとした診察が必要です。
障害をもっていることに抵抗がある、つまり分かっているけど受け入れ難い・・・といった
障害受容が課題となります。
難聴者
補聴器等によって音声言語の識別がある程度出来る人です。
音声言語を通常のコミュニケーション手段としている人が多数です。
聴覚障害を補うコミュニケーション手段
手話
視覚的な言語としてろう者がコミュニケーション手段として使っています。
✔ 日本手話
多くのろう者が使っている言語で、音声言語としての日本語とは異なる統語、語順となっています。
✔ 日本語対応手話
音声言語を日本語のとおりにします。手話の単語を一語一語つけて使います。日本語母語者が日本語の視覚的伝達手段として使います。
✔ 中間手話
上のふたつの中間的な表現です。日本語対応手話の場合、視覚的に理解しにくいようです。その欠点を補うため、日本手話の要素を入れた手話です。
✔指文字
手の形を表音文字(仮名)に対応させた視覚言語のひとつです。手話と一緒に使う事が多いですが、手話にない語や固有名詞、外来語などは、指文字でつづりを表現します。
人工内耳
補聴器が役に立たない重度の難聴(児)者に対して手術を行なって、聴覚を取り戻すための機器です。
人工内耳の埋め込みは小児が殆どです。
2歳以前に埋め込んだ場合、小学校入学までには、音声としての言語を獲得できるといわれています。
補聴器
難聴者の聞き取りを補うための小型装置です。
特殊な無指向性型マイクで集めた音をアンプで増幅させます。そしてスピーカで拡声。
ここまでは、普通の音楽のインプット→増幅→アウトプットと同じですが、補聴器の場合、その人の聴力に合わせた微調整が必要で、リミッター(アウトプット、出力を制限)がつけてあります。
補聴器には、耳にかけて使う型、耳穴型や箱型など様々な形があります。
外耳に異常がある場合には、骨伝導補聴器を使います。
難聴にならないために
最後に、難聴にならないための予防をお伝えしましょう。
大都市圏では、大きな音量の中で生活をしなければならないため、大音量を全く聞かないというのは、ちょっと無理な話です。
なので、
✔耳のダメージを減らす
これを第一優先にしましょう。
それでは具体的に、どう気をつけてどのようにすればよいのか?を書いていきます。
大音量での音楽を聴くのを避ける
✔ライブハウスでメインスピーカーの近くで聴かない
✔パチンコ店やゲームセンターに長時間いない
パチンコ店やゲームセンター内の音量は、あなたが考えているよりも大音量です。
とはいうもののお目当てのアーティストや抽選で、スピーカーの近くの席の場合もありますね。
そんな時には、耳栓を使いましょう。
耳栓は、使い捨てタイプと洗って再利用できるタイプがありますので、いろいろと検討してみましょう。
イヤホンを使い過ぎない
スマートフォンやMP3プレーヤーでイヤホンを使って音楽を聴くことは多いでしょう。
音楽を聞きたい若者には、イヤホンの代わりに、ヘッドホン、特にノイズキャンセリング機能付き(ノイズキャンセラー)のヘッドホンを使ってみましょう。
このヘッドホンは、周りの雑音を消すことで、聴きたい音楽だけに集中して聴けるようになるヘッドホンです。好みがあるので実際に見てみるのが一番です。
食生活に気をつける
このコラム記事の冒頭にも出てきました。
ここで
食生活をチェック 乱れていませんか?
をもう一度読み直してください。
過度なダイエット、または食欲不振による栄養不足が、難聴の原因になることがありますので注意しましょう。
肉類、特に豚肉を食べると良いといわれています。