前回は、
☑ イ段は口蓋化(硬口蓋化)するということ
☑ イ段、音によってはウ段はいったんはずして発音練習をする
ということを書きました。
▼こちらを参考にしてください。
今回は前回の続きとして、残りのマ行、ヤ行、ラ行、ワ行について書いていきます。
ボイトレの発音練習では、拡大五十音図を使おう♪
前回の記事で、日本語の音は五十音プラス「ん」を入れた51音ではないことをとりあげました。
では、この拡大五十音図の音を入れた時、日本語の音の数はいくつになるでしょうか?
偉い先生方がいろんなことを言われているようです。
(外来語の音をどうするかで、意見が分かれているんです)
111個をベースにして130個~140個位 といわれています。
この数、多いのでしょうか?少ないのでしょうか?
実は圧倒的に少ないのです!
ちなみに、お隣の韓国では、日本語を
「ありがとごっぢゃいます(ありがとうございます)」や
「マザァ~ン(麻雀)」と発話していても、音の数は日本語のそれとは比べ物にならないほど多いのです。
この音数の多さ少なさが、発声のみならず、歌うこと、発語、発話することに影響を及ぼします。
全てのイ段が口蓋化するわけではない
これからご紹介する音は、調音点(音が妨げられている位置)は硬口蓋に移動しません。
調音点はそれほど変わらない音
マ行とラ行
以下の音は、調音点はそれほど変わりません。
マ ○ ム メ モ
(両唇の調音点を使って発音する鼻音)
ミャ ミ ミュ ○ ミョ
(両唇の調音点を使って発音する鼻音)
※ただし、ミャ、ミ、ミュ、ミョは両唇の端が左右に引っ張られる。
その中でも、特にラ行は、後から出来た音だからでしょうか?
滑舌の練習では発声発音しにくい生徒さんが何人か見受けられます。
例えばナ行とラ行の組み合わせの
ラヌラヌラヌ×たくさん
などです。
やってみてください。できなかったら思いっきり笑ってくださいね~。
ラ ○ ル レ ロ
(歯茎の調音点を使って発音する弾き音)
リャ リ リュ ○ リョ
(歯茎の調音点を使って発音する弾き音)
※ただし、ラルレロを発声発音するときより舌が盛り上がる。
ヤ行とワ行
ヤ行(ヤユヨ)は他のイ段の子音とくっついて拗音となります。
【拗音】 口蓋化されたイ段の子音に[a][o][ɯ]の母音がついた音。
簡単に書くと、イ段の仮名に小文字のヤユヨをつけた音。
キャキュキョ、シャシュショなどなど。
専門的には有声硬口蓋接近音という半母音、母音の一種です。簡単に言うと、ヤ行と拗音はイ段の仲間です。
ヤ=イ+ア
ユ=イ+ウ*
ヨ=イ+オ
ヤ ○ ユ イェ ヨ
*ほら、よく「いう(言う)」と書いて「ゆー」と読んでしまうじゃないですか。
そうすると、ワ行はウ段の仲間ということができそうです。
ワ=ウ+ア
ヲ=ウ+オ
ワ ウィ ○ ウェ ウォ(ヲ)
ワ行は、唇と同時に軟口蓋も使う有声両唇軟口蓋接近音というふたつ調音点のある珍しい音です。これを二重調音といいます。
これを知ってうまく発声が出来れば、高音域での「ウ~♪」、英語の歌で[w]の発音がやり難いということがなくなります。
まとめ 拡大五十音図を使うメリット
ちなみに、言語教育や放送関係の世界では調音といわれている用語が、医療や言語聴覚の世界では、別の言い方をします。
調音のことを構音、調音点を構音点、調音法(調音様式)のことを構音様式と呼んでいます。
それでは、ボイトレで拡大五十音図を使うメリットを挙げてみましょう。
☑ 発音のやり方(調音、構音)が体感できる
口の開け方ばかりに気をとられずに、舌の動きを確かめることができる
☑ 歌いにくいフレーズ、高さなどこの図を使うことで歌い方を改善できる
☑ 滑舌練習に役立つ
☑ 基礎となる発声の上達を助ける(発音を意識しないと、しわ寄せは必ず喉にくる)
※ で囲んである範囲は口蓋化される音
※ の音は五十音図にある音 ※ の音は二重調音