ボイストレーニングを習っていると、新しいことを吸収出来てどんどん伸びる時期と、どうしても伸び悩んでしまう時期があります。これは仕方のないことなのです。人によっても伸び方は違ってきますから。
今回は、伸び悩む前、つまずく前の「転ばぬ先の杖」、つまずかないためのポイント、つまずきを最小限に抑えるポイントをお伝えしましょう。
個人レッスン形態の方が伸びる人と、グループレッスンの方が比較が出来て伸びる人と、人によって違います。
また、伸びるパターン、伸び悩むパターンも人それぞれなのです。
声よりも聲という表記を意識してみると♪
今回ここで「声」ではなく、「聲」と変換したのには理由があります。
この聲という字、旧字体なので今ではほとんど使われることはありません。
音読みだと、「セイ」「ショウ」
訓読みだと、「こえ」「こわ」となります。
意味としては、
こえ。音。言葉。鳴き声。評判。四声。漢字音の声調の四つの区別。
分子に 声+殳(るまた= 正式名称は「シュ」「ほこ 」の字形になっています)、分母(土台)に耳です。
殳(るまた)だけ取り出してみると
音読みだと、「シュ、ジュ、ズ」
訓読みだと、「ほこ、また」と読みます。
象形文字からきていて「手に木の杖を持つ」形を表しているらしいです。
そして「殸」だけ固めて読んでみると「けい、きょう、せい」と読みます。中国の打楽器で、板状に作った石を吊り下げ、打ち鳴らしながら演奏していたといわれています。
▶こちら 漢字/漢和/語源辞典 を参照
殸についての検索ページを開いて画像タブをクリックしたところ、何となくこれかな?と思える楽器の写真が出てきましたのでリンクを貼っておきますね。
つまずいてしまう4つのこととは?
さて、ボイトレをしていてつまずかないポイントを見つけるためには、逆から見ていくと理解できるかもしれません。
そうです。
✔ つまずいてしまうこと
を探すのです。
それでもあなた自身のビリーフが邪魔をして見つけにくいかもしれません。
ボイトレでつまずく場合、
という点があるのです。
つまり、ボイトレというと
発声や音程のアウトプットばかりで、聞いたり聴いたりするインプットとのバランスがとれていないのではないか?
という点、ここを見ていきたいのです。
そんなことを考えていた時にヒントとなった漢字が「聲」でした。
聲という文字表記から、僕は自分勝手な想像をしました。
- 土台としての耳は、音をまたは相手の声を聴けていますか?転じて入ってくる声や音楽の情報やコンテンツは理解されているか?
- 象形文字である殳(るまた)を意味する「矛(ほこ)、木の杖」から自分の声を守っているか?良い状態にキープしているか?
- 道具や武器(手に木の杖を持つ)として、声を使えているだろうか?
このような想像をしてみたわけです。
そうすると、、、分かってきたことが、見えてきたことが、考えられることが4つあるんです。
その1. 用語でつまずかない
これ、スタッフとも話していた事なんです。ボイトレではないんですが、音楽理論でつまずくポイントは用語が色々ある事と、その多様性ではないかと・・・。
ドレミファソラシド
C D E F G A B C
ハニホヘトイロハ
どの読み方でいくのか?混乱してしまいますよね。同じ内容で違った言い方をすることが音楽では多々ありますね。
また、次回出てきますが、発声でいうところのチェストボイスか胸声か?グルーブとノリの違いや、ビブラートとトレモロとトリルの違いなど。
また、音楽の分野でいうアクセントと言語学のそれとでは、微妙なニュアンスの違いも見てとれます。
こう考えてしまうと、確実につまずきます。なので、許容範囲を広くとって望んでください。
その2. イメージでつまずかない
イメージというと
自分が描いたイメージ=正しい
と思いがちです。勿論それもアリです。上手くいったから正しいと判断できるんですからね。しかし、ここがつまずく点にもなる事も知っておいてください。
トレーナーも、比喩(直喩、隠喩、換喩、提喩)を入れて生徒さんに伝えることがあります。ところが、イメージした時にしっくりいかないと、途端に「出来ない!」と感じてしまうんです。これは勿体ないなぁと思うわけですよ。
想像力、妄想力(笑)を働かせて、あなたの声を創造してください。全てのものは2度つくられる。声や歌うイメージも同じだと解釈しています。
その3. イメージからの感覚でつまずかない
あなたは感覚と知覚の違いは分かりますか?いわゆる五感を研ぎ澄ますということは、感覚も知覚も含まれています。
感覚とは、目・耳・鼻・舌などの感覚器官でとらえられた外部からの刺激が、脳の中枢に達して起こる意識の現象です。感覚神経の興奮に訴えるような直接的な感じ方。転じて、物事のとらえ方や感じ方もこういいます。一般的にはセンスともいいます。
例えば、
というのが感覚です。
その4. 感覚から知覚への流れでつまずかない
それに対して知覚とは、外界からの刺激を感覚として自覚し、刺激の種類を意味づけすることです。 視覚、聴覚、嗅覚、味覚、体性感覚、平衡感覚など、それぞれの感覚情報をもとに、自覚的な体験として再構成する処理のことです。
「一般に感覚は、色や明るさや個々の音、味、匂いなどの単純な感性経験を指し、知覚は、形や物体、メロディ、言葉どの複雑な感性経験をいう」
とされています。
よく「私は感覚型です」という言い方をする人がいますが、感覚と知覚とを一緒にしている人はこう言う傾向がありますね。詳しいことは定かではありませんが、感覚型と言うよりも「私は知覚型です。感性型です。」といった方が良いのかもしれません。
ボイストレーニングで行なう8つの項目をおさらいしよう
以前の記事でも載せていますが、ボイストレーニングを行なう場合、歌、話しことば、アナウンス、ナレーション、朗読問わずに次の8項目を押さえておく必要があります。
▼ボイストレーニングの基本8項目
次回は、この8つの項目からつまずかないポイントをお伝えしていきます。どうぞお楽しみに。