ボイストレーニングを習っている方なら、是非とも知って使っていただきたい道具(ツール)があります。それは、口の中のことを知ることから始まります。
それを
「口腔断面図」といいますが、
これは「こうくうだんめんず」と読むのでしょうか?「こうこうだんめんず」と読むのでしょうか?
どちらでもいいじゃん!という声も聞こえてきそうですが、日本語教育、そして音声学の第一線でご活躍の先生によれば、
言語学の世界では「こうこうだんめんず」。「こうくうだんめんず」という読み方になったのは、医療や言語聴覚の分野で、そのような言い方が定着しました。
とのことです。勉強になりますっ!
口腔断面図を描けるようにしておきましょう。
口腔断面図を理解しよう♪
口腔断面図は、日本語教師養成講座420時間を受講していたり、日本語教育能力検定試験を受ける皆さんにとっては馴染みのある図だと感じています。
ところが、音声記号(発音記号)と音の名称とセットで覚えなくてはならないため、この図を見ると顔を背けたくなる人もいることも事実ですw
そうはいっても、描けるようにはしておきたいものです。知れば知るほど奥深いこの図です。僕はとても良い意味での愛着を感じていますので(笑)、音楽の分野でも描けるようにしておきたいものです。バンドやユニットでボーカルを担当しているあなた。カラオケ好きでボイストレーニングのレッスンが面白くなり始めたあなた。すべての人に向けて、ずこの図の理解をしましょう。
どうして描けるとよいのか?
これには次の5つが大きな理由として挙げられます。
- 口の中の仕組みが分かるから
- 発声や発音の仕組みが理解できるから
- 口の中のどこで音が作られているのか(調音点と調音法)が体感できるから
- 発声や滑舌練習を助けるツールとなるから
- 部位の名前を知ることでトレーナーと生徒さんの共通用語としての認識ができるから
吃音ボイトレの生徒さんに向けて、レッスンの初めに「ミニテスト」のような形で部位の名称を答えてもらっています。
はじめは難しいですが、毎回毎回やっていると覚えるもんですよ。
コードを鳴らしてそのコードネームを当ててもらうといった耳のテストも歌うコース、音楽制作コースでやっていたりもしますが、それと似ていますね。
口腔断面図を描けるようにしておこう
ここで注意点があります。
ボイストレーナーの中にはこの断面図を描けても逆向き(右側を鼻、右向きに)に描く方もいらっしゃいます。しかし、どの本を見ても検索をしても・・・99%が
- 左側が唇で前側
- 右側が喉側で奥
と左向きなっています。口腔断面図で確認してみてください。
これは、後に出てくるIPAの子音表にも関係してきます。子音表も左側は唇側(前側)で右側が喉側(口の奥)となっています。リンクを貼っておきますので、確認してみましょう。
断面図の描き方
それでは、実際に描いてみましょうか。絵心のあるなし、うまい下手は関係ありません。というよりも描き続けていけば、そこそこの腕前になっています。さらに、音声器官の名前も自然に覚えることも出来ます。
まず、上の歯から描きます。そうして上あごの内面を描いていきます。
口蓋帆から口蓋垂を描いていきます。
そして鼻の外側を描いていきましょう。
ここまでで鼻腔も描けました。鼻が高くなってしまったw
首から下あご、下唇を描いていきます。
下唇から下の歯を描きます。ここから舌に移ります。
舌端から奥舌(後舌)を描いていき、舌根~喉頭蓋を描きます。気管と食道を分けましょう。
声帯を描いて出来上がりです。コツは一筆書きのようにして描いていくことだと、音声学の先生は仰っていました。
中級者にはIPAの母音の図と子音表を
このように断面図を描けるようになって(何度も言いますがうまい下手は関係ありません)、発声・発音グッズとして使えるようにしてください。
発声器官の名前が覚えられなくとも
軟口蓋って上あごの奥の柔らかいプニプニした部分ね♪
と確かめることができれば、発音滑舌練習の上達スピードもあがるでしょう。
これが初心者の段階です。中級~上級者レベルになってくるとIPAの子音表(子音の図)も理解できるようになりましょう。
これこそボイストレーニングで滑舌がグングンよくなる秘密のツールとして使うことができるのです。
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