体験レッスンを受講される方の中には、次のような質問をしてくる方がいらっしゃいます。それもかなりの確率で、です。
いやいや、喉を使っているから、声帯振動のあるなしで声は出るんでしょう。
この答えは確かに当たっていますね。
しかし、こちらが言い方を替えて訊ねてみると、発声と発音とを混同して使っているような、そのように見てとれました。
今回は、ボイストレーニングの発音という項目、分野の中で確実にとおらなければならない音の作り方のお話をしていきましょう。
調音点を確認しよう♪
先ほどの「どこで?」という質問には、
口の中のどこで?という意味
「声が出ているのか?」という質問には
発声だと思われがちですが、よく確認してみると、音が作られるのか?という意味なのでした。
つまり、発声ということではなく調音、それも調音点はどこか?という意味で質問をされたのだと解釈しました。
このように発音の中の調音点のことを質問したいのに、別の言い方で訊いてくる場合があります。その理由は、
✔調音という用語を知らないから全部発声だと思ってしまう
✔イメージ型の人の場合、暗黙知であることが多いから
【暗黙知】
とは経験や勘に基づく知識のことで、個人はこれを言葉にされていない状態でもっている。手続き的記憶と同じ意味。
調音点を確認する前に
調音とは、音を作ることです。言語聴覚士の世界では構音と呼んでいますが、内容は同じです。
まず、調音には調音点と調音法があります。過去にこんな記事を載せていますので参考にしてください。調音点とは、口の中のどこを使って、どの部分で音が作られるのか?ということです。point of articulation と言ってみたり、place-of-articulation と言ったりもします。
次に、発声と発音の違いは何が違うのでしょうか?これもこちらをご覧ください。
発声と発音の違いが分かったら、次はいよいよ調音点です。
調音点は点ではない
調音点で検索した時の検索ページ(画像)です。この検索ページを開き、比較しながら読み進めると良いでしょう。
調音点として作られる音は子音です。音が作られるとき、妨げられたり狭められたりをどの部分で行なっているか?それが調音点です。上の図を見ると上あごの黄色の部分、これが調音点です。この調音点は、ある程度面積を持っていますので、最近では調音部位、調音位置、調音の位置と言われることもあるようです。
とにかく、点といってもある程度の範囲がある。そのことを頭に入れておいてください。
黄色の部分ではありませんが、声帯の隙間を声門と呼びます。声帯と声門の関係は、学校とその校門に似ている気がします。
この声門も調音点になります。何故なら
- 無声声門破裂音としての[ʔ]
- 無声声門摩擦音としての[h](つまり、「ハ」「ヘ」「ホ」の子音)
- 有声声門摩擦音としての[ɦ]
があるからです。
3.は簡単に説明しますと「おはよう」が
のように母音のようになってしまう子音をいいます。言ってみれば「ハ行」の有声音です。
覚えておきたい調音点の数
覚えておきたい調音点は次の8つです。外側(唇側)から
- 両唇(りょうしん 上唇と下唇)
- 上の歯
- 歯茎(しけい)
- 歯茎硬口蓋(しけいこうこうがい)
- 硬口蓋(こうこうがい)
- 軟口蓋(なんこうがい)
- 口蓋垂(こうがいすい)
- 声門(せいもん)
これらの各調音点が、調音者と子音の出だしの音を作ります。調音者とは、下あごを土台として、下唇、下の歯、舌(舌先、前舌、中舌、奥舌)の動く部分のことを指します。日本語教育の言語学の先生は「滑り出しの音」と言ってらっしゃいます。
それら滑り出そうとする音の種類、方法、様式が調音法、調音様式と言われるものです。鼻音や摩擦音、破擦音、破裂音、弾き音、接近音、側面音などと呼ばれる子音の種類のことです。
調音点を理解しなければならないのは何故?
◆滑舌が良くなるからです。
◆話す場合でも歌う場合でも、フレーズに対しての処理の仕方が意味との関係の中でやり易くなるからです。
◆歌う時、母音の響きの変化に対応させるために、子音のアタックをコントロールできるからです。
もちろん体験レッスンでは、ここまで詳しくは出来ませんし、初心者に調音点、調音者、調音法と伝えたところでほとんど伝わらないでしょう。
こんな伝え方をして伝わればいいなあと感じています。それでも伝わらなかったら?ほかの引出しを開けて伝えられるように、整理整頓(笑)努力は怠りません。
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