今回は、両声類(りょうせいるい)をとりあげてみましょう。
両声類とは、性別を逆転させたような声で歌う人達のことです。女性なら男性の声で、男性なら女性の声で歌うのです。
両生類の音読みに引っ掛けた言い方で、「生→声」の書き方をします。
この用語自体はニコ動(ニコニコ動画)全盛時代から使われていたんですが、ここ半年の間、何かとレッスンで話題になっていたのでとりあげてみました。
このコラム記事を書くにあたって、あざみ野教室で話題にして頂いたY.H.さん(男性)、そして阿佐ヶ谷教室でインタビュー(笑)に応えてくれたY.M.さん(女性)に感謝します。ありがとうございます。
両声類を語る教室ワンバイブス♪
歌っている声を使い分けたい。M.C.は男声で歌う時には女声にしたい。そのためには喉の使い方をこれまでの発声と変えて、声帯の筋肉を少しずつ鍛えていくことが必要・・・などなど。
両声類のことをググって他のサイトを覗いてみると、発声のテクニックとしては、いろいろと載っていますね。
ただ、今回はテクニック以前の事柄をとりあげていきたいのです。
これを知ることが、あなたの・・・キミの・・・妄想を現実に変えてゆく声の変革になるからです。
ジェンダーとフェミニズム
両声類の声を出す前に、ジェンダーと女性男性が発する言葉の違いに振れておく必要があります。
【ジェンダー】
ジェンダーとは、社会的や心理的な性別を指します。 生物学としての性別 (セックス) とは別の性別です。社会・文化として「女性とは・・・」、「男性とは・・・」という考え方に基づいています。
【フェミニズム運動】
1970年代から急に盛んになりました。社会制度、習慣や考え方に性差別をなくし、平等にしようという運動。女性の権利を拡張、女性の解放を主張する思想・運動などの総称です。
ここで、性同一性も広い意味でジェンダーに含まれるようですが、内容が複雑になりますので、ここでは社会的文化的、そして心理的な性についてのみ書きます。
要するに、「・・・らしさ」ということなんですが、何が「女性らしさ、男性らしさ」なのか?を押さえておかないとなりません。いわゆるジェンダー観とでも言いましょうか。
両声類として使う声の場合、
- どういう声があなたの思う女らしい声なのか?
- どういうこえがあなたの思う男らしい声なのか?
確かめていかないとならないのです。
男性声と女性声、男性言葉と女性言葉
言語の中での性差の分類というのがあります。女性男性による言葉の使い方の違いのことです。社会言語学の立場から見れば、女性と男性の差は社会的な要因が関係すると考えられています。
今では、
ともいわれています。しかし日本語は(タイ語も)性差の大きい言語だといわれているんです。(『言語における性差別分類』1998年版を参考)
性差とは2つあり、絶対的な性差と相対的な性差に分けられますが、ここではひとまとめに性差としておきます。
☑女性らしい声で女性らしい言葉遣いを
☑男性らしい声で男性らしい言葉遣いを
日本語はこれがハッキリした言語だということです。
両声類として歌声を使いたい時、まず声そのものを変える前に
☑女性の声で男性らしい言葉遣いを
☑男性の声で女性らしい言葉遣いを(美●憲一さん?/●●コ・デラックスさん?)
をやってみてください。
という人や
色々な感想があってよいと感じます。
両声類へのあこがれ
では、両声類となるためには、どのようなステップを上がっていけばよいのでしょうか?まとめておきましょう。
声の音色とは声質ではありません。同じ立場をとるトレーナーもいらっしゃいますが、僕は別の立場をとっています。
▼音色と声質の違いは
出したい声の音色にどの位近づけていくのかを棚卸します。ただ男声を出したい女声を出したいというのではなく、出してみたい人の声をあげてもよいでしょう。もちろん、声紋を確かめるとその人だけのものなので完全に真似るのは無理です。また、出したい音色が出せる音色とも限りません。
レッスンでトレーナーと一緒に考えてみましょう。
【声紋(せいもん)】
音声を周波数分析した結果をソナグラムで表したもの。個人によって異なりその人唯一のものなので、犯罪捜査などにも利用される。
パラ言語情報とは、話し手が聞き手に与える言葉の情報のうち、イントネーション、リズム、ポーズ、声質、話すスピードや音の切り方などです。ボイトレをやっていない人でも分かりやすいことは、
- 男性 抑揚があまりなく、高さ強さで話す。公の場面では高め安定した声で話そうとする。
- 女性 抑揚があり、人によっては歌っているような話し方。公の場面では抑揚を抑えて低めに話す人もいる。
これらその1~その3のステップの中でモノマネということも大いに参考になります。
両声類とメラニー法
最近では、両声類を語るにあたって必ず出てくるメソッドがあります。
【メラニー法】
ボイストレーニングにより女声を出す方法。トランス女性が、外科的処置に頼らずに訓練によって声の性適合を行う場合に習得することが多い。自身も性同一性障害者であるアメリカのメラニー・アン・フィリップス (Melanie Anne Phillips)によって開発された。
(中略)この方法においては高い声を出すことを目的とせず、女声らしい響きをつけることで、相手に女性として認識させようというものである。
【引用】 Wikipedia
喉を細めるように意識しながら発声する。 喉仏を使わないように意識する。とありますが感覚的なものです。この感覚をつかむまでのプロセスが人によって違いが出てきます。
また、喉仏を押さえて(押し込んで)発声するというやり方は誤りというくだりがあるんですが、これは当たっています。こんなことをしたら喉の弱い人はやられてしまいますので、気をつけてくださいね。(ToT)
ライブじゃないのが目標
こういう人たちはYouTubeにアップすることだったり、SNSなどで独自のコミュニティをつくるなどが目標になります。現状ではその割合の方が多いのです。ライブに出演して・・・・が目標ではないのです。ライブ経験の多い方からしてみれば、
と感じるかもしれません。
まあ、そうなんでしょうが、それこそステレオタイプで人を見ては良くない場合もありますから注意しましょう。
両声類に興味をもたれた方。
やってはみたけれど上手くいかなかった。
喉が壊れる前に辞めた。www
さらに、詳しくやりたいのでけれど、何からやればよいのか?
そんなあなた、キミ、一度、ワンバイブスまでご相談ください。対面、オンラインのバイブリッド形式でお待ちしています(笑)
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