僕は良くレッスンの中で生徒さんのこんなことを言います。
10人中8人がやってうまくいっている。
次のレッスンでも試してみてデータをとろう。
まあ、データなんて大それたものではなく、同じことをやって前回の出来と今回の出来を比べてみるわけです。そんなレッスンをしていきながら常々感じる事があります。
ボイストレーニングは統計学の側面もある
今回は、トレーナー目線でお届けしてしまうのですが、この内容を皆さんとシェアいたします。
今回の話は、オンラインレッスンを行なっている生徒さんとの話で出てきた話題です。
これまで感覚で済まされたことを統計でアプローチする
時代は令和。もちろん昔ながらの昭和時代の流れからくる職人の世界、マイスターというのもそれはそれでトラディッショナル(伝統的)かもしれません。
昔気質の職人の世界は勘と経験だけに頼る世界でした。ただ今は芸術的な側面からだけでなく、理系のような思考が多いとも聞きます。
僕は昔、「印刷技術、画像工学」を履修していました。その中で写真と写真製版を担当していた先生が
これからは感覚と数字が融合していく時代。
と仰っていたことを思い出しました。まだ、バブルの少し前の時代です。まさに今そんな時代です。スポーツや占星術も統計学を利用して数値化されています。
ボイストレーニング(以下、ボイトレ)も同じです。
ボイストレーニングのメニューは感覚と体感と数値化と改善
ボイトレのメニューをこなす場合、
- 感覚
- 体感
- 数値化
- 改善
この4つを車輪のように回していくことが大切です。
感覚
今、情報がたくさんあり過ぎる時代です。多すぎる情報をインプットできる量(キャパ)も限られています。考えることは出来るけれど、感じることを遠いどこかに置き忘れてしまっているのかもしれません。
数値化するためにもイメージは大事なのです。
例えば、読みでもバラエティのナレーションは1オクターブ近く使って話さないとなりません。どの辺りのオクターブなのか?それはまさに数値化ですね。
さらに自分の声が何dB(デシベル)か?という音圧を測るスマホアプリもあります。
当教室では、パフォーマンス活声課®にご入会いただいた生徒さんに「優位感覚・行動タイプ」の特典をお付けしています。ちょうど、インプットとアウトプットのことを書いた記事がありますので、そちらも参考にしてください。
体感
感覚を確かなものにするためには、体感(体で感じること)しないとなりません。体感を助けるためには、イメージが大事です。この場合、抽象的なイメージよりも具体的にイメージ出来るといいです。そのためのひとつの指針として解剖学を参考にしても良いでしょう。
体感とイメージがリンクしていないと、頭では分かっているけれど体にまで落とし込むことは出来ないんですね。
「肚に落とす」
ということが難しくなるんです。
すると、なかなか上手く出来なくなることもあります。それをちょっとした失敗という人もいます。ただ失敗体験がその人の体感を妨げることはあることです。だから声と心は繋がっていると言えます。
数値化
ここまでで感覚と体感を俯瞰して眺めることが出来れば、数値化は簡単だと考えています。
さて、感覚を数値化する場合、道具を使って行なうことはよく言われていますね。この考え方は筋トレにも、他のスポーツにも通じるものがあると思いますよ。
良く音域の練習の時、レッスンではひとつのメニューを繰り返し行います。やりながら数値をとっていくわけです。
- 先週より伸びた
- 先週よりも伸びなかった
と一喜一憂することではなく、何故伸びなかったのか?どうすれば改善できるのか?を生徒さんと考えていきます。数値に振り回されないようにすることが大事です。
改善
改善するためにはいろんなやり方があります。
入会したての生徒さんなら、まだお互いのことが分からないので「優位感覚・行動タイプ」の特典シートを参考にインプット、アウトプットの感じを探っていきます。
長く通ってくれている生徒さんに対しては、お互いのやる気を維持しながら工夫します。生徒さんに対しては、通う期間が長い短いに関わらず試行錯誤しますね。
また、
メニュー=必ず出来るもの
という考え方をいったん脇に置いてもらいます。そこでサブ・メニューを出していきます。サブ・メニューとは、メイン・メニューが出来るようにするための補助のメニューで、体調により出来が良かったり芳しくなかったりする。そんな感じでよいのです。
時には、生徒さんと一緒にレッスンメニューを作ってしまうこともあるかな(笑)
伝わる声は心と体がつながってこそ(まとめ)
脳・身体・心・声は、つながっている。
昔、全国展開型のスクールで講師をしていた時、一緒に仕事をしていた後輩のトレーナーが言っていたことです。今ではシンガポールで大活躍されています。
つながっているからこそ、経験的に得られたバラツキのあるデータから未来のデータを推測するために数値化されるべき。僕はこのように考えています。
よく、
数値化できるものは改善される
測定できることは改善される
と言われていますが、その通りだと思いますよ。
感覚⇔体感⇔数値化⇔改善
のサイクルをまわしていきながら今日も生徒さんに応じた新しいボイトレメュー、レッスン教案を考えています。