声のトレーニングとワーキングメモリー(言語編)

保持?処理!脳 ボイトレジム
nugroho dwi hartawanによるPixabayからの画像

昨今の社会情勢にもかかわらず、いや、だからこそ

声を出したい。

カラオケを思い切り歌いたい。

という人は多いようです。声を出すことは放つこと、相手に届けること、投げかけること、相手を包み込むこと等々。自分の気持ちを声にのっけていきましょう♪

今回は、

発声練習をするときにある短期記憶のことを取り入れながらやってみよう

というお話です。認知症などのことを語る時、必ず出てくるワーキングメモリーについてです。

ボイトレ、脳トレ、ワーキングメモリー

ワーキングメモリーとは作業記憶、作動記憶と言われています。必要な情報を一時的に保持しながら操作する短期記憶のひとつです。それは

  • 計算
  • 判断
  • 推論
  • 思考など

いろんな認知活動の基礎となるモノです。

【ワーキングメモリー(作動記憶、作業記憶)】

情報を一時的に保持しながら処理を行なう記憶システムをワーキングメモリー(作動記憶、作業記憶)と呼ぶ。例えば読解の過程では、最初に読んだことを一時的に保持して次の内容を処理しなければならず、その間に前に読んだ部分を忘れてしまったら理解は進んではいかない。~(以下略)~

●引用● アルク編『日本語教育能力検定試験に合格するための用語集』2012年初版 P.82

まずは、現状のチェックを

物忘れ防止や認知症のチェックに関わっている脳の短期記憶システムがワーキングメモリーです。まず、あなたのワーキングメモリー・チェックをしてみましょう。

▼以下をクリックすると別のサイトに飛びます。ふたつ共とても良いチェックなので、ぜひやってみましょう(笑)さぁ、どうなるでしょうか?

あなたの脳のワーキングメモリー力は?

セルフテストでチェック。あなたのワーキングメモリーの力は?

結果が悪くても落ち込まないでくださいね💦

このワーキングメモリーなんですが容量には制限があるようです。ただし、トレーニング次第では広がるとも言われています。

僕はこの話を聞いて

ワーキングメモリーの訓練ができるのは語学だけではなく、音楽の演奏や、ボイトレでもできるんだ!

そのように感じました。

ワーキングメモリーはいろんな世界で使える

ワーキングメモリーは日常生活の中で意識して使うことが出来ます。先ほども触れました計算(暗算)、買い物リストを頭の中に入れて買い物に行く、などです。

ではボイストレーニング周りの分野では使えないのでしょうか?

上げていくとたくさん出てくることが分かります。語学の場合、音楽の場合に分けて見ていきましょう。

語学の場合

ワーキングメモリー、語学とくれば思い出すのがシャドウイングです。シャドウイングに関しましては前回の記事でも描いていますので参考にしてください。

きく力を伸ばすために(その1)
あなたは「きく力」を伸ばすためにやっていることは何かありますか? ただひたすら好きな音楽を聞きまくっています。 英語のディクテーションやってますけど。 ボイストレーニングというとどうしても良い声、上手い声、好きな声など、発声・音程を中心としたアウトプットに偏りがちです。 しかし、「きく」という受容理...
きく力を伸ばすために(その2)
前回は「きく力を伸ばすために(その1)」という記事で きく(聞く・聴く・訊く) 読む 話す、歌う 書く の中で一番エネルギーを使う技能は「きく」ことだと書きました。 人は、自分にとって都合の良い音しかきかない。そして、都合の良い解釈しかしない。 音楽でも人との会話でも、人から何かのメッセージが自分に...
シャドウイングをやっているときに出てくる記憶システム

はじめてシャドウイングをやろうとする生徒さんは、とにかく出来れば良い!という目標でやるようです。

すると、いくつかのことが引っかかってきます。

まずは文末が聴き取りにくいということです。イントネーション の特性上、仕方のないことなのです。ただ何度も練習するうちにそれができてきます。すると、今度は入るタイミングが短くなります。音楽でいうディレイタイムが次第に短くなると同じです。

ここで僕は生徒さんに

男性トレーナー
トレーナー

何て言ってたのか内容は分かる?

と訊くと、全員の生徒さんがきちんと答えられません。ここで内容(コンテンツ)に移っていきます。ワーキングメモリーの出番です。

【ディレイタイム】

50~200ms=0.05~0.2秒の意味(1秒=1000ms)
これがいわゆるショートディレイです。遅れてディレイ音が鳴る設定にすると、原音とディレイ音の区別がはっきりしないといったリバーブ効果が生まれます。

200~400ms=0.2~0.4秒遅れてディレイ音が鳴る
これがロングディレイです。つまりやまびこのような効果を生み出すディレイです。
原音とディレイ音の区別がはっきりするのでやまびこのような効果が生まれるのです。

ボイトレでやってみた!リーディングスパンのテスト

リーディングスパンとは、ワーキングメモリーの容量を測る方法のひとつです。

➀目の前に出てきた談話文を声を出して読んでもらいながら(処理)
②談話文中に指示された単語を記憶してもらうやり方(保持)

これで、その人のワーキングメモリーの容量を測るわけです。

これ、朗読のレッスンでやってみたんです。朗読は、以前は朗読は話し方教室でやっていましたが、今ではボイトレ教室、ボイトレスクールでやっているのです。

僕は、➀で表記された談話を読んでもらうのではなく、シャドウイング(プロソディシャドウイング➡コンテンツシャドウイング)でやってもらいました。

音楽でも使えるワーキングメモリー

ワーキングメモリーは音楽の分野でも威力を発揮すると言われています。

これまでの研究では音楽家は非音楽家に比べてより速いワーキングメモリの更新を示し、より多くの神経リソースを音響刺激に割り当てていることを示したと報告されています。

楽器の演奏経験期間がワーキングメモリの改善と関連があることが示された。といわれているんですが、どのような音楽のスキルがワーキングメモリに影響するか明らかではありませんでした。

声を扱う仕事をしている僕にとってはとても興味深いことで、まだまだ研究の余地がある分野ですね。

次回はワーキングメモリーと歌う(ボーカル)、演奏する場合を書いていきます。

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