身近に起こる「声のトラブル」に気をつけよう

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季節の変わり目になると、気温の寒暖差が激しくなります。それに伴って声も出にくくなる人もいます。

風邪をひいてしまったり、花粉症で鼻声になってしまう。まだまだコロナも猛威を振るっています。(2022年5月時点)

これらの症状が続くと、声の出るまでのどこかで何らかのトラブルが起こりやすくなります。

  • 声そのものが出しにくい
  • 声質が変わったように感じる
  • いつもの高さが出ない
  • 滑舌が悪いのと違う発音のやり難さがある
  • 歌っているときにいつもと違う(これが1週間以上続く)

このような場合、声の障害を疑った方が良いかもしれませんね。

でもね、いたずらに不安になることはありません。音声障害も幾つかのタイプに分かれます。

それによって症状や対処、治療法が異なってきますので、ここで大まかなことだけでも知っておきましょう。

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声のトラブルは大きく分けて2つある

まず、

声のトラブルとは2つあるという事を知っておいてください。

  1. 音声障害
  2. 構音障害

1.の音声障害とは、声そのものの障害です。声帯とその周りの動きに関わる神経の障害によって声が出しにくくなっている状態のことです。

発声そのものに関係していることが多く、その原因は3つに分けられます。

2.の構音障害とは、調音、つまり音が加工しにくくなる発音のトラブルです。

側音化構音などの症状もこの種類の中に入ります。まとめると、発声や発語器官の形が少し違っていたり、舌や唇の動きに関わる神経や筋肉の障害によって発音しにくくなる現象です。。

*なお、構音のことを調音ともいい同じ意味として使います。分野によって言い方が異なります。(↓構音と調音について)

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ひとつずつ見ていきましょうか。

音声障害の種類

まず、声の要素についての復習をしておきましょう。偉い先生によって分け方は異なりますが、声には4つの要素があることをこちらで書きています。

【声の4つの要素】

「良い声」を知るために必要なこと
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☑ 高低:高さ要素
☑ 強弱:大きさの要素
☑ 長短:持続の要素
☑ 音色の要素

声の要素_声質と音色

1.器質性の音声障害

声帯とその周りの筋肉のトラブルが原因で、声が出しにくくなる障害です。

声帯結節

左右の声帯同士が接触し合って出来るタコ、コブができます。声帯の前部分に生じやすいです。

ポリープ

声帯の出血によって出来た血豆のことです。どちらか片方に出来ることが多く、見つけた場合は手術が必要になります。

ポリープ様声帯

声帯の両側全体が腫れてきます。タバコを吸っている人に発症しやすいです。また、加齢とも関係があるといわれています。

声帯萎縮

加齢とともになりやすいようです。60歳以降の男性によくみられる症状ともいわれています。

加湿する環境を設ける事とボイストレーニングが有効である事は、いうまでもありません。

喉頭肉芽腫(こうとうにくげしゅ)

大声を出し過ぎたり、強すぎる咳、気管支の刺激で声帯の軟骨部分が盛り上がります。

胃酸の逆流がこの障害を引き起こしている事もあり、急いで診察してもらってください。

2.神経学的音声障害

声帯を動かしている神経のトラブルで声が出しにくくなる音声障害です。

喉頭麻痺(こうとうまひ)

簡単に言うと、声帯がマヒして動かなくなってしまう症状ですw

どの辺が動かないのかによって症状が変わるので、専門医に診てもらう事が大切です。症状が軽ければ、ボイストレーニングで治ります。

けいれん性発声障害

ジストニーといって局部的、部分的に自分の意志とは関係ない動き方をしてしまいます。手術が行われる場合が殆どです。

その他、いろいろな障害があるようです。

3.機能性の音声障害

この分野こそ、ケア、メンテナンスのボイストレーニングが役に立つ分野でもあります。

声帯にもトラブルはない、神経にも異常がない。にもかかわらず声が出ないというのは、発声そのものの問題です。

喉を詰めて絞り出すような声、息漏れが激しい声など症状はいろいろです。

女性の場合多いのが、心理的なショックやストレスで一時的に声が出にくくなる症状です。生徒さんの中にもいらっしゃいましたね。

治る場合もあるんですが、放っておくと治りが遅れる場合もありますので、早めの受診をするか、ボイストレーニングで担当のトレーナーに相談してくださいね。

男性の場合変声障害といって変声期が起こったことに気がつかない、変声期前の高いままの声で話している状態です。

早いうちに治すことがお勧めです。30歳過ぎると殆ど治らないらしいです。


なお、声がれの場合、以下のような症状も考えられますので、こちらも参考にしてください。

声がれと大病の関係
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構音障害の種類

舌や唇などの形の異常や運動に関係する筋肉や脳からの神経のトラブルで上手く発音できないのが構音障害です。

治し方は次のとおりです。

まずは手術です。

次に補綴的治療(ほてつてきちりょう)といって発音するための器機、装置を使って治療ていく方法です。

さらに、言語治療法といって発音器官の運動や代わりの音を使う代償構音のトレーニングを行ないます。

代償構音は、腹話術のような使い方を考えてみると分かりやすいかもしれません。これもケア、メンテナンスのボイトレと近い分野となっています。

1.異常構音(特異な構音操作)

側音化構音:機能性構音障害で頻度は高い。自民党の〇倍元首相(2018年03月時点)がこの症状でしたね。

側音化構音についての記事検索ページ

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口蓋化構音:器質性の構音障害の中の口蓋裂術後に多くみられるといわれています。機能性構音障害にもみられます。

鼻咽腔構音:口蓋裂、機能性構音障害のどちらにもみられるようです。

声門破裂音:鼻咽腔閉鎖不全が原因と言われているが、機能性構音障害にもみられる。


 

2.器質性の構音障害

唇や口蓋に裂けめのある状態で生まれてくる可哀相な先天性の疾患です。

調べてみたら、日本人の中では500人に1人の割合で生まれているらしいので、ちょっとビックリしています。

後天的な器質性構音障害の場合、舌がんなど舌に腫瘍があり、手術を行なった後に起こる場合もあります

3.運動障害性構音障害

大脳から送られてくる神経や筋肉に異常が起きて、唇や舌などの発声発語器官が動かなくなる障害です。

動かなくなる部分によって分類が出来ます。

ちょっと難しいので列記だけしておきます。詳しくは関連サイト、文献にあたってみてください。

運動性構音障害分類

明るいグリーン色は、急に発症しますが症状は進行しません。

山吹色は、徐々に進行していく進行性の症状です。

痙性構音障害(けいせいこうおんしょうがい)
脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)脳外傷、脳性麻痺など

弛緩性構音障害(しかんせいこうおんしょうがい)
筋ジストロフィー、ギランバレー症候群、重傷筋無力症など

運動低下性構音障害
パーキンソン病、パーキンソン症候群など

運動過多性構音障害
ハンチントン舞踏病など

失調性構音障害
脊髄小脳変性症(SCD)など

混合性構音障害
筋萎縮性側索硬化症(ALS:きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)

4.機能性の構音障害

発声器官(声帯)や発音器官(舌や唇など)の異常は見られない。神経系の異常や聴覚の障害もないのに、発音に誤用がみてとれます。

音韻性錯誤

これはさらに細かく2つに分けられます。

音韻選択

言葉を作る音を選ぶ段階で別の音が入ってしまったり、単語の拍の数が足りなかったりします。

「みん」を「みん」と言ったり、
んご」を「んご」や、
その他「テビ」を「テビ」と引く音で言ったりなど、育った環境や言語の習得・発達に関係があります。

音韻配列

音を正しい順番に並べられるかどうかです。これは音位転換といって、単語を構成する音(音素)の並び順が入れ替わってしまうことです。

僕は幼児の頃、音位転換で発話していました。

「おてつだい」を「おてだつい」
スプーン」を「プスーン」
「ぶんぶくちゃがま(茶釜)」というお話のタイトルを「ぶんぶくちゃまが

と言っていた事を思い出しました。

構音障害の場合には、音韻性錯誤の一種が音位転換なんですね。


声のトラブルについてまとめてみました。少しでも不安な場合は言語聴覚士や専門医のところで指示を受けてください。

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