前回は、「ボイトレ用語の基礎知識(1回目)」ということで以下のようなことを学びました。
発声について | 気流の起こしから喉頭原音まで | |
発声用語を間違えて体感 | イメージと身体の使い方がチグハグ | |
出来ているつもり症候群 |
▼前回の記事はこちら
ボイトレ用語 勘違い4つ♪
ということで、以下の用語が勘違いされやすい用語の上位を占めています。
✔お腹から声を出す(←前回参照)
✔喉を開く、喉を開ける
✔声帯を閉じる
✔地声で出なかったらウラ声を使う
今回は残りの喉に直接関係するものを見ていきましょう。
喉を開く、喉を開ける
これは、喉仏が下がった状態の別の言い方だと解釈してかまいません。
喉を開く、喉を開けるというから、声門を開くことだと勘違いしている生徒さんが何人かいらっしゃいます。しかしそうではありません。
上図1をご覧ください。
下あごを落とす、舌根が下がる、軟口蓋が上がる、咽頭部分が広く保たれる、喉仏が下がる。これら一連の動作がほぼ同時に行われています。
喉仏を下げるためには声帯という軟骨の周りに繋がっている軟骨群の働きによって開閉するわけです。図2を参考にしてください。
ただボイトレ初心者の方は、あまり喉仏を下げることに意識し過ぎると、首周りに力が入り、出した声が♭(フラット=出したい高さの音より下がってしまう)するので注意しましょう。
▼喉を開くコラムについてはこちらも参考に
声帯を閉じる
声帯の役割は何でしょうか?
それはもちろん発声のためじゃん!と答えた方、声帯の役割は、ただ声を出すための道具だけではありません!
【声帯の役割】
1.呼吸をしやすくする
2.作用異物や食物が入るのを防ぐ
3.排除の運動(せき)飲み込むときに喉仏が下がる
4.固定作用
5.発声、情緒表現の作用
深掘りしたいのは、4.5.の作用です。
固定作用とは、重たいものを持ち上げる、トイレで大きな用を足している。この時に声門はピタリと閉じています。
この場合、止気といって息は止まったまま流れていきません。
では何故声帯を閉じるという言い方をするんでしょう?
多分、有声音で発声している場合に、この方がイメージしやすいからなのでしょう。
発声時の左右の声帯は、息は吐かれているので、息が通る隙間を残して小刻みに閉じたり開いたりしています。別の言い方をすれば、声帯同士が閉じられているところに下から吐く息があたるため、その圧力で声帯同士が開きます。吐く息が通った後の声帯は、声帯自身の弾力性と低くなった気圧によって閉じられる。というしくみです。
また、発声の原理は、サイレンの原理と同じということもいわれています。
ゆっくり回していると、サイレンが低音域で鳴る。速く回すと
ウィィィ~~ン♪
と甲高く鳴る。イメージできますかね。
まとめ 喉を開く、声帯を閉じる♪
この二つの用語、もう誤解しないでくださいね(笑)
☑ 喉を開くという状態は、喉仏を下げた時に起こる。口をつむってあくびをすると近い感覚になるが、首周りに力を入れない。
☑ 声帯の開閉運動だけでは決して声は出ない。そこに呼気流(吐く息の流れ)が通ってこそ、圧力差で声が出る。
最後の、地声で出なかったらウラ声を使う
この地声とウラ声のことについては、次回お話ししましょう。